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魔法少女リリカルなのはSS 「無機の心が思う事」 第二話 『decision~決意~』

 機動六課隊舎のミーティングルームに緊急招集されたフォワード陣となのは達隊長陣、そして先程フェイトに協力していた時空管理局本局「無限書庫」司書長、ユーノ・スクライア。フェイトによると先程の強力な結界は彼が張り巡らせていたものだという事である。

「無限破壊者(ジェネシッカー)?」

「……うん。それが、今私が追っている事件の最重要人物だよ」

 フェイトはそう言って懐から数枚の写真を取り出し、机に並べた。電話をしている中年男性。颯爽と歩く若い女性。そして、先程スバル達が見たのと同じ幼い少女。一見そこに写っているのは性別も年齢も違う、別人のようにしか見えない。

「これ、全部あの子と同一人物なんですか!?」

 思わず驚愕の声を上げてしまうスバル。他のメンバーも大小あれど皆驚きを隠せない様子だ。

「うん。これがさっき説明した希少技能(レアスキル)『作られる嘘吐き者(メイキング・フェイカー)』の能力。連続使用は五分だけという制限があるけど、やろうと思えばなのはになってスターライト、はやてになってラグナロク、なんて事も可能なはずだよ」

「……寒気がしそうな能力だな、それは」

 そう言って軽く身を震わせるヴィータ。苦笑するフェイト。まさに砲撃経験者は語る、である。

「もう、ヴィータちゃんもフェイトちゃんも酷いよ。それで、この子を保護すればいいのかな?」

「……うん。ただ、この通り見かけてもすぐに別人になっちゃうし、身体能力が高いから追い詰めても逃げられやすいの。捕まえるのはそう簡単にはいかないと思うよ」

「あはは、大丈夫ですよ。あの子、別に悪い事をしたわけじゃないんですよね? だったらお話すれば分かってくれますよ」

 自分と似た境遇の為か、スバルはそう言って笑った。エリオとキャロも同じように頷き、ティアナは
「お気楽なんだから」とため息を吐きながら呟きつつ、それでもその顔には笑みを浮かべている。

「フェイトさん、私、手伝いますよ。私なら同じような境遇だしきっとちゃんとお話出来ると思いますから」

「……そうだね。でも今日はもう自由待機(オフシフト)だし、外も暗くなってきたから捜索は明日からにしよう」

「え? でも……」

「スバル、休める時に休むのも大事だよ。今からは私達が動くから心配しないで」

「……はい、分かりました」

 渋々、といった様子だったがスバルは頷き、ミーティングルームを後にした。それに続くようにエリオとキャロ、そしてティアナが一瞬だけなのは達の方を見てからその後を追う。残った隊長陣五人とユーノはドアが閉まり、足音が遠ざかるまでお互い何も話さずにいた。

「……それで?」

 そして、その沈黙を破ったのははやてであった。

「ん?」

「何かあるんやろ? それだけやったら無限破壊者(ジェネシッカー)なんて仰々しい名前、付けるはずがない」

「……それに関しては僕から説明するよ」

 何か言おうと口を動かそうとしていたフェイトに代わり、今まで黙っていたユーノが口を開く。

「はやての推測通り。あの子にはちょっと厄介な代物が埋め込まれているんだ」

「厄介な代物? ユーノくんが駆り出されたって事はそれなりに危ない代物って事?」

「まあ、ね。取り敢えずこれを見てくれる?」

 そう言ってユーノは端末を操作し、皆の前にモニターを表示させた。

「破壊核(クラッシュ・コア)?」

 そして、その隅っこに小さく書かれていた物騒な名前に全員の表情が強張る。

「そう。周囲の魔力を吸収し、限界地点を突破したらその魔力を暴走させ、周囲を飲み込んで破壊する……ロストテクノロジーの中で最高危険物に指定されている最悪の爆弾だよ」

