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魔法少女リリカルなのはSS 「無機の心が思う事」 第一話 『fake~偽者~』

――それは、もうじき春を迎えようとしていた頃の話。機動六課がその役目を終え、それぞれが己の道を歩もうとしていた、そんなある日の事件だった。


「じゃあ午前の訓練はここまでにしょうか?」

 飛行魔法とバリアジャケットを解除し、地面に降りてくるなのは。その眼前では、

「………」

 彼女が先程放ったディバインバスターの影響でちょっとしたクレーター状になった地面でフォワードメンバー四人が満身創痍といった様子で頷く。

「……す、少しは強くなったと思ったのに」

「……また、負けちゃいましたね」

「……あーん、なのはさん相手だからしょうがないとはいえ」

「……流石に、こう連敗続きだと悔しいですね」

 数分後、ようやく話せるだけの気力を取り戻したのか四人は口々にそんな事を呟いていた。
 もちろんなのはに対するものではない。彼女の期待に応えられない自分達に対して、である。

「にゃはは。まあ、こっちも分隊長としての自尊心(プライド)があるからね。そう簡単には負けられないよ」

 そんな四人になのははどことなく嬉しそうに呟いた。

「それじゃあお昼ご飯を食べたらまた訓練場に集合で……」

「……は、ちょーっと待ってもらえんかなあ、なのはちゃん?」

「ふぇ?」

 いつの間にか機動六課の部隊長であるはやてがなのはの後方に佇んでいた。その顔には満面の笑みが浮かんでいるが、どことなく引きつっているような気がする。

「はやてちゃん? 訓練場に来るなんて珍しいね、どうしたの?」

「……ふふ、今までは大目に見てきたけどな、流石にこの時期になってまでやられると部隊長としては困るんよ」

「? 何が?」

 まったく意味が分からない様子のなのはは頭の上に疑問符が浮かんでいそうな顔で首を傾げた。そんななのはを見てはやては大きく息を吸い込み、そして、

「あ! の! なっ! 一体何回訓練場の地面にクレーター作れば気が済むんやなのはちゃんは! フェイトちゃんやヴィータの軽く十倍は超えとるんやで! 今まではフォワードメンバーを鍛える為と割り切ってたけどな、もうじき解散というこの時期にそんなぽんぽん作られとったらうちの胃がどうにかなりそうなんや、上からのねちねちとした嫌味でなっ!」

 と、なのはの右耳を引っ張って大声で怒鳴る。

「み、耳がぐわんぐわん言ってる……」

「自業自得や、まったくもう……という事で午後はうちと本局までデートや。一緒に上の嫌味に付き合ってもらうで」

「ええっ!?」

「『ええっ!?』やないわ! うちと同じ苦しみを味わってもらうで!」

「フェ、フェイトちゃん助けて~!」

「残念、フェイトちゃんは執務官のお仕事中でここにはおらんで。さあ、きりきり歩く!」

「ああーん」

 はやてに引きずられながら演習場を後にする涙をちょちょ切らせたなのは。何となく貴重な光景を見たような気がするフォワード四人。

「流石八神部隊長……あのなのはさんを猫の首を掴むように引きずっていくとは……」

「伊達に部隊長を名乗っているわけじゃなかったんですね……」

「てかうちの隊長陣はみんなキレたら怖いでしょ……うぅ、過去の精神的外傷(トラウマ)が蘇っちゃった」

「フェ、フェイトさんは優しいですよ! ……多分」

 口々にかなり失礼な事を呟きながら。


 そんなわけで修復と被害拡大を防ぐの為、そして肝心の教導官が部隊長にさらわれた為、午後の教導は中止となった。

「三十分以内に戻って来られる場所なら外に出てもいいぞ。ただし通信端末のスイッチは入れとけよ」

 シグナムも聖王教会のシスター・シャッハに会いに行っているらしく唯一隊舎に残っていた分隊長のヴィータからそう言い渡され、唐突に沸いて出た半日休暇に皆喜び……というよりは、どちらかというと困惑していた。

「いきなり休暇と言われても……ねぇ?」

「エリオくんどうする? またデートでもしようか?」

「でもシャーリーさんは忙しそうだし、またデートのプランを練ってもらうのは悪い気が……」

「いや、デートのプランぐらい自分達で考えなさいよ」

 降って沸いた休暇をどう消化しようか悩みながら宿舎に戻った四人は、その入り口にいた人影を見て声を掛けた。

「ヴィヴィオ?」

「どうかしたの?」

「あ、すばるさん、てぃあなさん、えりおくん、きゃろちゃん。こんにちはなの」

 四人の姿を確認したヴィヴィオは、笑顔を浮かべて駆け寄ってくる。
 ちなみにエリオとキャロだけ呼び方が違うのは、恐らく歳が近い事と二人がよくヴィヴィオと遊んであげている為親近感が高い為だろう。

