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魔法少女リリカルなのはSS 「無機の心が思う事」 第四話 『lacrima~涙~』

「ユーノくんのところでお泊り?」

「うん。ちょっとなのはママもフェイトママも明日まで忙しくなりそうだから。今ユーノくんとフェイトちゃんが準備しているから、このリフレッシュルームに行ってちょっと待っていてね」

「う、うん……」

 ポーラに関する事を相談しになのはの所に向かったヴィヴィオは、その話をした後唐突に振られたユーノの自宅での宿泊話に少々戸惑ってしまう。
 確かにユーノの事は好きだし、自分と同じく本が好きな彼ともっとお話したいとは前から思っていた。それこそ一晩くらい掛けて。しかし急というか……何となく、腑に落ちない点が多いのだ。

「明日の夕方には迎えに行くから。来週はユーノくんとなのはママのお休みが被るし、三人で遊園地でも行こうか?」

「ほんと!?」

「うん、ほんと」

「うわーい♪」

 しかしなのはのその言葉にヴィヴィオの不信感はあっという間になくなり、飛び上がって喜んでいた。

「じゃあなのはママは行くから、ユーノくんの言う事、ちゃんと聞くんだよ?」

「はーい。なのはママ、お仕事頑張ってね」

「うん、ありがと、ヴィヴィオ」

「あ、それと……」

「ん?」

「ぽーらちゃんの事、お願い」

「……うん、なのはママに任せて」

「うん♪ だからなのはママ、大好きだよ♪ 行ってらっしゃーい♪」

 笑顔で手を振るヴィヴィオに背を向けてミーティングルームを後にするなのは。そしてオフィスルームに到着し自分の席に着いてからフェイトに念話を送る。

――フェイトちゃん? 今、大丈夫?

――なのは? うん、大丈夫だよ。

――ヴィヴィオがミーティングルームで待ってる。ユーノくんに後はお願いって伝えてもらっていいかな?

――うん、分かった……でも、いいの? ユーノはキャロにもひけを取らないほど優れた支援魔法の使い手だよ? ……正直、キャロの応援を受けられるか分からない今、ユーノの存在は大きいと思うけど。

――……ユーノくんは局員扱いだけど、本質は民間の学者さんだよ。そういう人を巻き込むのは、あまり良くないと思うし、『無限破壊者(ジェネシッカー)』のあの子がまたここに来てヴィヴィオと接触しないとも限らない。こう言っては何だけど……私は、あまりヴィヴィオに『聖王の器』を連想させるような接触はさせたくないんだ。ユーノくんならヴィヴィオも懐いているし、支援に長けているからこそヴィヴィオの護衛に回ってくれるとこれ以上に心強い事はないよ。それに……。

――……それに?

――……見られたくないから。ユーノくんに教えてもらったこの『魔法』の力で、初めて人殺しを行う所を。

――なのは……大丈夫、そんな事、私がさせないよ。

――にゃはは……ありがと、フェイトちゃん。でも大丈夫だよ……覚悟は、出来ているつもりだから。

――なのは……。

――通信、切るね。ユーノくんによろしく言っといて。

――……分かった。なのは、あんまり、気を負わないでね。

――うん、ありがと、フェイトちゃん。

 なのはは念話を切り、そして入り口の近くにあった気配に声を掛ける。

「入ってきていいよ、ティアナ……」

 そうなのはがその気配に語り掛けると、そこからティアナが顔を出した。その顔に、明らかに怒りだと分かる表情を浮かべて。
 なのははティアナの心情を理解したのか、少し寂しげな顔をしている。