「……私のスターライトブレイカーみたいな感じ?」

「いや……計算上では最終的な威力は予測可能範囲でミッドチルダ全域を飲み込んでる。威力もなのはのスターライトブレイカーがまるで玩具みたいなものになると思うよ」

 ユーノの言葉にその場にいたほぼ全員が軽く身震いをした。はやてやシグナム、ヴィータはその威力を間近で見ているし、フェイトにいたってはその威力を己の身を持って体験している。平然とした顔をしているのは説明をしたユーノと自分の最大魔法の威力をよく理解していないなのはくらいだ。

「い、威力が物凄いとは聞いていたけどまさかそこまでとは……」

「なのはちゃんのスターライトが玩具て……そりゃあ、何が何でも止めなあかんな」

「ミッドチルダ全域どころか次元震起こして他の世界まで影響でそうだしな」

「同感だ。早急に処理を行おう。明日の朝からと悠長な事を言ってられん。今すぐにだ」

「……何か、遠回しに酷い事言ってない?」

 閑話休題(それはさておき)。

「それで、何故その子は逃げているのだ? ジェイル・スカリエッティの被害者、戦闘機人……先程スバルも言っていたが別にその無限破壊者(ジェネシッカー)という少女は何か罪を犯しているわけではないのだろう?」

 もしそうなら、ジェイル・スカリエッティや戦闘機人事件に対しての知識や経験がある機動六課に確実に出動要請が掛かるはずだ。解散直前とはいえ、まだ解散してはいないのだから。

「………」

「フェイト、これも僕から言おうか?」

 シグナムの言葉に沈黙するフェイトに、ユーノは心配そうにそう声を掛けた。その様子をなのはが少し複雑そうな表情を浮かべているところを見ると、やはり彼女も一人の女性というべきか。

「ううん、大丈夫……これは、私が望んで担当にしてもらった件だから。協力要請をするなら、私からちゃんと説明しないと」

 フェイトはそう言うと小さく深呼吸を行ってから説明を始めた。

「……確かに彼女、『無限破壊者(ジェネシッカー)』は何か罪を犯しているというわけではない。なのに本局執務官である私が動いている理由、そして、機動六課に出動要請がいかなかった理由……それはさっきも出た、『破壊核(クラッシュ・コア)』に関係しているの」

「……どういう事や?」

「彼女に付けられている『破壊核(クラッシュ・コア)』はね、本人の意思での起動の他にもうひとつ、自動起動する場合があるの。その起動条件は本人……『無限破壊者(ジェネシッカー)』の感情の爆発」

「感情の爆発? どういう事?」

「簡単に言ってしまうと、激しい感情の乱れによっても起動してしまうって事。大掛かりな捜査を行わない理由はここにもあるの。『無限破壊者(ジェネシッカー)』を刺激しないように、ね。そして……現在の技術では、彼女を生かしたまま『破壊核(クラッシュ・コア)』を取り外す事は……不可能、という結果が出た」

「なっ!?」

 声を上げたのはヴィータだった。だが他のメンバーもみなその顔に驚愕の表情を浮かべている。

「クロノが気を使ったんだよ……機動六課の皆は優しいから、きっと出来ないだろうって。だから最初はフェイトにも話さない予定だったんだけど、僕とクロノが打ち合わせをしている時の会話を偶然フェイトが聞いちゃってね……自分が担当するって聞かなかったわけ」

 そしてユーノのその言葉から、皆無限破壊者(ジェネシッカー)という少女に対してどのような命令が下されているのかを理解した。

「……ユーノくん、もしかして、その女の子……」

 信じられないと言った表情で小さく呟くなのは。他のメンバーも声こそ出していないが間違いなく同じ気持ちだろう。
 自分の所属している大元の組織が、そんな残酷な指令を出しているなんて、誰だって信じたくはない。

「ジェイル・スカリエッティの作り出した特殊戦闘機人、コード00-X『無限破壊者(ジェネシッカー)』……二日前にその体内にある『破壊核(クラッシュ・コア)』が魔力チャージを開始した事を受け、時空管理局の上層部は……彼女の破壊命令を通達。『破壊核(クラッシュ・コア)』の起動までのタイムリミットは明日の夕方、五時ジャスト……今からちょうど、二十時間後」