「うんとね、なのはママとお昼ご飯を一緒に食べる約束なの」

「「「「……あ~」」」」

 四人同時に上げる納得したような申し訳なさそうな声。それを聞いたヴィヴィオは首を傾げている。

「……えっとねヴィヴィオ、なのはさん、ちょっと用事が出来ちゃって一緒にご飯食べられなくなっちゃったの」

 代表してキャロが申し訳なさそうにそう告げる。

「そうなの?」

「う、うん……」

「………」

 下を向いて沈黙するヴィヴィオ。反射的に泣いてしまうと感じた四人は必死で何かフォローを入れようとする。しかし、

「だったらしょうがないよね。なのはママも忙しいんだし」

 予想に反し、ヴィヴィオはそう言って笑顔を浮かべた。ちょっと無理をしている感が拭えない笑顔だったが、前になのはが仕事で少しだけ離れる事になった時スカートを掴んで泣きじゃくっていたヴィヴィオからは想像出来ない言葉であった。

「ヴィヴィオ?」

「なあに?」

「えっと……良かったの? ママがいなくて寂しくない?」

「んー、寂しいよ。でも、なのはママ、お仕事頑張ってるもん。頑張っているなのはママ、格好良いから大好き。だから、寂しいけど我慢する」

「ヴィヴィオ……」

 ヴィヴィオのその台詞に物凄く同感できたエリオとキャロは、

「あの、エリオ君」

「うん。ヴィヴィオ、今日は僕達と一緒に遊ぼうか?」

 と、優しい笑みを浮かべてヴィヴィオに提案する。

「いいの?」

「うん。一緒にお絵かきとかしよう」

「……うんっ!」

「……すいませんスバルさん、ティアナさん。僕達……」

「あはは、いいよ。それじゃあ私達は邪魔にならないようにちょっと町にでも行こうか? ね、ティア♪」

「何でアタシに聞くのよ……まあ、良いけどね。それじゃあちょっとヴァイス陸曹にバイク借りてくる」

「うん、よろしく。ヴィヴィオ、お土産にチョコポット買ってきてあげるね」

「わぁーい、ちょこぽっとー♪」

 こうして、四人の午後の予定が決まったのであった。


「……見つけた」

「……!?」

「『作られる嘘吐き者(メイキング・フェイカー)』の有効時間は五分……今度こそ、正体を見せてもらう」

「くっ……うぅ……ああっ!?」

「……え? それがあなたの、本当の姿なの?」

「――っ!」

「しまっ!? 待て……お願い、待って! あなたのその体には……!」


「……ん~! やっぱりアイスは最高の嗜好品だよね~♪」

「……アタシとしては、店員に無理矢理頼んで作らせた十段アイスを七口で食べしまう事に最高の虚脱感を覚えるんだけどね……というか、何で段数より口に含んだ数が少ないのよ……」

 私服に着替え、渋りながらもバイクを貸してくれたヴァイスに礼を述べてから二人は一番近い町に繰り出していた。そして活気に溢れた繁華街でアイスクリーム屋を目聡く発見したスバルは颯爽とその列に並び、見上げるような十段と三段のアイスを注文。それをあっという間に食べ終えたスバルを、ティアナは一割の尊敬と九割の呆れを含めた視線で見つめている。

「さて、と……どうするティア? やっぱりゲーセン?」

「当然! ……と、言いたいところだけどさ、ほら、今日のヴィヴィオ、良い子だったでしょ? だから私達もご褒美に何かぬいぐるみでも買って……何よ?」

「ティア、やっさしい♪」

「う、うっさい! この馬鹿スバルっ!」

 にやけた顔で呟くスバルにティアナは顔を真っ赤にして殴りかかろうとする。だが素早くそれを避けたスバルはそのまま走り出そうとして、

「うわっ!?」

「ひゃっ!?」

 誰かとぶつかってしまった。衝撃がスバルのお腹より下しかなかった事とその上がった悲鳴から小さな女の子である可能性が高い。

「ちょ!? 何してるのよ馬鹿スバル!」

「だ、だってティアが襲ってくるから……」

「誰が襲うかっ! セクハラしてくるのはいつもアンタの方でしょうが! って今はアンタの馬鹿に付き合ってる場合じゃなかった……大丈夫?」

 スバルとのやり取りを強引に終えたティアナは、スバルとぶつかった少女を抱き起こす。
 ヴィヴィオより年上に見えるが、キャロよりはまだ幼い感じだ。八歳から九歳、といったところだろう。肩くらいまでの癖っ毛のない金色の髪にヘアバンドをした、愛らしい少女だった。