「……あの子、『無限破壊者(ジェネシッカー)』の事について、聞いた?」

「……はい。あの子の身体の中にあるっていう『破壊核(クラッシュ・コア)』については、特に詳しく」

「そっか……」

 二人の間に沈黙が流れる。そして、数分続いたそれを破ったのはティアナの方であった。

「なのはさんは……」

「うん?」

「なのはさんは、あの子を……ポーラを、破壊するつもりだったんですよね?」

「……うん、そうなる、ね」

 なのはがそう答えた瞬間、ティアナはなのはの座っているデスクを両の手の平で力一杯叩いた。

「どうしてですか!? あの子がスカリエッティの作った機械だからですか!? ナンバーズの皆は『ナンバーⅡ』を除いて全員保護したのに、どうしてあの子だけ破壊命令が出てるんですか!?」

 真っ直ぐな瞳で上司である自分に食って掛かってくるティアナに、なのはは先程のフェイトと会話をしていた時の自分を重ね、何とも言えない気分に浸っていた。

「……『破壊核(クラッシュ・コア)』の事は聞いたんだよね? だったらティアナなら理解出来なくはないと思うんだけど。あの子の件に関して、私達は時間を掛けて解決する猶予を与えられていない。そして一度発動してしまった『破壊核(クラッシュ・コア)』は爆発するか破壊しない限り止らないし、もし最大限に魔力を吸収して爆発してしまえば、ミッドチルダはおろか他の世界にまで影響が及んでしまう。そして残された時間も少ない。こんな状況で、世界も、あの子も助けられる方法を探すのは……不可能なんだよ」

「だったら! もしこれがポーラじゃなくてスバルだった場合はどうしたんですか!? なのはさんは今みたい冷静に『スバルを破壊しなさい!』なんて命令を出す事が出来るんですか!?」

「……出来るよ、それが、私のなすべき事なら。私の仕事なら」

「……!?」

 その、尊敬する人物からのあまりに冷酷な言葉にティアナは絶句し、右手を血が滲むまで強く握り締めた。

「……失礼、します!」

何とかそれだけを言葉にして、ティアナはオフィスルームを後にしようとする。

「……なのはさん、なのはさんに対してのある噂を知っていますか?」

が、その途中でなのはに背を向けたままティアナが小さな声で呟いた。

「噂?」

「はい。教導隊や管理局内では『エース・オブ・エース』の通り名で讃えられているなのはさんですけど、一部のなのはさんを良く思わない人間や犯罪者側の方からは、こういう忌み名を付けられているらしいですよ……『管理局の白い悪魔』」

「………」

「最初は馬鹿らしいと思っていました。なのはさんと一緒に行動するようになってからは特に。でも、今は……納得しています」

「ティアナ……」

「なのはさん……あなたは、悪魔ですよ」

 背を向けたまま冷たい声で吐き捨て、ティアナはオフィスルームを後にした。

「……悪魔、か」

 ティアナが出て行くのを引き止めようとせずそのまま見送った後、なのはは椅子に深く座り直し天井を仰いだ。
 そうしなければ、溢れ出しそうだったからだ。

「……ダメ。まだ泣いちゃ……いけない」

 両目を右腕で覆い隠し、なのはは必死で嗚咽を堪えた。


「それじゃあヴィヴィオ、ユーノの言う事をちゃんと聞いていい子にしてるんだよ?」

「うん♪ 行って来ます、フェイトママ」

「ユーノ、ヴィヴィオの事、お願いね」

「うん……」

――……分かってる。フェイトも……なのはの事、頼んだよ。

 ヴィヴィオに聞こえぬよう念話でそう続きを伝えたユーノは、笑顔で手を差し出してきたヴィヴィオのその手を引いて機動六課の隊舎を後にした。二人の姿が見えなくなるまで手を振って見送った後、フェイトは隊舎の中に戻ろうとし……、