 無慈悲なまでの淡々としたフェイトの言葉に、なのは達は初めて彼女に恐怖という感情を抱いた。


「ん~……」

 ほぼ同時刻、ヴィヴィオは一人で機動六課隊舎の中にある広場を散歩していた。普段ならなのはやフェイトが一緒にいるのだが、今日は二人とも忙しそうだったしさっきまで遊んでくれていたエリオやキャロも呼び出されてしまったからである。ちなみにザフィーラは地上本部の方に借り出されていた。正真正銘、ヴィヴィオ一人の夜である。
 まあ、ちゃんと寮母であるアイナにはここにいると伝えているし、隊舎内なら一人でお出掛けしてもいいとなのはから許可ももらっている。その際にあったなのはとフェイトとのちょっとした口論はまあお約束と言えた。

「む~……」

 先日なのはに連れられて時空管理局本局にある無限書庫で知り合ったユーノにプレゼントされたフェレットのぬいぐるみを抱き抱えながら、ヴィヴィオはしきりに可愛らしい唸り声を上げていた。

「なのはママ、お仕事終わるのまだかな?」

 空に輝く星を見上げながら、ヴィヴィオは小さく呟く。
 なのはが忙しい身分なのは知っている。その中でちゃんと自分との時間を捻出してくれているのも理解している。だから前みたいに泣きじゃくって我侭を言ったりとかはしないように心掛けている。
 でも、一度ある事情で成年体となり一時的に精神年齢も飛躍的に上がっていた時期があったとはいえ、現在のヴィヴィオの精神年齢は普通の七歳程度より少しだけ高いくらいでしかない。
 やはり、甘えたい。大好きななのはに、思いっきり。

「……だめだめ。なのはママもフェイトママも忙しいんだから。ママ達を困らせたら、いけないよね」

――そうだ、ママ達の為に今日は自分がキャラメルミルクを作ろう。そしてすばるさん達が買ってきてくれたチョコポットを皆で一緒に食べよう。そういえばユーノくんも来ているようだった。遊びに行ったらいつも美味しいお菓子をくれるお礼にユーノくんにもキャラメルミルクを作ってあげよう。

 そんな事を考えていると次第にいてもたってもいられなくなり、ヴィヴィオは給湯室に向かおうと踵を返した。

「……?」

 そんな時だ。近くにある並木の一角から、人の気配を感じたのは。

「……誰かいるの?」

 ヴィヴィオはまったく警戒する事なくそちらの方に声を掛ける。仮にもここは新人が多いとはいえ魔導師の精鋭が集まっている場所だし、何よりそこからは敵意も殺意もは感じられなかったからだ。

「……私だよ、ヴィヴィオ」

 しばらくして聞き覚えのある声が響き、一人の人物が姿を現す。腰にまで届く長い金髪に赤い瞳をした、ヴィヴィオがこの世で二番目に大好きな人物。

「フェイト……ママ?」

 だが、そう言い掛けたところでヴィヴィオはその顔に訝しげな表情を浮かべ、一歩距離を取る。

「ヴィヴィオ? どうしたの?」

「……だれ?」

「え? 誰って、フェイトママだよ……?」

「……違う。何か、フェイトママとは違うよ」

 ヴィヴィオは目の前のフェイトに向かって、はっきりとそう言った。
 なのはやフェイトが心配するだろうから言っていなかったが、JS事件の時に起きた自分の身のある変化の影響で、ヴィヴィオには魔法に関する基本的な知識と使用の際の時に起こる小さな魔力の揺らぎ、とでも言うべきものに敏感になっていた。
 そこから判断するに、目の前のフェイトの周囲にはその魔力の揺らぎがない。つまり変身魔法を使っているわけではないようである。だが、まだ幼いからこそ感じるヴィヴィオの第六感とでも言うべき感覚は「彼女はフェイトではない」と伝えていた。

「……ふふっ」

 ヴィヴィオの言葉に、フェイトは一瞬驚いたような表情を浮かべてから小さく微笑んだ。そして目を閉じるとその姿を別なものへを変えていく。
 金色の髪は少し短くなり、身長もヴィヴィオより少し大きいくらいまで縮む。そして再び開いた瞳は、赤ではなく青色に変化していた。