「ごめんね、大丈夫? 痛いところはない?」

スバルも流石に悪いと思ったのか、少女のあちこちに触れ傷がないかどうか調べる。

「……うん、怪我はないみたいだね。良かった」

「いいわけないでしょ! ったく、気を付けなさいよね!」

「うぅ……反省します」

「……あの」

 そんなやり取りをしている最中に少女は気が付いたらしく、くりっとした青色の瞳で二人を見つめながらおずおずといった様子で声を掛けてきた。

「あ、良かった、気が付いたんだね? 本当にごめんね、私の不注意で……」

「あ、いいえ。わたしも必死だったから前を見てなくて……」

「必死? 何か……」

 あったの? と尋ねようとしたその言葉をスバルは飲み込んだ。ティアナも表情を引き締め、スバルに向き直る。

「……ティア、気付いてる?」

「ええ……人影が、まったく無くなっている」

 ティアナの言う通り、先程までたくさんあった人影が誰一人としてなくなっているのだ。人影の少ない裏通りならともかく、お店が立ち並ぶ繁華街の一角では考あり得ない現象だ。となれば考えられる可能性はひとつ。

「結界魔法……」

「それも、私達に気が付かれないうちに展開出来る程の、高レベルな魔術師の手による、ね」

 そしてその魔術師が狙っているのは、恐らく今ティアナの腕の中にいる少女だろう。その証拠に、少女は小さく震えていた。

「……どうする? ティア」

「聞かなくても分かってるくせに」

 ティアナの答えにスバルは嬉しそうに頷くと、二人は同時に駆け出す。もちろんティアナは少女を抱えたままだ。そして袋小路になっている場所で少女を下ろすと、近くに捨ててあったダンボールに少女を入れた。

「気休めにもならないだろうけど、その中に隠れて、絶対に動かないで」

「大丈夫、すぐに助けに来るからね」

 その言葉に少女が頷いたのを確認すると、二人は踵を返して袋小路の入り口へと戻る。

「いいスバル? ここは周りのビルが高いから飛行能力でも持っていない限りここから入るしかない。逆に、ここを突破したらあの子の所まで一直線……絶対に止めるわよ」

「うん、分かってる」

 互いに頷いたのを確認し、懐から自分のデバイスを取り出した。

「マッハキャリバー!」

「クロスミラージュ!」

「「セットアップッ!」」

 バリアジャケットを身に付け、デバイスを待機モードから起動モードへと移行する。

「さて、鬼が出るか蛇が出るか……」

 ワンハンドモードのクロスミラージュを握る手にティアナが力を入れた、その時だった。

「なっ!?」

「ティア!?」

 いきなり雷の光球が現れ、ティアナが吹き飛ばされたのだ。しかも着弾と同時に炸裂し、ティアナの視界を奪う。

「くそっ、よくもティアを!」

「待ちなさいスバルッ! この攻撃って……」

 だが、ティアナが制止するまでもなく、スバルが起こそうとしていた行動が止まった。

「バ、拘束魔法(バインド)!?」

 両手両足に現れた魔法陣に自由を奪われたスバルは必死で解こうともがく。だが、その隙を与えまいと金色に輝く魔力刃がスバル目掛けて飛んできた。

「――っ!?」

 思わず死を覚悟するスバル。しかし、

「止めて下さい! フェイト隊長!」

「え?」

 ティアナがそう叫んだ瞬間魔力刃は音もなく消え去り、そして、

《作られる嘘吐き者(メイキング・フェイカー)、展開終了》

 という機械的な声が響くと同時に、一人の女性が驚いたような顔で姿を現す。
 黒い服と白いマントに身を包み、戦斧型のデバイスをその手に持った、二人も良く知る人物……。

