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魔法少女リリカルなのはSS 「マザーズ・タンゴ」

 五月五日。地球のとある島国、通称「日本」という国ではこの日は別名「端午の節句」と呼ばれている。
 端午の節句。五月五日の節句で元は中国の行事であり、軒に菖蒲(しょうぶ)や蓬(よもぎ)を挿し、粽(ちまき)・柏餅を食べて邪気を祓う。近世以降は男児のいる家で鯉幟(こいのぼり)を立て、甲冑や武者人形を飾って祝うようになり、現在は「こどもの日」として国民の祝日になっている。「ゴールデンウィークの一日」の方が伝わりやすいかも知れない。まあ早い話、三月三日に女の子のお祭り「雛祭り」の男の子バージョンという認識で間違ってはいないだろう。
 もちろんこれは日本特有のイベントなのでミッドチルダで騒がれる事ではない。デパートに行っても粽や柏餅が所狭しと並んでいる特設コーナーは見られないだろう。
 だからこそ彼女……フェイト・T・ハラオウンはわざわざ休暇を取ってまで第二の故郷である海鳴市に戻ったのだから。


「ん~……」

 私服姿で真剣な形相をして目の前にある人形や兜飾りを睨むフェイト。その手には高級ブランドの財布が握られている。
 今彼女がいるのは実家の近くにあるデパートに設置された五月人形の特設コーナーであった。流石に当日という事もあり、ほぼ全ての人形に「特価」の赤札が付けられている。その人形や兜飾りの値段と必死でにらめっこをしているのだ。

「流石に良いものは売約済み、か……」

 そう言ってため息を吐くフェイト。

「でも、今凄く頑張ってるもんね。やっぱりちゃんとご褒美あげたいし……もうちょっと見てみよう……喜んでくれるかな、エリオ」

 周囲にある人形や兜飾りを見回しながら、フェイトは笑顔を浮かべるエリオの姿を想像して思わず頬が緩んだ。
 今回の緊急帰郷は、今第六十一管理世界「スプールス」の管理局自然保護隊で働いている息子のような……いや、流石に弟のようなぐらいにしておこう……存在であるエリオ・モンデアルへ贈る為の五月人形選びの為であった。今彼は同じくフェイトの娘の……妹のような存在であるキャロ・ル・ルシエと共に頑張っている、という噂をそれこそ毎日のように聞いている。「機動六課」が解散して一ヶ月。最初は離れる事に不安が隠せなかったが、ちゃんと上手くやっているようで嬉しいやら寂しいやら、とにかく少々複雑な心境ではあった。
 しかし、既に局員として働いている身とはいえ、エリオはまだ十一歳の少年である。せっかくこういった行事を知っているのだから、使わない手はない。現に先日の雛祭りの時、主役は主にヴィヴィオであったがフェイトはちゃんとキャロに雛人形をプレゼントしていた。あの時の少し困ったような、でも凄く嬉しそうな顔をフェイトは生涯忘れる事が出来ないだろう。何故か当日の一部の記憶がないが。
 エリオの喜ぶ顔を想像しながら人形を見て回るフェイト。そしてふと兜と鎧がセットになった鎧飾りを発見する。

 「ん~……」

 フェイトは再び真剣な表情になってその人形をじっくりと観察する。これは悪くなさそうだった。次に視線を値札の方に移した。

――処分特価、500000円 (現品限り)

「一、十、百……五十、万か」

 流石は一式セット。お値段もそれなりのようであった。フェイトは小さくため息を吐いてから、ぽつりと呟いた。

「足りない……鎧飾りの値段のゼロが、一個足りない」

「って、そっちなのフェイトちゃん!?」

「え……?」

 まさか自分の呟きに突っ込みが入るとは思わなかったフェイトは慌ててその声が聞こえた方向に向き直った。

「……なのは?」

「あ、あはは……やっほー、フェイトちゃん、お久しぶりー」

こちらも私服姿で乾いた笑みを浮かべつつ、なのははフェイトに小さく手を振った。

「なのは、どうしてここに?」

「え? いや、私今日休暇もらっててね、実家に帰ってたの。それで、ヴィヴィオをお母さん達に任せてちょっとお買い物を……」

「いや、そうじゃなくてね……」

 フェイトは小さくため息を吐いて、周囲を見渡す。

「どうして、五月人形売り場にいるの?」

 なのはの娘……と言っても義理の娘なのだが……であるヴィヴィオは、今年から聖王教会系列の魔法学院に通う、五歳くらいの「女の子」、である。どう考えてもここの人形は必要ではない。

