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魔法少女リリカルなのはSS 「無機の心が思う事」 第六話 『shooting star~流れ星~』

 機動六課同士のぶつかり合いが展開されている中、スバルはポーラを背負って真っ直ぐに時空管理局の地上本部へと向かっていた。

「ティア……みんな……」

 各地で魔力反応が発生している事はスバルも感じ取れていた。誰か、までは分からないが一人は間違いなく先程情報をくれたティアナだろう。

「ほんと、人の事言えない馬鹿だよね、ティアも……」

 小さな声で呟きながら、心の中で「ありがとう」と言いながら、スバルは全速力で駆け抜けていく。避難勧告が出ていたのか、都市部だというのに人影が全くない。だが、スバルにしてみればそれは絶好の状況であった。

「ポーラ、大丈夫?」

「う、うん……」

 背中にいるポーラに声を掛けながら、スバルはこの先の事を頭の中でシュミレートする。

(ティアナの情報のお陰でポーラのお母さんは地上本部の中にいる事は判明済み。でも、前回のJS事件以降警備とかも厳しくなったって聞くし……街の状況を見ると、非常体制が敷かれているのは間違いないだろうし……正面突破はきついだろうな……)

 加えて、機動六課の誰かがここの警備に派遣されていないとも限らない。JS事件の功績上どうしても隊長陣やフォワード陣だけにスポットライトが浴びやすい機動六課だが、他の隊員達も選りすぐりの人材ばかりだ。
 そう、例えば……、

「――!?」

 唐突に足元に撃ち込まれた魔法弾に、スバルは慌てて足を止める。だが、周囲にあるビルを見渡しても人影は見当たらない。つまり、撃ち込んだ後速攻で逃げたか、ここからでも視界に入らないくらい、遠くから撃たれたかのどちらかである。
 ……そう、例えば、常人には不可能な遠距離狙撃の腕を持つ、ヘリパイロットとか。

「……ヴァイス陸曹」

 こんな事が出来る人間など、スバルは二人しか知らない。一人はティアナ、そしてもう一人が、ヴァイス・グランセニック……機動六課「ロングアーチ」所属のヘリパイロットにして、ティアナにすらその腕を認めさせた狙撃の名手でもある。
 これは間違いなく彼の威嚇なのだろう。これ以上、こちらに来るなという。スバルがJS事件の時に見たヴァイスの狙撃の腕は間違いなく素晴らしかった。彼ほどの狙撃の腕の持ち主が本気になれば、スバルの視界に移らない位置から彼女を打ち貫く事などそう難しくはないはずなのだから。

「………」

 スバルは悩んだ。前進をするか否かではない、どうやってこの場を切り抜けるか、だ。

(そう、まだ諦めるには……早いよね?)

そんな思考の中、ふとスバル達の前方にふたつの人影が現れる。一人は見覚えがあった、ヴァイスだ。だがもう一人は見覚えがない……いや、どこかで見たような気がする。機動六課の制服に身を包み、金色の長い髪を持った、寮母であるアイナと同じくらいかそれより少し上と思われる歳の、落ち着いた雰囲気の女性……。

「……もし、かして?」

 スバルの考えを肯定するように、彼女に背負われていたポーラが信じられないといった表情で呟いていた。

「お……母さん?」


 ミネス・エスティア……それが今スバル達の目の前にいる人物の名前であった。機動六課支援部隊「ロングアーチ」所属の魔導師にして、ポーラが人間の頃の……ポーラ・エスティアだった頃の、実の母親である。
 その横でヴァイスが護衛として銃を構えるという、母娘の再会にはとても似つかわしくない状況ではあったが。

「お母さん……」

 ポーラがゆっくりとスバルの背中から降り、ミネスの元に歩み寄ろうとする。

「!? 待ってポーラ!」

「? お姉ちゃん?」

 そんなポーラを慌てて静止し、現状況を聞いているスバルはこのあり得ない状況に対して必死で頭を巡らせた。


――実は後になって分かった事なんだけど、『破壊核(クラッシュ・コア)』はね、『無限破壊者(ジェネシッカー)』……つまりポーラの感情の爆発でも発動する可能性があるって分かったの。

――感情の爆発?

――うん。この『破壊核(クラッシュ・コア)』、ポーラにとって唯一生身の時と同じ部分……脳のところに付けられているの。知っての通り、脳は人間の全てを司る最も重要な部位。感情だって、そこで処理されている。そういう風に設定するの、難しい話じゃないわ。

――そん、な!?

