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魔法少女リリカルなのはSS 「無機の心が思う事」 第三話 『storm~強襲~』

「「………」」

 思わず口を開けて呆けてしまうスバルとティアナ。
 二人のその様子を、苦笑を浮かべて見つめるエリオとキャロ。
 そして四人の様子を不思議そうに見つめるヴィヴィオ。機動六課の中庭ではそんな何ともいえない微妙な空気が流れていた。

「えっと、こんにち……あ、もうこんばんはかな? 昼間はどうもです」

 スバルとティアナが昼間出会った、フェイトに『無限破壊者(ジェネシッカー)』と呼ばれていた機械仕掛けの少女。明日になったら機動六課総出で探す予定だったはずの少女が、今目の前にいる。これに驚かないはずがなかった。
 スバルと一緒になのは達を連れてくるつもりだったヴィヴィオだったが、結局なのは達は何やら大事な会議中との事で連れて来る事が出来なかったのだ。その代わり……といっては失礼だが、スバルと一緒にいたティアナ、エリオ、そしてキャロに一緒に来てくれるようにお願いしたのである。
 四人は最初訝しげな表情を浮かべながらもヴィヴィオに言われるままに付いていき、そして例の少女に出会う事になったのである。

「あの、スバルさんティアナさん、この子が例の?」

「……ええ、そうよ。まさか自分からここに来てくれるとは思わなかったけど」

 そう言って頭を抱えるティアナ。まあ、しょうがないと言えばしょうがないかもしれない。

「あはは、別に不思議じゃないですよ。私は別に皆さん……時空管理局の方々と争うつもりはありません。創造主(マイスター)……ジェイル・スカリエッティも逮捕された今、私にそういう命令を下す者はいませんから」

「ああ、えっと……」

「ポーラちゃんだよ、てぃあなさん」

 流石に『無限破壊者(ジェネシッカー)』という呼び方はどうかと思っていたところにそれを察したヴィヴィオが助け舟を出した。

「別にどう呼んでもらっても構いませんよ? 『無限破壊者(ジェネシッカー)』という名前も『ポーラ』という名前も、私の名前には変わりませんから」

 少女……ポーラもまたティアナの心情を察して微笑みながらそう告げた。

「……それじゃあポーラって呼ばせてもらうわ。それで、どうしてポーラは敵意がないのに『作られる嘘吐き者(メイキング・フェイカー)』とかいう希少技能(レアスキル)で私達とフェイトさんを戦わせるような真似をしたの?」

「……あの私と同じ金髪の女性、フェイトさんはかなりの熟練者ですし、彼女の魔法は特例を除いて全て非殺傷設定です。そしてあなた方もかなりの熟練者……衝突してもお互い大怪我を負う可能性は極端に低いと判断しました」

「はあ……成る程ね。ヴィヴィオと同い年くらいなのによく考えているのね」

 思わず感心してしまうティアナだったが、

「まあ、外見はこんな感じですが実年齢はあなた方とそう変わらないんですよ、実は」

「あ……」

 ポーラのその台詞に自分の失言を悟る。

「あ、気にしないで下さい。私自身、そんなに悲しいとは思っていませんから。大怪我もしないし、病気にもならないなかなか良い身体ですよ」

 そう言ってフォローを入れるポーラに、ティアナは更に自分の浅はかさを痛感すると同時にちょっとした親近感が沸いた。

(この子……ちょっとスバルに似てる)

 自分の出生や他とは違う体を悲観したりせず、むしろそれを武器に前へと進もうとする、馬鹿正直な相棒(パートナー)に。

「それで、アタシに会いたがっていたって聞いたんだけど、どうして?」

 その馬鹿正直な相棒(パートナー)は笑顔でポーラに尋ねる。ヴィヴィオの話によると元々彼女が話したがっていたのはこのスバルだという事だ。

「あ、その……怒らないで欲しいんですけど、あなたから同じ匂いというか、自分に近い感覚というか、そういうのを感じただけで……ちょっと、我侭も聞いてもらえるかな、と」

 恥ずかしそうに頬を染め、小さな声で呟くポーラ。その台詞にティアナは思わず噴き出しそうになったのを何とか堪えた。

「我侭?」

「はい……あの、お願いがあるんです」

 ポーラは一度深呼吸を行い、そして真っ直ぐな瞳でスバルを見つめてからはっきりと告げる。

「私のお母さんを、探して欲しいんです」


「どうだった? なのは」

「ううん、いない……ヴィヴィオ、どこに言ったんだろう……」

 会議を終え、長くなりそうな夜を迎える前にヴィヴィオの顔を見ておきたいと思ったなのはは一度自室に戻り、彼女がいない事を知ったのだ。

「また、変な事件に巻き込まれたのかな……」

「……大丈夫、ヴィヴィオが『聖王の器』だという事を知る人間は少ないし、『ゆりかご』が消滅した今『聖王の器』としての存在意義は無いに等しい。ヴィヴィオが事件に巻き込まれる可能性は低いはずだよ」