「え、えっと……」

 すると何故か口ごもってしまうなのは。そんななのはの顔を見ていたフェイトはそっと視線を下の方へ移した。正確には、なのはのお腹の辺りに。

「……フェイトちゃん、その視線の意味は何?」

「いや、ついに実子が出来たのかと。お父さんは? やっぱりユーノ?」

「……本気でぶん殴っていいかな?」

「冗談だよ。それで、どうしてここにいるの?」

「あ、この売り場に来たのは偶然だよ。ここの前を通り掛った時見覚えのある後姿を見つけたから、ね」

 つまりなのははこの売り場に入るフェイトの姿を見て、偶然足を運んだだけのようである。

「ところでさ、さっきの呟き……本気なの?」

「さっきの呟きって?」

 なのはは黙ってさっきフェイトが見ていた鎧人形を指差す。

「それ、五十万だよ?」

「うん、そうだね」

「それで、ゼロが一個足りない?」

「うん、足りない」

「……フェイトちゃんのお財布の中身の話じゃないよね?」

「うん、エリオのためだもん。やっぱり五百万くらいのやつは買ってあげないと」

「待って、ちょーっと待って、色々と」

 フェイトの「何を当然の事を?」といった態度に思わず頭を抱えてしまうなのは。

「やっぱりどうせならちゃんと良いもの買ってあげたいじゃない?」

「良いもの過ぎるのも問題あると思うよ?」

 特にエリオのような真面目で礼儀正しい子は、こんな高いものをもらったら喜ぶどころか逆に遠慮してしまいそうである。

「大体、そんなお金……は、あるか」

 何しろなのはもそれくらいのお金は持っているわけであるし。
 こちらの世界では想像出来ないかもしれないが、この二人はこの世界で言うところの警察や自衛隊の両面を持つような組織のエリートである。元の給料から段違いであるし、普段出向いているところがそれなりの危険を伴うところなので手当ても半端ではない。しかもなのははそれに加え過去にあった事故で怪我を負った時の多額な見舞金も出ている。そして二人とも普段の金使いは平凡……いや、質素極まりないので気が付いたらとんでもない金額になっていたという。そしてフェイトは自他共に認める程年下の子供に弱い、というより、甘い。フェイトにとって五百万という金額は自分に使う時は「とてつもない金額」なのだが、こういった時は「ちょっと高い買い物」程度の認識までインフレを起こしてしまうのである。

「フェイトちゃん、小さい頃からそんな甘やかしてると、将来あんまりいい大人にはならないと思うよ?」

「エ、エリオもキャロも凄く良い子だよ!」

「こう言ったら何だけど、あの二人はフェイトちゃんに会う前に苦労していたじゃない。私が心配しているのは将来的にフェイトちゃんが結婚して、本当の子供が出来た時の話」

「うっ……」

 なのはの手痛い攻撃、いや、口撃にフェイトは思わずたじろいでしまう。だが、なのはがその手に持っているものを見て反撃のチャンスを掴んだ。

「……そうは言うけど、なのはがその手に持っているものは何?」

「うっ……」

 その指摘になのはは急いでその荷物を背中に隠そうとするが、いかんせんかなりの大きさを誇っているのでどうしても隠しきる事が出来ない。
 その、巨大なフェレットのぬいぐるみを。

「………」

「え、えっとね……ほら、前にユーノくんにヴィヴィオの情操教育の為に一週間くらいフェレットになってもらった事あったでしょ?」

「うん、よーく覚えてるよ。特にヴィヴィオが女風呂にユーノを連れてきちゃった時にはどうしようかと思った。私、見られちゃったし。まあ、その際ユーノが他の女の子を見ないようになのはが必死でユーノの目隠しをしているシーンは笑いを堪えるのに必死だったけど」

「あ、あはは……あ、あれ以来ヴィヴィオ、フェレットがお気に入りになったらしくてね、グッズを集めているの。学院で使う文房具とかも全部フェレットのイラスト入りだし。だから、その……ねぇ?」