――だから八神部隊長達はポーラとお母さんを合わせるのは危険だと判断し、もっとも安全なところに避難させたの。


(それが、時空管理局地上本部だった……厳重な体制でポーラのお母さんを守る予定だったはずなのに、護衛に付いているのはヴァイス陸曹だけみたいだし……どういう事?)

 ポーラとミネスを会わせてはいけないはずではなかったのだろうか。だからスバルも、『破壊核(クラッシュ・コア)』のもうひとつの起動条件を聞いた時にどうするか悩んだのだから。きっと、ポーラに『破壊核(クラッシュ・コア)』の起動防ぐ方法があるという事を聞かなければ、こんな行動には出なかったかもしれない。

(でも……逆にチャンスかもしれない)

 ヴァイスの人柄はスバルもよく知っている。少々おちゃらけたところはあるが面倒見の良い人間だ。話して分からない人間でもない。そして、百人を説得するより一人を説得する方が簡単なのは言うまでもないだろう。

「ヴァイス陸曹! お願いです、話を聞いて下さい! アタシは……アタシ達は、ミッドを崩壊させようとかそんな事は微塵にも考えていません! ただ、この子を……ポーラをお母さんに会わせてあげたいだけなんです! 例の『感情の爆発』とやらの起動条件も、ポーラがそうならない方法を知ってるって……」

「……黙りなさい、スバル・ナカジマ二等陸士」

「え……?」

 答えたのはもちろんヴァイスではない。隣に佇んでいた、ミネスだった。その瞳に冷たい色を宿し、冷酷としか表しようのない声で呟く。

「ナカジマ二等陸士、一体何をお考えですか? ミッドチルダの中央部にそんな危険因子を運び込むなんて」

「なっ!?」

「住民の避難が終了していたから良かったものの、もし避難勧告が出されなかった時に、まだ避難が済んでいない時に来ていたら、大混乱は必死だったのですよ? 管理局の局員として、今回のナカジマ二等陸士の行動は目に余るものがあります」

「うっ……」

 ……その言葉は別に良かった。スバル自信自覚はあったし、そして例えそう罵られてもポーラの願いを叶えたいと思ったのは他でもないスバル自身だからだ。
 ……でも。

「……はぁ。そこの機械人形もそう。もし貴女が本当に私の娘だったというのなら、私がどんな立場の人間か分かっていたでしょう?」

「……はい」

「……はぁ。まあ、どうせ今は私の子供じゃないけど」

「………」

 でも、一度は諦めて、それでも会いたいと願ったポーラの苦悩と想いを踏みにじるようなその台詞だけは。
 どうしても許せなかった。

「……だよ」

「ん?」

「何様のつもりだよっ、あんたはっ!」

 伏せていた顔を……怒りに満ちている顔を上げ、スバルはあらん限りの声で叫ぶ。

「あんたポーラの母親なんでしょ!? どうしてそんな事が言えるのっ!? ポーラは……ポーラは、最初はあんたの言う通りあんたに、母親に会うのを諦めたんだよっ! でも、それでも会いたくて……あんたに会いたくて、ただ会いたい一心でここまで来たんだよ! あんたが本当にポーラの母親なら、その思いまで否定するなっ!」

「……はぁ。何度も言わせないで……そんな機械人形、もう私の子供ではないわ」

「……!」

 スバルの叫びを、思いを全て嘲笑するようなそのため息交じりの言葉に、スバルは全身を震わせる。怒りと、そして悲しみで。
 信じられなかった。尊敬するなのは達が、彼女達が選んだ機動六課に所属するメンバーに、こんな人間がいたなんて。
 なのはも、フェイトも、はやても、そして他のみんなも。今回の件はみんなそれぞれの思いの元にそれぞれ信じた道を選んで行動しているというのに。言葉にして聞かされたわけではないが、あの時のシグナムの、そして皆の目を見れば一目瞭然だった。なのに、この人は……。

「え……?」

 その時、スバルはようやく気が付いた。その時になって、初めて彼女の……ミネスの目を真っ直ぐに見つめたからだ。
 彼女の瞳の奥に見えた、その感情に。

「……もういいよ、スバルお姉ちゃん」

 そんなスバルを制したのは、その言葉をぶつけられていたはずのポーラであった。ただ優しげな笑みを浮かべ、視線を一度スバルに向けてからミネスの方へと移した。

「お母さん……無理、しなくていいよ」

「え……?」

 ポーラのその言葉に、それまで冷たい表情しか浮かべていなかったミネスが初めて動揺したような様子を見せる。

「分かってるよ、全部嘘だって……言いたくて言ったんじゃないって。だから、もうそんな嘘で自分を傷付けるのなんて、やめてよ、お母さん」

「ちっ……違う! 私は……」

「お母さん、知ってた? お母さんってね、心にも思っていない事を言う時、必ず……最初に、ため息を付いてるんだよ」

「……!」


――お母さん、ポーラあのお人形さんが欲しいの……。

――あの大きな熊さんのやつ?