「フェ、フェイト隊長!?」

 あまりに予想外な相手の出現に驚きを隠せないスバル。しかしそれはフェイトも同様だった。

「スバル、それにティアナ!? 二人ともどうしてここに……」

 そう言い掛けたフェイトだったがすぐにはっとした表情を浮かべて、

「スバル、ティアナ、あなた達この近くで金髪の青い目をした小さな女の子を見なかった?」

 と二人に詰問してくる。

「そ、それって……」

「さっきの、あの子?」

 その真剣な様子に押されてしまい、二人は思わずそう答えてしまう。

「知っているのね!? どこにいるの!?」

「こ、この先の袋小路のにある……」

「ダンボールの中に隠れているはずですけど……」

「――!」

 その言葉を聞いた途端、フェイトは颯爽とスバル達を抜き去って袋小路に突入した。

「あ、フェイト隊長!?」

「待ってくださいよ!」

 慌ててフェイトを追いかける二人。しかし追いついた時にはすでに少女が入っていたはずのダンボールはボロボロに切り刻まれていた。その横で血の海の中で倒れている、あの少女と同じように。

「っ!?」

「フェイト……隊長?」

 信じられないという思いで一杯になるティアナ。思わずフェイトに飛び掛るスバル。

「フェイト隊長! 何でこんな事を……!」

「こんな事……?」

 何を言っているか分からない。そんな表情を浮かべていたフェイトだったが、何かに気が付いたのかすぐに真剣な顔を浮かべてスバルの頬を引っ叩いた。

「――!?」

「フェイト隊長!? いったいどうしたというのですか! 正気に戻って下さいよ!」

 呆けた表情を浮かべるスバル。必死でフェイトに問い掛けるティアナ。そのフェイトはというと小さくため息を吐いて少女の方を指差し、

「……よく見て。これが女の子に見えるの?」

 と小さく呟いた。

「え……?」

 二人は再び地溜まりの中に少女に視線を移し、そしてその表情が驚愕のものへと変わる。

「人形……?」

 二人の視線の先にあったのは事切れた少女ではなく、その少女によく似た手の平に収まりそうなほどの小さな人形だったのだ。

「これって……幻惑魔法?」

「……ううん。これは『作られる嘘吐き者(メイキング・フェイカー)』という希少技能(レアスキル)。時間は五分と限られているけど、その代わり体型や質感といったものを完全に似せたダミーを作ったり、仕草、能力まで完全にコピーしたりも出来るの。もっとも、作ろうとしているものにある程度似た媒介となる何かがないと駄目らしいんだけどね。だからあの子本人が他の動物になるとか、持っていた人型の人形を動物に見せたりとかは出来ないわけ。それに、二つ以上のものを同時に……というのも不可能らしい」

 バリアジャケットとバルディッシュを解除しながら、フェイトはスバルとティアナにそう説明をする。

「あの、それじゃああの子は魔導師なんですか?」

「……ううん、違う」

「え? だって、このビルを登っていったんですよね? こちらの方には出てきていないわけですから。飛行魔法でも使わない限りここから逃げるのは……」

「……あの子はね、希少技能(レアスキル)を持っているけど魔法は使えないの。恐らく自力でよじ登ったんでしょうね。魔法が使えない代わりに、それが可能な造りになっているはずだから」

 希少技能(レアスキル)……特別な能力を持ちながらも魔法が使えず、それを補うために身体能力を強化されている……そんな存在に、二人は心当たりがあった。

「……フェイト隊長。もしかしてあの子……」

「……戦闘機人、なんですか?」

 人の身体と機械を融合させ、常人を超える能力を得た存在……戦闘機人。あまりに馴染みの深い二人には少々きつい存在だった。
 だが、フェイトは再び首を横に振る。

「……違う。あの子は元々普通の人間だったの。それを、機械で作られた体に脳だけを移植され作られた、あの男の数少ない成功体なの」

 そう呟いた時、二人はフェイトの顔が苦虫を噛み潰したかのように歪んだのを見逃さなかった。あまり大きな感情変化はないが誰よりも心優しいはずのフェイトがここまであからさまに表情を歪める人物……そんな相手、一人しか考えられなかった。

「ジェイル……」

「……スカリエッティ」

 二人はようやく、半年も前に終わったはずの事件がまだ小さな爪痕を残していたのだと気が付いた。

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 という事で新連載「無機の心が思う事」、始まりますw
 内容的には前回の「A→S」シリーズよりシリアス度が増しています。あと自分なりに綺麗に終わる形だとは思うのですが、人によってはBADエンドだと思うかもです><; 気になった人は最後までお付き合いくださいませww

テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

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