「あ……」

 入り口で佇んでいたエリオとキャロの姿を確認した。

「……二人とも、どうかしたの?」

 口ではそう尋ねるフェイトだったが、その理由は想像出来ていた。

「……フェイトさん、あの子は……ポーラちゃんは、どうにかならないんですか?」

 予想通りのキャロの言葉に、フェイトはため息を吐きたい気分で一杯になる。

「……私も、何とかしたい。でも、時間もその手段もない……どうしようも、ないの」

 まるで自分に言い聞かせるようにフェイトはそう呟いた。

「で、でも……!」

「……キャロ」

それでもフェイトに食いつくキャロを、エリオはその肩に手を置いて静止させる。

「エリオ……くん?」

「ごめんなさいフェイトさん、お仕事の邪魔をしちゃって」

「……ううん、いいよ。エリオ、キャロ。明日の明朝にはやてと前線メンバーであの子の捜索と……破壊の、作戦が開始されるの。フォワードメンバーは希望者だけだから」

 フェイトのその言葉には、暗に「参加しないで欲しい」という意味を込めているのが二人にも何となく察しがついた。

「分かりました……お休みなさい、フェイトさん」

「うん……お休み」

 話は終わりと言わんばかりに、エリオはキャロを連れて宿舎の方に向かった。フェイトもそれを追いかけるような事はせず、そのまま隊舎の方へと戻っていく。

「エリオくん……」

 フェイトの姿が見えなくなるところまで来ると、キャロはエリオの名前を呼んだ。その声は、どうしていいか分からない不安に満ち溢れていた。

「……ねえ、キャロ。僕達は、フェイトさんの事が大好きだよね?」

「え? あ、う、うん」

 そして唐突に尋ねられたエリオの言葉に、キャロは戸惑いながらも頷いた。

「フェイトさんの役に立ちたくて、機動六課に来たんだよね?」

「……うん」

「だったら……やろうよ。フェイトさんの為に……」

「エリオ、くん……」

 その言葉の意味を理解するのに、キャロは少し時間が掛かった。


「あのな、シグナム。シグナムがうちの為にやってくれたのは分かっとる。でもな、うち最初に言うたやん。『痛みも、喜びも、分け合おうや』って」

「……はい」

「もうあんな事したらあかんで。うち泣いてしまうからな」

「申し訳ありません」

 先程のはやてに一撃を入れ気絶させた件について厳重注意を受けるシグナム。と言ってもはやてもその行動の意味が分からぬ程馬鹿ではない。だから厳重注意だけで罰するような事はしなかった。

「よし、ほなもう言ってええよ。今日はもう休んで、明日頑張ろうな」

「はい。それでは主はやて、失礼します」

 そう言って軽く頭を下げ、シグナムは隊長室から退室をする。

「……? お前達?」

 そしてそこにいた二人の人物を見て、シグナムは思わず足を止めた。

「ただいまです、シグナム」

 はやての命令で今日の朝から外出していた、八神家の末っ子にして守護騎士(ヴォルケンリッター)やはやての能力を極限まで高めてくれるユニゾン・デバイス、リィンフォースツヴァイ……リィンと、

「……よぅ、その、久しぶりだな、シグナム」

 JS事件の時に知り合い、最初は敵として行く手を阻み、最後には味方として力を貸してくれた、シグナムを融合主(ロード)とする炎のユニゾン・デバイス……アギト。
 小さくとも強い二人の姿がそこにあった。

「アギト……どうしてここに?」

「私が連れてきたんです。お仕事を終えて帰る途中にはやてちゃんから『きっとアギトの力が必要になるだろうから』って言われて」

「で、仮出所って扱いで出てきたんだ。まあ、シグナム達に協力する意思があるならもう保護観察処分に移行してもいいって言われたけどな。一応、ルールーが出所するまではあっちで一緒にいるつもりだけど」

 そう言って少し照れたような表情を浮かべるアギト。前に通信をした時シグナムは「己の道をゆっくり選べ」と進言したが、どうやら半分以上、その心は決まっているようである。シグナムはそれを快く思った。