――う、うん……。

――……はぁ。駄目よ、あんな大きいやつの置き場所、うちにはないでしょ?


「でも次の日、お母さん一生懸命空いていたお部屋の掃除をして、私の部屋だって言ってくれたよね? 大きなあのお人形と一緒に、誕生日のプレゼントとして」


――ポーラ、お腹空いていない? リンゴを剥いたんだけど食べる?

――うん、食べる♪ あーん♪

――……はぁ。もう、一人で食べられるでしょ? いつまでも甘えるんじゃないの。


「でもお母さん、顔では一生懸命不機嫌そうにしていたけど、口元だけは嬉しそうにしながら食べさせてくれたよね?」


――お母さん、あの、これ……お誕生日のプレゼント。

――え? 何かしら……あら? ポーラ、その手……。

――あ、ちょっとそれ作ってる時に指を切ったの。

――……はぁ。もう、ポーラ、慣れていない刃物を使うんじゃありません。怪我をしたら元も子もないじゃない。そんな無理をして作ったプレゼントを渡されても、お母さん嬉しくないわよ。


「でもお母さん、その時プレゼントした紙で作った造花のお花、ずっと大事にしてくれてたよね?」

「あ……ああ」

 ミネスの表情が更に変わっていく。何か悲しげな、辛そうな……今にも泣き出しそうな顔へと。
 そしてスバルは、ポーラの話を聞いてある人物の顔が頭に浮かんだ。
 機動六課に引き取られた幼い少女を、一緒に面倒を見ていた彼女の親友からは「厳し過ぎる」と称されながらもその方針を変えようとせず、しかし決して嫌っていたわけでもなくむしろその親友以上に愛情を注いでいた女性。

(……なのはさん)

 そう、まさにそっくりだった。なのはとヴィヴィオの親子関係と、ポーラとミネスの親子関係は。
 だからだろうか。スバルが先程までは憎んですらいたミネスの事を、その真意を、理解出来たのは。

「『感情の爆発』……それが原因なんだよね? 私が喜んだら、この頭の中の『破壊核(クラッシュ・コア)』が起動するようになってるんだよね? スカリエッティは私の性格を知っていたから。その上で、精神操作を行わなかったから。私が喜ぶ時……それが、決して破壊活動の時には起こらないだろう事。起こるとすればそれは……大好きなお母さんに、『機動六課』に所属しているお母さんに、会えた時だろうから。だから、私が喜ばないように、『感情の爆発』が起こらないように、あんな事を言ったんだよね?」

「あ……うぅ……」

「お母さん、大丈夫だよ。ただ、私は……どうしても、伝えたかった言葉があったから。それさえ伝えられれば、それだけでいいの」

「ポー、ラ……」

「お母さん……あの、ね……」

 ポーラはそこで一度言葉を区切り、上半身を曲げて深々と頭を下げ、そして……、

「私の、お母さんになってくれて……ありがとう、ございました!」

 今にも泣きそうな、でも、一生懸命に作ったのがよく分かる、満面の笑みを浮かべて、はっきりと言葉を紡ぐポーラ。そしてそれが、ミネスの限界を超えさせた。

「いや……いやぁっ! ポーラ、ポーラァッ!」

「おい! ミネスの姐さん、何してるんですか!」

 スバル達のところへ走り出そうとしていたミネスを、隣にいたヴァイスがしがみつくようにして阻止する。

「離してヴァイスくん! あの子の、あの子のところに行かせてっ!」

「何言ってるんですか!? そんな事したら、何の為にここに来たのか、ミネスの姐さんがあんなに苦悩して出した結論を無駄にする気ですか!」

「駄目なの、駄目なのっ! もう人間の身体じゃなくても、例えミッドチルダが崩壊するような事になっても、あの子を抱きしめてあげたいの! だって私は、誰よりも、何よりも、世界よりも……私は!」