「さすがは『聖王の器』……と言うべきかな? ……ううん、さっきの人の事を、心から信頼しているから些細な違いにも気が付いちゃう、と言うべきかも」

 聖王の器……その言葉にヴィヴィオは一瞬身を硬くするが、目の前の少女からは相変わらず敵意をまったく感じない。

「……誰?」

「あなたの仲間……という言い方は失礼になっちゃうかな? 根本的に体の造りから違うしね」

「……せんとうきじん、さん?」

「ともちょっと違う。うーん、何て言えばいいのかな……一応身体は彼女達の試作機なんだけど、頭の中はわりと最近の人物で……あー、ごめん。分からないよね」

 瞳をまるで漫画のようにぐるぐると回しながら混乱しているヴィヴィオに、金髪碧眼の少女は苦笑を浮かべた。

「まあ、生みの親(せいさくしゃ)はみんなと同じジェイル・スカリエッティ。そして人ならざる存在……それが分かってくれてればいいよ」

「……うん」

 確かにそれならヴィヴィオの秘密を知っていても不思議ではないし、先程見せたフェイトに瓜二つな存在になった能力も何となくだが納得出来る。

「あの、それでヴィヴィオに何か御用ですか?」

 取り敢えず、ヴィヴィオは目の前の少女の来訪目的を尋ねる事にした。敵意を感じないとはいえ、目の前の少女の目的が「聖王の器」である自分の可能性が極めて高いからだ。
 だが、少女は首を横に振ってヴィヴィオの考えを否定する。

「……ううん、用があるのはあなたじゃないの。あのね、ここに私と同じような存在……半分だけ機械の身体を持った青い髪のお姉さん、いないかな?」

 もちろん心当たりがある。というより、そんな特殊で特徴的な存在をヴィヴィオは二人しか知らないし、そのうちの一人は別の場所にいる。
 だから、該当すると思われる人物の名前を思わず口にしてしまった。

「すばる、さん?」

「スバルって言うんだ、あの人」

 そう言って少女は微笑んだ。何の邪な考えを感じられない、ただ純粋に興味があるだけような、そんな笑みだった。
 だから、ヴィヴィオには彼女が次に言うであろう台詞に何となく気が付いた。

「あのね、その人に会いたいんだ。お願い、ここで待っているから呼んできてくれないかな?」

 両手を合わせ、小さく頭を下げる少女。ヴィヴィオはどうするべきか真剣に悩む。
 確かに少女から敵意は感じられない。しかしだからといってみすみす言われた通りにスバルを呼び出していいものだろうか。だが、スバルもなのは程ではないが強い。最悪の状況になる可能性は低いだろう。でも先程の能力がどのようなものかヴィヴィオは理解出来ていない。いやしかし……。

「……ひとつ、条件を付けていい?」

 悩みに悩んだ末、ヴィヴィオはお互いの妥協点を模索し、それを提案する事にした。

「何?」

 その妥協点とは、

「すばるさんの他に、三人別の人を連れてくる」

 というものだ。
 三人とはもちろん、なのは、フェイト、そしてはやての事だ。ヴィヴィオ的に機動六課最強であるこの三人が一緒なら、天変地異でも起こらない限り悪い状況にはならないはずだ。
 金髪碧眼の少女は流石に悩む素振りを見せたが、ここで悩んでいても仕方がないと思ったのかすぐに頷いた。するとようやくヴィヴィオの顔に笑顔が浮かんだ。

「それじゃあ、すばるさんを連れてくるから待っててね」

 そう言って駆け出そうとするヴィヴィオだが、すぐにある事を思い出し足を止めた。

「あの、そう言えばお名前は?」

「あ、そうか……言ってなかったね」

 金髪碧眼の少女はそう言って舌を出して苦笑した。

「えっとね、開発コードネームは『00-X 無限破壊者(ジェネシッカー)』で……その前の名前は……」

 少女はそこで一呼吸置いて、恥ずかしそうにまだ人間だった頃の名前をヴィヴィオに伝えた。

「……ポーラ」


「どうしてフェイトちゃん!? どうしてそんな命令を受けちゃったの!?」

「なのは、落ち着いて!」

 今にもフェイトに掴み掛かりそうななのはを、ユーノは羽交い絞めにして必死で静止する。

「離してよユーノくん! ねえ、答えてよフェイトちゃん! どうしてなの!? そういう子達の気持ちを、私達の中で一番よく知っているはずのフェイトちゃんが、どうしてなの!」