「そうか。確かにアギトの力が必要になるかもしれないな。よろしく頼む」

「あの、シグナム。私まだ詳しい状況を知らないですが、一体何が起こってるですか?」

「そうだな……いや、私より主はやてに聞いた方が早いだろう。まだ中にいるから直接尋ねるといい」

 右の親指で後ろのドアを指し示すシグナム。リィンはそれを不思議に思いながらも言われた通りアギトを連れて中に入ろうとする。

「おいバッテンチビ、アタシはシグナムから事情を聞くから中には入らねえぞ」

「いい加減『バッテンチビ』って呼ぶの止めるですっ! ……って、どうしてですか?」

「何だっていいだろ。大体、アタシのロードはシグナムだ。そのシグナムが仕えてるのがはやてだってだけで、悪いがアタシはあいつに仕えてるわけじゃないんだよ」

「ちょ、どういう意味ですか!? はやてちゃんを悪く言うのは許さないですよ!」

「別に悪口を言ってんじゃねえよ。それくらいも分かんねえのか、このバッテンチビは」

「だからバッテンチビって言うなですーっ!」

 同じユニゾン・デバイスだからか対抗心がるのかそれとも元々相性が良くないのか、この二人は通信などでも結構喧嘩をする確率が高い。

「落ち着け二人共。リィン、アギトには私から事情を話そう。お前は主から話を聞くといい。お互い、その相手とユニゾンする可能性が高いわけだしな」

「むぅ……分かったですよ」

 渋々、といった様子ではあったがリィンは頷き、はやてのいる隊長室に入っていった。

「……で、何があったんだシグナム?」

 そしてそれを確認した途端、アギトはシグナムに話し掛けてくる。

「……どういう意味だ? アギト」

「惚けなくてもいいって、何かあったんだろ……正確には、信じている道を歩んでいいのか、悩んでいるってところじゃないか?」

 その言葉にシグナムは驚きを隠せずにいた。正に、彼女の言う通りなのだから。

「何で分かったのかって顔だな……ずっと、見続けてきたからな。どんな事があっても真っ直ぐに自分の信じた道を突き進んだ魔導師を」

「………」

 誰の事を言っているのか、シグナムにはすぐに分かった。
 ゼスト・グランガイツ……アギトの、前のロードである魔導師。彼の騎士としての生き方はシグナムにも共感出来るところが多く、密かに尊敬する人間の一人であった。

「そんな人間をずっと近くで見続けてきたから、何となく分かっちまうんだよ。その人間に、迷いがあるかどうかってな」

「……ふっ、お前には驚かされてばかりだな」

 自嘲に似た笑みを浮かべるシグナム。そんな彼女に、アギトはただ、こう告げるだけだった。

「あのさ、アタシはさっきあんたから事情を聞くって言ったけど、実際にはそんなのどうでもいいんだ。ただアタシは、ゼストの旦那に騎士としての誇り高き最後を与えてくれたあんたに付いていくと決めた。そして、あんたがもし道を踏み違えたのなら、アタシがあんたを燃やし尽くす。灰も残らないくらいにな。だから、シグナム……あんたは自分の選んだ道を突き進んでくれればいいんだよ」

「アギト……」

「アタシはあんたを信じている。あんたは、絶対に道を踏み外す事はないって。だから、そんなあんたを信じているアタシを、あんたは信じろ……シグナム」

「……ふ、はは!」

 込み上げてくる笑いが抑え切れず、シグナムは思わず声に出してしまう。

「な、何で笑うんだよっ!?」

「ふふっ、いや、何……お前はやはり、私にとって最高の相棒だと実感しただけだ。このレヴァンティンと同じくらいにな」

「なっ、ななななな、何言ってやがんだよ!」

 顔を真っ赤にしてそう反論するアギトだったが、まったく凄みがない。どちらかというと微笑ましい光景であった。

「……礼を言うぞアギト。私は……主の為に、この剣を振るおう。あの方が主である間は、永劫、な」

「……へへっ、それでこそシグナムだよ」

 その瞳にまったく迷いがなくなったのを見出したアギトは、そう言って嬉しそうに微笑んでいた。


「……ん?」

「スバルさん!? 良かった……気が付いた……」

 すぐ横で自分の名前を呼ぶ声が聞こえ、スバルはうっすらと目を開ける。
 最初に瞳に飛び込んできたのは、空一杯に散りばめられている満天の星空。そして、次に金髪の少女の顔。