 ヴィヴィオを引き取る事が確定し、最近ではフェイトと同じかそれ以上に心配性になりつつあるなのはに、フェイトは優しく呟く。

「とにかく、機動六課の隊舎から出た形跡はないから敷地内にはいるはず。探そう」

「う、うん……」

 なのはは戸惑い気味ながらも頷き、一旦フェイトと手分けす為に別れようと提案しようとしたその時、ふと視線を移した中庭の方で何かの気配を感じた。


「……えっと、つまり要約すると自分が戦闘機人になる前、人間だった頃の家族を探して会いたい、って事?」

「正確には私はジェイル・スカリエッティ作の戦闘機人シリーズとはコンセプトが違うんですけど……まあ、そんな感じです」

 スバルの言葉にポーラは顔に笑みを浮かべて頷く。しかしその笑顔の裏に隠された壮絶な過去を聞いてしまった後では皆どうしても笑い返す事など出来そうになかった。

「……酷いです。幸せに暮らしていた人を誘拐して、そんな事をするなんて」

 瞳一杯に涙を浮かべるキャロ。何も言わないが握る拳に力が篭るエリオ。スバルやティアナも心境はまったく同じであった。ヴィヴィオなんかはすでに泣きじゃくっている状態だ。

「あの、そんな顔をしないで下さい。さっきも言いましたが、私は別に自分の事を不幸だと思った事は無いんです。むしろこう言っては何ですが……ジェイル・スカリエッティには多少ですが感謝すらしていますから」

「え?」

 それは思わぬ言葉であった。自分の身体を勝手に変えられたというのに、その張本人に対して感謝をしているという台詞に、違和感がない方がおかしいだろう。
 だがポーラは笑みを浮かべたままその理由を述べる。

「……私が生身の人間だった頃、実は身体が丈夫ではなくてこの外見の歳……八歳の頃くらいまでしか生きられないだろうって言われていたんです。でも、この機械の身体に移植されて、新たに六年という月日を刻む事が出来ました。まあ、そのうち五年半は眠っていましたけどね。でも、それでも私が見られるはずのなかった未来の風景を瞳に写す事が出来た事に変わりはないです」

 そう笑顔で言い切るポーラ。その心の強さに、スバル達は惹かれざるを得なかった。

「……分かった。必ず、見つけてあげるからね!」

「スバル、そんな安請け合いをしちゃっていいの?」

「だったら、ティアは反対なの?」

「……そういう風に見える?」

 ティアナの言葉にスバルは笑顔で答えを返した。そしてエリオとキャロに視線を移すと二人とも頷いている。ヴィヴィオですら、瞳に浮かんでいた涙を袖で強引に拭って無理やりだと分かる笑顔を作っていた。

「スバルさん、なのはさん達に事情を話して協力してもらいましょう」

「そうね。なのはさん達みんな……特に八神部隊長は顔が広いみたいだし、協力してもらえる事に越した事はないと思う」

「大丈夫、なのはママ達なら、絶対協力してもらえるから♪ 私、なのはママの所に行って来る」

 そう言って駆け出すヴィヴィオ。なのはとフェイトがヴィヴィオにかなり甘い事は有名なので一番の適役だろう。

「じゃあ、なのはさん達への協力要請はヴィヴィオに任せるとして、私達は出来る限りの情報を集めましょう。ねえポーラ、何か手掛かりとかない?」

「あ、えっとですね、私のお母さんだった人ですが、実は……」

 そこでポーラの言葉が途切れる。それとほぼ同時に、スバル達は背後から気配を感じて一斉に振り返った。

「なのはさん? ヴィータ副隊長?」

「フェイトさんに、シグナム副隊長……八神部隊長まで?」

 そこにいたのは、機動六課の主力とも言える五人。スバル達が知る中で、最強とも言える五人の姿であった。そして、その五人全員が、いつもと様子が違う事に気付かぬ程フォワード陣も鈍くもなかった。