 先程までとはうって変わって、ミネスは感情を露わにしてあらん限りの声で叫んだ。

「あの子の、ポーラの母親なんだから! 私の可愛い、大切な娘なんだからっっっ!」

「……っ!」

 恥ずかしかった。穴があったら入りたい気分だった。スバルは拳を握り締めながら、ミネスに心の中で何度も謝る。

「そうだよね……自分の子供を愛していない親なんて……いるはずないよね」

 ただミネスは、世界か娘かの選択で世界を選んだだけだ。管理局の職員として、当然とも言える選択をしただけだ。それがポーラにはちゃんと伝わっていたのだ。
 そしてこれは、本来あるはずのなかったシナリオだったはずである。スバルがなのは達の思惑通りに動いていれば起こるはずのなかった、幻の……幻にしなければならなかったシナリオのはずである。スバルは今日ほど、自分の浅はかさを呪った事はなかった。

「ポーラッ、お願いだからこっちに来て! お母さんに謝らせて! さっき言った事を謝らせてよ……もう一回、ポーラを抱きしめさせてよぉっ!」

 必死でポーラに訴えるミネス。だが、ポーラはそんなミネスに向かって笑みを浮かべた後、

「広域結界……起動」

「えっ!?」

 片手を挙げ、小さな声で詠唱をしてポーラとスバルと包み込むように結界魔法を展開させた。完全に閉じる直前、ミネスに向かって「ありがとう」と呟きながら。

「……ポーラ?」

 ポーラの行動の意味が分からずその事を尋ねようと声を掛けたスバルに、ポーラはその外見に似つかわしくない、凛とした表情で呟いた。

「スバルお姉ちゃん……最後の仕上げを、しよう」


「最後の仕上げ……?」

「うん。私、言ったよね? たったひとつだけ『破壊核(クラッシュ・コア)』の起動を防ぐ方法があるって」

「あっ!」

 そうだった。その条件を満たす為に……ポーラの母親、ミネスに会わせる為に、スバルは危険を冒してまで時空管理局地上本部のすぐ傍まで来たのだから。

「そうだよね、これでポーラの言っていた条件手やつは整ったんだよね? よし、それじゃあ早くその『破壊核(クラッシュ・コア)』ってやつをどうにかして……ちゃんとお母さんに抱きしめてもらおう。ね、ポーラ」

 スバルはそう言って笑顔を浮かべた。そして、気が付いていなかった。ポーラは確かに『破壊核(クラッシュ・コア)』の起動を防ぐ方法がある、とは言ったが……自分が助かる、とは言っていない事に。

「……『破壊核(クラッシュ・コア)』はね、誤って創造主であるジェイル・スカリエッティやその拠点周囲で起動する事のないよう、起動してから十秒間、小規模のAMFが展開されてその十秒間なら破壊されても『破壊核(クラッシュ・コア)』の威力は相殺されるようになっているの」

「え……?」

「今から私が故意に『破壊核(クラッシュ・コア)』を起動させる。だから、その十秒の間に……」

――私を、破壊して。スバルお姉ちゃん……。

「何……言ってるの?」

 スバルはオーラの言っている事が理解出来なかった。いや、したくなかった。

「何で……アタシは、そんな事の為にポーラをここまで連れてきたわけじゃないんだよ!」

「うん……知ってるよ」

「探そうよ、他に方法がきっと……」

「あったら、高町なのはさんやフェイト・T・ハラオウンさんがあんな行動をすると思う? それにもう……時間が、ないよ」

 その言葉を肯定するかのように、地上本部の方からチャイムが鳴り響く。
 管理局職員の勤務シフトの変更を知らせるチャイムだ。これはそのシフト変更時間である午後五時ちょうどと、そして引継ぎ作業に入るよう促す十分前に鳴り響くようになっている。『破壊核(クラッシュ・コア)』の自動起動時間は、確か午後五時ジャスト……さっきのチャイムが、十分前を知らせるもの……つまり猶予は後、十分しか残されていない。
 通常勤務となった最近では、待ち遠しいとまで感じていたこのチャイムが、今日に限っては……終末の笛の音にしか聞こえなかった。

「スバルお姉ちゃん、ここから北方向に、空に打ち上げるようにスバルお姉ちゃんのディバインバスターを私に撃って。それくらいの高出力魔法じゃないと、ボディーパーツに阻まれて『破壊核(クラッシュ・コア)』まで届かないから」

 そんなスバルの心情を知ってか知らずか、淡々とスバルに説明をするポーラ。そんなオーラに、スバルは耐え切れなかった。

「出来るわけ……出来るわけないよ! 初めて……アタシの事を初めて『お姉ちゃん』って呼んでくれた子に、そんな事出来るわけないないじゃない!」

「……やらなきゃ、ミッドチルダは崩壊するんだよ? 近隣する世界……高町なのはさん達の故郷も、無事では済まない。こんな結界程度じゃあ、到底防げない程の魔力を帯びたエネルギーが、放出されるんだよ……」