「いや、私に尋ねられても……それにね、なのは」

「な、何?」

「……五月五日、『端午の節句』は別名『こどもの日』って呼ばれているけど、本来は男の子の為の日だよ?」

「………」

 冷めたような瞳でじっと自分を見つめてくるフェイトの視線に耐え切れなくなったのか、なのはは硬い笑みを浮かべて視線を逸らした。

「はぁ、昔は私に『フェイトママは甘やかし過ぎ』とか言っていたのに、今ではなのはもヴィヴィオにベタ甘じゃない」

「い、いいじゃない、だって……可愛いんだもん」

「……ぷっ!」

 頬を染めながら小声で呟くなのはのその様子を見て、フェイトは思わず噴き出してしまう。

「ふふっ、なのはも親馬鹿になっちゃったか」

「あ、フェイトちゃん、笑うなんてひどい! 言っておくけど私が親馬鹿ならフェイトちゃんは頭に『超』が百個は付くくらいの甘やかしさんなんだからね!」

「いいよ、そんな事クロノ達に散々言われているから」

「だったら少しは自重しようよ……」

「でも、それなら私もヴィヴィオに何かプレゼントしても文句ないよね……そうだ、この下にあるファンシーショップのぬいぐるみ全部……」

「だーかーらー、自重しようってば!」


「……だからね、エリオみたいな子にはこういった高いものよりもうちょっと心を込めたようなものの方がいいって」

「もう、それじゃあ私がお金にものを言わせているだけのように聞こえるじゃない」

「半分はそうだと思うよ……」

 店員に使用限度額無制限のブラックカードを見せながら「特別展示品、推定価格二千万」と書かれたガラス張りのショーケースに飾られていた鎧飾りを笑顔で「下さい」と言っていたフェイトを慌てて止め、下のフロアで同じように「ぬいぐるみ全部梱包して下さい」と告げていたところを引きずり、なのはは地下にある喫茶店に連行してお説教を開始した。

「フェイトちゃん、フェイトちゃんが過去の経験から幼い子を甘やかしたいって気持ちはよぉぉぉぉぉっっっっっーーーーーく分かったから、お願いだからそのブラックカードを財布の中にしまって」

 そうなのはが力説すると、フェイトはしぶしぶといった様子ではあったが財布の中にカードをしまった。それを確認したなのははほっとため息を吐く。

「でも、そういうならなのは、何か良いアイデアがあるの?」

 フェイトにとってそれはささやかな反撃のつもりであった。フェイトの中では、ここでなのはが「うっ……」と短く唸ったところでフェイトが「やっぱり……」といった視線を投げかけて……という予定だった。だが、なのははフェイトのその予想に反して、満面の笑みを浮かべている。

「なのは……?」

「ふっふー、フェイトちゃん、これ、なーんだ?」

 そう言ってなのはは自分の鞄から何やら紙を一枚取り出し、フェイトに手渡す。不思議に思いながらもそれを受け取り、その内容を読んだフェイトは、

「……あっ」

 すぐにその顔を綻ばせて、

「なのは、これ、貰っていいかな?」

 となのはに尋ねる。もちろんなのはは、

「うん、もちろん♪」

 と、こちらも顔を綻ばせて頷いていた。


 その日の夜。

「あの、フェイトさん、お久し振りです」

「……エリオ?」

 フェイトの元にエリオから通信が入った。

「どうかしたの? エリオから通信なんて珍しいね」

 フェイトとエリオ達はよく連絡を取っていたが、大概フェイトから、もしくはキャロからの場合が多く、そこにエリオが呼ばれて三人で会話……というのがいつものパターンだったからだ。エリオ単独から、というのは滅多にない。キャロが言うには恥ずかしがっている、との事なのだが。

「いえ、あの……どうしてもお礼を言いたくて」

「お礼?」

「はい、あの葉っぱに包まれたお饅頭みたいなやつです」

「ああ、柏餅だね。良かった、ちゃんと届いたんだね」

「はい、凄く美味しかったです。キャロや保護隊の皆さんも美味しいって評判でしたよ」

「ふふっ、そっか。エリオが喜んでくれてよかった」

 満面の笑みで語るエリオを見てフェイトは頬を緩ませながら、今日の事を思い出していた。
 あの時なのはに手渡されたのは、近くの公共施設で行われていた手作り柏餅の講習を知らせるものだったのだ。フェイトはそれをひったくるように受け取ると、スバルのマッハキャリバーも顔負けな速さでその会場に向かって一生懸命メモを取り、帰りにスーパーに寄って材料を購入。急いで帰って柏餅を作ってとある特急便でエリオのいる第六十一管理世界「スプールス」へ送った……という次第である。