「……ポーラ? って、ああっ!?」

「ひゃっ!?」

 ポーラの姿を確認した途端、スバルは先程まで自分が何をしていたのかを思い出し、慌てて身体のあちこちを調べる。

「……って、あれ? どこも怪我していない?」

 まったく痛みを感じない身体に、思わず呆けてしまうスバル。確かに、シグナムの「紫電一閃」をまともに食らってしまう状況だったはずだった。しかもほぼ確実にシグナムは魔法を殺傷設定にしていたはずだ。実際にいくら戦闘機人の身体を持っているとはいえ、数ヶ月から数年の入院、更に酷ければ管理局の退職、そして最悪、「死」すらも頭に浮かんでいた。
 しかし、不思議な事にどこも傷を負った形跡はない。また、

「えっと……ここ、どこ?」

 周りも見慣れた機動六課の風景ではなく、森の中のような木々がうっそうと茂った場所であった。

「あの瞬間、『作られる嘘吐き者(メイキング・フェイカー)』を使ってナンバーズの六番、セインをトレースしてIS『ディープダイバー』を発動させて逃げたんです。ナンバーズのISは全員分最初から登録されていましたから。スバルさんが戦闘機人モードを発動させていたから防御系の魔法が切れていたのも幸いしました」

「へぇ……すごいね、『作られる嘘吐き者(メイキング・フェイカー)』って」

 素直な感想を述べるスバルだったが、ポーラの方はそんなスバルの言葉に照れる様子もなく、逆にその表情を険しいものに変えていった。

「……ポーラ?」

「……助けてもらって何ですが、少しだけ怒らせて下さい……スバルさんっ、一体何を考えているんですか!」

「え? ええっ!?」

「あの人の魔法は間違いなく殺傷設定でした! あのままだったらスバルさん、確実に再起不能になっていましたよ! 最悪……死んでいたんですよ!」

「う、うん、そうだろうね。ポーラを殺そうとしてたんだし」

「だったらどうして……」

「決まってるよ……まだ、ポーラが望みを叶えていなかったから」

「!?」

 何の躊躇もなく語られたスバルのその言葉に、ポーラに動揺が走った。

「私の、為に? 私なんかの為に、死ぬつもりだったんですか?」

「死ぬつもりなんてないよ。だって、死んじゃったらポーラのお願い、叶えて上げられないじゃん」

「どうして……私は、単なる機械でしかないのに! 身体も……そして、心も!」

「それを言ったら私だってそうだよ?」

 身体に機械を埋め込まれているか、身体そのものが機械か……逆に言えば、スバルとポーラの違いはそれだけしかない。

「違うよ! スバルさんはちゃんと人の心を持っている! だからティアナさんを始めとした皆に、あんなに慕われている! でも、私は……」

「……助けて、くれたよ」

「え?」

「ポーラは私を助けてくれた。あんな能力が使えるのなら、私を置いて逃げる事だって出来たよね?」

「そ、それは……」

「それに、その前にポーラは逃げられたはずだった。でも逃げずにあのまま最後を迎えようとしていた。どういう理由か分からないけど、ポーラは何かとんでもない何かを背負っているんだよね? だからあの時、自分の願いを捨ててまで、あの場で最後を迎えようとした」

「………」

「これって、凄く立派だと思う。少なくとも……ポーラが言う、『機械の心』じゃあ、絶対にそんな判断をしないよ。私が保証する……ポーラの心は、『機械の心』じゃない。間違いなく、温かみのある『人の心』だって」