「でも、だからって……アタシ、は……」

 出来るはずがない。そんな覚悟も、そしてポーラを殺したという事実も、背負えるほどまだスバルは強くはない。

「どうして……アタシなの、ポーラ?」

 だからだろう。そんな弱気な問いが出てしまったのは。

「……スバルお姉ちゃん、だからだよ」

「え?」

「最初はね、お母さんに会えればそれでよかった。その後はこの『破壊核(クラッシュ・コア)』の事を説明してフェイト・T・ハラオウンさん辺りに壊してもらうつもりだった。だけど、私の為に身体を張ってくれたり、私の望んでいた事を叶えてくれたり、その為に色んな危険を冒してくれたり……そんな、強くて、優しいスバルお姉ちゃんだから……スバルお姉ちゃんに、して欲しいんだ」

「何、を?」

「私を……お星さまに」

「!? ……ポー、ラ……!」

 何故、彼女ははっきりとそう告げられるのだろう。何故、彼女は笑っているのだろう。

「スバルお姉ちゃん……勇気を持って。これから先、もし私と同じような状況に陥っている人がいたら、次は絶対に助けられるように。もう二度と、私のような人を出さない為に」

 そして、笑みを浮かべながらもその凛とした瞳でスバルを見据え、ポーラははっきりと告げた。

「私を、これから先の未来で迷わない為の『糧』にして、スバルお姉ちゃんっ!」

「ポーラッ……!」

 数秒か、数十秒か、それとも数分か。そんな、長いようにも短いようにも感じられた時間が過ぎ、スバルは……、

「ギ……ア……」

 溢れる涙を拭おうともせず、

「ギアッ、エクセリオンッ!」

 相棒、マッハキャリバーのフルドライブモード……ギア・エクセリオンを起動した。魔力の翼を左右二枚ずつ展開し、「A.C.S」状態となる。

「いくよ……ポーラッ!」

「………」

 スバルの言葉に、ポーラは言葉ではなく笑顔を浮かべる事で答えた。

《Divine buster A.C.S standby》

 マッハキャリバーの声と、

「うおおおおおぉぉぉぉぉっっっっっ!」

 スバルの魂の叫びと、

「『破壊核(クラッシュ・コア)』、起動……AMF、展開……頑張れ、スバルお姉ちゃん!」

 ポーラの思いが、重なる。

「一撃……必倒っ!」

 それは、スバルが尊敬して止まない人の魔法を、自分なりにアレンジしたもの。
 そして、その人が培った経験から改良されたシステム……瞬間突撃システム「Accelerate Charge System」を展開させた、突撃打撃で防御を撃ち抜き、零距離からディバインバスターを直撃させる複合技にして、スバルにとって唯一無二の最強魔法。

「ディバイン……バスタァァァァァッッッッッーーーーー!」

 ……ディバインバスター・A.C.S。それを、あふれ出る涙をそのままに、スバルはポーラの言う通り、北の空に向けて撃ち放った。
 そう、地上から空へと立ち昇るような……流れ星のような光を放って……。

「ポーラぁ……」

 ディバインバスターの魔法光が散り、辺りに降り注ぐ。まるで、ポーラの涙のように。
 それと同時に、ポーラの張った結界が解け、そこにはヴァイスが、ミネスが、そしていつの間にかなのは達が集まっていた。

「……スバル」

 そっと、スバルに歩み寄るなのは。

「……『破壊核(クラッシュ・コア)』は……アタシ、が、『破壊』、しました……」

「……了解しました。お疲れ様……スバル」

 その、なのはの言葉がスバルの我慢の限界だった。

「あ……ああ……あああああぁぁぁぁぁっっっ!」

 哭いた。泣いたではなく、哭いた。辺りを気にせず、あらん限りの声で、慟哭をあげる。
 泣くのは、自分の役目ではない。今、ヴァイスの胸で子供のように泣きじゃくっている……あの子の母親の、役目なのだから。そう、少なくとも、この場ではスバルは泣けないのだ。
 だからスバルは代わりに哭くのだ。理不尽なこの事件に対する怒りを込めて。ポーラを助けられなかった自分を呪って……。

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 最近更新が遅れている理由はふたつあります。

 1・現在今月末提出予定の一次創作執筆中のため。
 2・SSのストックがなくなっちゃったため。

 ……はいごめんなさい言い訳ですすいませんww
 なるべくこまめに上げたいとは思っていますが、今までのようなスピードは流石に無理です><; でも週一は上げられるように頑張りますのでよろしくですよw

テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

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