「いいから! お願いだから話を聞くんだ! なのは、君はフェイトがまったく迷わずにこの命令を受けたって思うのかい!?」

 なのはの言葉に反論しようとせずただ俯くフェイト。そんなフェイトを必死で擁護するユーノ。その状況が更になのはを苛立たせる。仕事にそういったものを持ち込むのはいけない事だと理解しつつも、コントロール出来ないのが「感情」というものだ。

「どんなに悩んでも受けたのなら同じじゃない! どうして彼女の破壊じゃなくてその『破壊核(クラッシュ・コア)』ってやつの停止方法を考えなかったの!? 見つけようとしないの!? 答えて、フェイトちゃん!」

「……だって」

 そんななのはに向かって、ようやくフェイトがその口を開いた。

「私だってこんな命令を受けたくなんてなかった! でもしょうがないじゃない、他に方法がないんだから! 時間もないんだから! そんな事を言うのならなのはが教えてよ! あの子を助けてあげられる方法を、教えてよ!」

「時間はまだあるじゃない! 今度は私達だっている! 皆で探せば、力を合わせれば、絶対に何とかなる! 今までだってそうだったよね!? フェイトちゃん、スバル達が、ナンバーズの皆がそうであるように、戦闘機人にだって、機会の身体にだって、心はちゃんとあるんだよ! 私はフェイトちゃんがそれを一番理解してると思っていたのに!」

「なのは! いい加減にしろよ! 親友である君がフェイトの思いに気付いてやれずにどうするんだよっ!」

 びくり、と身を振るわせるなのは。初めてだった、ユーノがそんな大きな声で怒鳴るのは、本気で怒っている表情を見るのは。
 残りの四人も同じらしく、皆驚いたような表情でユーノとなのはの方を見つめていた。

「『破壊核(クラッシュ・コア)』はね、本来生身の人間にも付けられるものなんだ。どこに付けると思う? 人間の頭……脳になんだよ!」

「!?」

「そんなもの、おいそれと取り外せると思う? 取り外せるように出来てると思う? あれは寄生型の兵器でね、最初は小さな虫の形をしていて口や耳から入り脳に辿り着いた時点でまるで生き物のように根を張って寄生する。『破壊核(クラッシュ・コア)』が開発当時どんな名前で呼ばれていたか知ってる? 『人間爆弾』だよ! そして寄生したら取り外せないよう、外部からの負荷が掛かったその瞬間に寄生者の脳で爆発する。都市ひとつ破壊する威力なんてもちろんないけど、それでも頭を吹き飛ばすくらいの威力はあるんだ! 方法は確かにあるかもしれない、でも、さっきも言ったとおりあの子の『破壊核(クラッシュ・コア)』はもう起動しちゃってるんだ。その方法を探し、実行する時間は……無いに等しいんだよ!」

「でも……でも! 諦めなければきっとチャンスはあるよ! 今までだってそうやって色んな難事件を最高の結果で終わらせてきたじゃない!」

「その為になのははミッドチルダ、そして他の世界に生きている人達に人質になれっていうのかよ!?」

「――!?」

「分かってよなのは! 今回は今までとは……規模が違いすぎるんだよ!」

 なのはの全身から力が抜け、その場に崩れ落ちる。そしてようやく、先程ユーノが呟いた「機動六課の皆は優しいから、きっと出来ないだろう」という言葉を、真の意味で理解した。