(なのはの言う通りだったよ。きっとあの五百万の鎧飾りを送っても、きっとエリオはこんな笑顔をしてくれはしなかっただろうね……)

 その後、やってきたキャロも加えて。
 時が経つのも忘れて、三人は夜通し笑顔で談笑をしていた。


 追記。ちなみに「とある特急便」だった彼女は。

「はあ、流石にこの短時間で世界間一往復はきつかったですよ」

「ふふっ、お帰りなさい……ティアナさん」

 肩を鳴らしながら呟くティアナに、シャーリーはそう言って労いの言葉を掛けた。

「まあ、しょうがないですよ。フェイトさんは今日休暇を取っちゃっていましたからね。休暇中の事前に申請のない次元転送は原則禁止ですから」

「あ、別に文句を言ってるんじゃないですよ? ちゃんと見返りも貰いましたし」

「確か好きな日に休暇を貰える、ってやつでしたっけ? 誰かと約束してるんですか?」

「え? あ、その……秘密ですよ」

 少し頬を染めてそう呟くティアナの端末に、一通のメールが届いた。

――ティア? アタシ、スバルだよー。来週の休日なら休み貰えたんだけどそっちは大丈夫? 大丈夫なら決定で。久し振りに会えるの、楽しみにしているね♪


 追記二。フェイトに例の紙を渡して実家に戻ったなのはは、優しげな笑みを浮かべて真っ直ぐにヴィヴィオの元に向かった。

「ヴィヴィオー、ただいまー」

「あ、なのはママー、お帰りなさい♪」

「はい、ヴィヴィオ、約束していたフェレットさんのぬいぐるみだよー♪」

「わーい♪」

「次のテストも頑張って百点を取ったら、ご褒美あげるからね♪」

「うん、頑張るー♪」

 と、フェイトの言う通りヴィヴィオにベタ甘になったなのはの姿を見て、なのはの両親である士郎や桃子、姉の美由希は微笑ましげな笑みを浮かべていた。

 ――やはり、二人ともお互いの事が言えないくらい。
 親馬鹿のようである。

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 今回はちょっとA→Sシリーズはお休みして、端午の節句という事でそれにちなんだお話をw
 ……でも何かもう「なのはVSフェイト、真の親馬鹿はDOCHI!?」みたいなノリになってしまったなあw
ちなみに途中「?」と思うような会話があったと思うのでちょっとその説明をw

 >現に先日の雛祭りの時、主役は主にヴィヴィオであったがフェイトはちゃんとキャロに雛人形をプレゼントしていた。あの時の少し困ったような、でも凄く嬉しそうな顔をフェイトは生涯忘れる事が出来ないだろう。何故か当日の一部の記憶がないが。

 これは三月三日にミクシィとリリカルなのはSNSで公開した雛祭りSS「騒動・雛祭り」であった事件の事ですw その時フェイトさん達に色々あったのですよw

 > 「うん、よーく覚えてるよ。特にヴィヴィオが女風呂にユーノを連れてきちゃった時にはどうしようかと思った。私、見られちゃったし。まあ、その際ユーノが他の女の子を見ないようになのはが必死でユーノの目隠しをしているシーンは笑いを堪えるのに必死だったけど」

 こちらは今執筆中の「ユーノ・スクライアの受難」からw あらすじはミクシィ等で公開しているのですが、まだ完成はしていませんw ちょっとした予告みたいな感じになっちゃいましたw

 ちなみにこの二つはどこかで公開したいなあとは思っていますw

 では次のA→Sはやて編の二話でお会いしましょうw

テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

Comment

No title

一言、淫獣自重www
その歳であれは、もはや犯罪すれすれwww
鎧武者か……
徐に実家にあるやつの値段がきになってしまったのは内緒ですw

No title

>りりかるさん

 ww いや、ユーノくんはヴィヴィオに無理矢理連れてこられたのですがねww
 実際かなりいい物になると本当に500万くらいはするそうですよw ぜひなんでも○定団にww

はい、楽しく読ませていただきまして。
どうも、小説サイト歩き中に立ち寄った、白金燈也です(=゜ω゜)ノ

もうね、暗黙の了解ってやつですよね。なのは達の貯金話は。何処行ってもブラックカードですからね。

No title

 >白金燈也さん
 いらっしゃいませですw
 まあ、結構こういう想像をする人は多いと思いますねww

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