「スバル……さん」

 温和な表情で言い切るスバルに、ポーラは俯いてしまった。

「ポーラ?」

「……ごめんなさい。スバルさんの言葉、凄く嬉しいんです。でも……凄く嬉しいのに、泣きたいくらい嬉しいのに……私にはそんな機能、付いていないから……」

「ポーラ……ううん、泣いてるよ、ポーラは」

「え……?」

「心で、泣いてる。アタシには見えるよ。ほら……ポーラの心は、決して機械なんかじゃない!」

 スバルの言っている事は聞く人によっては詭弁としか思えないだろう。だが、今目の前で真っ直ぐな瞳で見つめられながら告げられているポーラには、それが心からの言葉である事にもちろん気が付いている。

「……スバルさん、私、人の心を持っているって思っていいんですか?」

「当たり前だよ……」

「……家族に会いたいって、思ってもいいんですか?」

「当たり前だよ」

「……家族に……お母さんに会わせてって、もう一回スバルさんにお願いしてもいいんですか?」

「当たり前だよ!」

 スバルのポーラが呟いた言葉への答えは、三回とも同じものだった。でも、そこに込められた思いは同じではない。どんどん積み重なって、重く、しかし輝きを持ったものへとなっていっていた。
 だから、ポーラも、ありったけの思いを込めた言葉を、スバルに告げた。

「スバルさん……私、お母さんに会いたい……会いたいよぉっ!」

 その言葉に対する答えを、スバルは告げなかった。
 そんなもの、当の昔に決まっているからだ。


「あの……スバル、さん」

「ん? どうしたのポーラ?」

 ミッドチルダに向かう道を、ポーラを背負ってデバイス「マッハキャリバー」をセットアップして走っていたスバルに、ポーラは少々躊躇いがちな声で語りかける。

「えっと、ね……その、スバルさんが良かったら、何だけど……」

「うん」

「そ、その……お、『お姉ちゃん』って、呼んでいい……かな?」

「お、お姉ちゃん!?」

 流石に少々驚いてしまうスバル。何しろ末っ子なので「お姉ちゃん」はいるが「お姉ちゃん」になった事はないのだ。しかしその信頼を込められた呼び方に、スバルはちょっとした優越感を感じる。先程からポーラの口調が少し砕けたようになったのも、スバルにとっては嬉しい変化だった。

「あ、その、や、やっぱり嫌だよね? こんな姿だけど実際の年齢はスバルさん達とそう変わらないし……」

 だから、スバルはもちろんこう答える。

「……あはは、いいよ。こんな頼りない『お姉ちゃん』で良かったら、ね!」

 その言葉にポーラは一瞬だけ呆けたような表情をしてから、

「……うん! スバルお姉ちゃん!」

 初めて見せた、心からの満面の笑みで、そう答えた。


「……成る程、そういう事やったんやな」

「……うん。スバルが戦闘機人だからっていうのも嘘じゃないとは思う。でも他にも、これが理由にあったんじゃないかな?」

 新たに送られてきたポーラに関する資料を受け取ったフェイトは、それに目を通した瞬間、なのはとはやてを召集してその内容を告げた。

「……どういう気持ちだったんだろうね。会いたい人に会う為に、自分を壊そうとしている人間の集まる場所に潜入するのって」

 なのはの言葉に、フェイトとはやては沈黙せざるを得なかった。
 三人の手元にある、ポーラに関する資料。そこには、こう記されている欄があった。


――「00-X 無限破壊者(ジェネシッカー)」。生前時名「ポーラ・エスティア」。母は時空管理局職員「ミネス・エスティア」。現在古代遺物管理部「機動六課」の後方支援隊「ロングアーチ」スタッフとして出向中……。

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 先日ブログのHitが15000を越えました、皆さんいつも足を運んでくれてありがとうございます⌒^(>▽<)^⌒ なのっ!
 一ヶ月ちょっとでこれって早いのか遅いのかは判断できませんが、でもやっぱり嬉しいものですねww
 さて、何やら最後でちょっと大変な事を言っていたような気がする「無機の心」四話、いかがでしたでしょうか?w もうシリアス路線一直線ですがどうぞお付き合いくださいませw

テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

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