「なのは、さん? どうして……バリアジャケットを着けているんですか?」

 それが意味する事を知りつつも、信じられないスバルは思わずそう尋ねる。

「スバル……よく、聞いて……」

「……ええ、なのはちゃん。部隊長である、うちから言うわ」

「はやてちゃん……」

 何かを言い掛けていたなのはを遮り、同じく騎士甲冑に身を包んでいたはやてがそっとその意味を告げる。

「スバル……今スバルの傍にいるその子……『00-X 無限破壊者(ジェネシッカー)』にはな……時空管理局本局から、破壊命令が下っとるんや」

「なっ!?」

 絶句するスバル。それは他の三人も同じだった。

「どうしてですか!? この子……ポーラが何かしたんですか!? 少しお話しましたけど、凄く良い子なんです! 大体、何で『破壊』なんて言葉を使うんですか!?」

「……決まっとる……その子が、存在してはいけない破壊兵器やからや……」

 スバルの叫びに、はやては冷たい表情で告げる。

「何で……どうしてそんな事を言うんですか!? 説明して下さい、八神部隊……」

「……そこまでにしておけ、スバル」

 スバルの言葉が中断する。彼女の咽元に、ラケーテンフォルムをしたヴィータの愛機『グラーフアイゼン』の切っ先が当てられたからであった。

「スバル……えっ!?」

「……ティアナも、動かないで」

 駆けつけようとしたティアナをバインドするのは、なのは。

「……二人も、だよ。お願いだから動かないで」

「フェイト、さん……?」

「どうし、て……?」

 エリオとキャロは、フェイトがその前に立ち塞がる事でその行動を塞ぐ。

「みんな……ごめんな」

 はやては小さな声でそう呟くと、ポーラの前まで出ようとするが、それをシグナムが制止する。

「主、お待ち下さい」

「……シグナム?」

「先程申し上げたとおりです。私はテスタロッサを、高町を、そして主、貴女の手を、こんな事で汚させたくはありません……私が、やります」

「で、でも……」

「……御免!」

「っ!?」

 何か言いたげだったはやての腹部に拳で一撃を入れ、気絶をさせる。

「シグナム!? 何やってんだよ!?」

「……やらせたくないと同時に、見せたくないからな。主に、『死』の場面を……」

「………」

 そっとはやてを草の生えている地面に寝かせ、シグナムはレヴァンティンを構える。

「高町、テスタロッサ……そしてお前達、全員目を逸らしておけ……トラウマにならぬように、な」

「シグナム副隊長! お願いだから止めて下さい! 一体どうしたって言うんですか!?」

「……うっせぇっ! 黙ってろよスバル!」

 スバルの叫びに答えたのは、シグナムではなくヴィータだった。苦悶と憤りに満ちた表情でスバルを睨でいる。

「ヴィータ、副隊長……?」

「アタシが、シグナムが、なのは達が何も感じずにこんな事をしてると思うのかよっ!? アタシ達だって何とかしたかった! でも、時間がないんだ、どうしようもねえんだよっ! 恨んでくれても構わない、蔑んでくれたって結構だっ! だから……大人しくしといてくれよっっっ!」

 慟哭を上げるヴィータに、スバルは何も言えなくなる。その間にも、シグナムはゆっくりとポーラの元へと歩んでいっていた。

「……お前に恨みはない。だが、多くの命を救う為……申し訳ないが、今世を、捨ててはもらえないか? 今なら……破壊しても軽い障壁で威力は完全に封殺出来るのだ」

「……私の持つ、爆弾の事ですか?」

「知っていたのか?」

「聞かされてはいましたから……先日、起動してしまった事も、気が付いています」

 そう言ってポーラは微笑む。

「怖くは、ないのか?」

「とっくに無くなっていたはずの命ですから……私の我侭で、沢山の人の命を危機にするのは、やっぱり良くはないですよね」

 幼い外見とは裏腹に、機械の身体とは思えないその穏やかな表情に、シグナムはそっと目を細めた。

「……主はやてがいなければ、お前にぜひ仕えたかったと思えるくらいに、良い心を持っているな」

「機械の心ですけどね……最後に、お願いがあります。スバルさん達の事ですけど……」

「案ずるな、罰するような事はせんよ」

「……良かった」

 それだけを呟き、ポーラはそっと瞳を閉じた。それを見届けたシグナムはレヴァンティンを彼女の頭上で大きく振り上げる。

「……お前の来世に幸いがある事を、心から願っているぞ」

「はい、ありがとうございます」

「……レヴァンティン!」

《Jya!》

 レヴァンティン掛け声と共に、その刀身に魔力と炎が宿る。
 このフォームから繰り出される技……それはシグナムの決め技のひとつだ。

「紫電……一閃!」

 魔力と炎の宿ったレヴァンティンがポーラへと振り下ろされる、その時だった。

「やめろぉぉぉっっっ!」

「なっ!? スバル!?」

 戦闘機人モードを起動させ、目にも止まらぬ速さでヴィータを振り切ったスバルはポーラに飛びつき、彼女を庇うように抱き抱えたのだ。

「くっ!?」

 必死でレヴァンティンの軌道を変えようとするシグナム。だが、どう考えても間に合いそうにない。非殺傷設定を解除している今、レヴァンティンがスバルに振り下ろされてしまえば、確実に無事では済まない。

「スバルッ!?」

 ティアナが悲鳴に近い叫び声を上げる。そして、それとほぼ同時に上がった悲鳴があった。

「だめぇぇぇっっっーーー!」

 それは青い瞳にレヴァンティンの刀身を写していた、ポーラのものだった。そして、

「……な、に?」

 地面を揺るがす振動と、激しい音。地面にぽっかりと空いた穴。
 しかしそこには、何も存在しない。スバルのものと思われる肉塊も、ポーラのものと思われる金属片も。

「……逃げられた、な」

 いつの間にか意識を取り戻したはやてのその呟きに、ティアナ達も、そして、思わずなのは達も。
 ほっとしたような表情を浮かべていた。

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 「無機の心が思う事」、第三話UPいたしましたw
 何というかまあ……ジェイルさんちょっと自重して下さいww
 さて、どうにかこの場を切り抜けたスバルとポーラは次にどのような行動に出るのか、そしてティアナ、エリオ、キャロ達の側となのは達の側がどう動くか、ご期待下さい……とか言ってみるテストww

テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

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