「……フェイトちゃんは、それで良かったの? 納得出来たの?」

 項垂れた姿のまま、なのはは小さくそう呟いた。

「……出来るはずがないよ。でも、誰かがやらなくちゃいけない。やらなくちゃ、きっとこの機動六課の隊舎も、無事では済まない。ここにいる、エリオやキャロ、シャーリーといった仲間、そしてヴィヴィオが被害に合う。地球に住むエイミィやアルフ、カレルやリエラ……アリサ、すずか……皆が、被害に合うかもしれない。そして、六課のみんなに……なのは達に、こんな思いをさせたくなかった。だから、一人で動いてた」

 そう、フェイトもまた……優し過ぎる女性なのだから。そしてどんなに自分の心が傷付こうとも、大切な人を守る。そんな想いを、まっすぐに貫ける強さを持った女性なのだから。

「……私、行くね。皆は今日の事、忘れてくれていいから……明日の朝、スバル達が動き出す前に……決着をつけないと」

 そう言ってミーティングルームを跡にしようとするフェイト。なのはの肩を優しく叩き、その後を追うユーノ。そして、そんな二人に待ったを掛ける人物が一人。

「済まないが、このまま行かせる事は出来ない」

「シグナム?」

「お前では無理だ。きっと、その直前になるとその手を止めてしまう可能性が高い。何しろお前は……人を殺す事に、慣れてなどいないだろう?」

「――!?」

 図星だった為、否定する事が出来ないフェイト。その可能性は、フェイト自身も感じていた。

「……でも、やらなくちゃいけないんです。誰かが、やらないと!」

「勘違いするな、やるなとは言っていない」

「え?」

「……お前よりは、人を殺す事に慣れている者がいるというだけだ」

 待機状態(ウェイトモード)の愛機(デバイス)、炎の魔剣「レヴァンティン」を握り締めながら、シグナムは力強く宣言する。

「で、でも……」

「テスタロッサ、お前は優し過ぎる。だが、その優しさがお前の魅力のひとつだ。こんな事で、その魅力を無くさせたくは、ない」

「シグナム……」

「主、はやて。どうかテスタロッサと行動を共にする事をお許し下さい」

 じっと己の主を見つめ、はっきりと願うシグナム。ヴィータもまたそんなはやてを複雑そうに見つめながら、どうするべきか悩んでいる様子であった。

「……あかん、そんなんあかん!」

「主、お気持ちは分かります。しかし、テスタロッサの言うとおり誰かがやらねばならない事です。最悪、決別されても構わぬ覚悟を抱きしこの不届き者に、どうか華を持たせて下さい」

 だが、はやての次の言葉はそんなシグナムの予想を超えるものであった。

「……違うでシグナム。うち、闇の書事件の時に言ったよな? 『皆が犯した罪は、主であるうちの罪でもある』って。シグナムが心を引き裂かれんばかりの覚悟で犯そうとしている罪、うちにも分けてもらうで」

「しかし、主……」

「シグナム、うちら、『家族』やろ? 痛みも、喜びも、分け合おうや」

 はやてのその言葉に、横で聞いていたヴィータは顔を上げて頷いた。
 そして、彼女も、また。

「なのは……」

 そっと立ち上がり、真剣な表情でフェイトを見つめるなのは。そんななのはの視線を、フェイトもまたしっかりと見据えていた。

「……フェイトちゃん。私は、今回の事に納得していないし、これから先も、納得する事は無いと思う」

「うん……」

「でも、だからといって何もしない何て出来ない。私は……自分の持っている力を、困っている人の為に使う為に、ここにいるから」

「なのは……」

「フェイトちゃん、はやてちゃん達と同じように……私達も分かち合おう。罪の、重さを……」

「うん、ありがとう、なのは」

 全員の決意が、固まった。

 ……己の心を、傷付ける決意が。

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 ちょっとだけ重い話になってきましたこの「無機の心」、第二話いかがだったでしょうか?w
 最初の頃の「自由待機の光景」や「なのは的昔話」の面影がまったくないシリアス話が続いていますが、作者的にはどちらも同じ位好きですw ただこの前までリリマジで出す本がギャグ本だったので今シリアスに飢えているだけで……w
 ギャグもそのうち書きますのでそちらが好きな人もお付き合いくださいませww

テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

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