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魔法少女リリカルなのはSS 「無機の心が思う事」 最終話 『polar star~北極星~』

【事件報告書】
事件No  GR0005987365-F168978
事件種別 戦闘機人によるミッドチルダ首都クラナガン破壊未遂事件
担当    古代遺物管理部「機動六課」
指揮官   同部隊長  八神はやて二等陸佐
現場主任 同部隊出向 フェイト・T・ハラオウン執務官

【概要】

新暦七十六年三月○日、ミッドチルダ首都クラナガンにて新暦七十五年七月に起きたJS事件の首謀者である現在服役中の次元犯罪者ジェイル・スカリエッティ(詳細は別件「JS事件」参照)の残した特殊戦闘機人、「コード00-X『無限破壊者(ジェネシッカー)』」による首都侵略事件が発生。以下この事件を「ジェネシッカー事件」、及び問題となった魔力収集型破壊兵器『破壊核(クラッシュ・コア)』から取り「クラッシュ・コア事件」と記す。

発端は事件前日、次元航行部隊「クラウディア」所属、現在古代遺物管理部「機動六課」出向中のフェイト・T・ハラオウン執務官(機動六課内所属はフォワード部隊「ライトニング分隊」。隊位は隊長)が担当していたJS事件の後処理に関する内容にて、調査中に前途の『無限破壊者(ジェネシッカー)』の存在が発覚、調査、発見の後追跡したが、『無限破壊者(ジェネシッカー)』の特殊スキル『作られる嘘吐き者(メイキング・フェイカー)』(詳しくは別途参照)により同機動六課所属のスバル・ナカジマ二等陸士、ティアナ・ランスター二等陸士(両名フォワード部隊「スターズ分隊」所属。隊位は隊員)二名が精神操作を行われ、フェイト・T・ハラオウン執務官と戦闘。この際に『無限破壊者(ジェネシッカー)』は逃亡。フェイト・T・ハラオウン執務官は機動六課に応援を要請。しかしこの際『無限破壊者(ジェネシッカー)』が機動六課内に潜入しており、一部の隊員を前途の二名と同様に精神操作を行った模様。その為精神操作を行われた一部隊員と行われなかった隊員(この際の名簿については別途参照)による戦闘行為が発生するという事件が発生する。ただ、場所は『無限破壊者(ジェネシッカー)』確保の為全員が人気のない場所へと移動していた為人的被害はなかった(この際の作戦の詳細内容、及び詳しい被害については別途参照)。

その際、一番深い精神操作を受けていたとされるスバル・ナカジマ二等陸士は『無限破壊者(ジェネシッカー)』に同行。首都クラナガンの破壊の手助けをさせられていたが、寸前のところで自我を取り戻し、『無限破壊者(ジェネシッカー)』を破壊処理。よって被害はほぼゼロに抑えられた……。


「……スバルが見たら、絶対に怒り出しそうな内容だね」

「なのは……」

 先日の『無限破壊者(ジェネシッカー)』……ポーラが起こした事件の報告書を、少し胸を痛めながらまとめていたフェイトの背後から、なのはがそう言って声を掛けてくる。

「ちゃんとミネスの許可はもらっているよ……それに、正直になんて書けないでしょ?」

「そう、だね」

 何しろフォワード陣のほぼ全員が命令違反を起こしてしまったのだ。もうすぐ解散、次の進路も決まっているというこの時期にそんな報告書があがれば、大問題では済まないだろう。

「こういう言い方は、自分でも最低だと思うけど……もういない人物の名誉よりも、未来ある人物の名誉を、守ってあげなくちゃ」

「フェイトちゃん……」

 端末モニターを見つめながら、そう呟くフェイトの背中を、なのははそっと抱きしめた。

「フェイトちゃん、私、最初に言ったよね? 罪の重さを分かち合おうって……だから……一人で背負おうとしないで、一人で……泣かないで」

 モニターで、お互い自分の涙で化粧の崩れた顔を確認しながらも、フェイトは入力端末を叩く手を止めようとはしなかった。


「………」

「……どうしたヴィータ、先程までの『絶対ぶん殴ってやる』という勢いはどうしたのだ?」

「……うっせぇんだよっ!」

 演習場までシグナムとザフィーラを引っ張り出し、二人を睨みつけながらも何もしようとしないヴィータに、シグナムは苦笑を浮かべた。

「ヴィータ、お前は正しい。いかなる理由があれ、私達は主に刃を向けた不届き者だ。グラーフアイゼンで叩き潰してもいいのだぞ?」

「アタシだってそうしてやりたいさ! でも、アタシだって分かるんだよ! シグナム達がどんな思いではやての前に立ったのかがっ!」

 それは、主人に対する二つの思いの葛藤。例え悪だと知りつつも主人に尽くしたいという思いと、主人だけはその手を汚して欲しくないという、思いの。
 どちらも真に主人に忠義を抱いている者にしか出来ない行動である。そして、どちらが正しいか、なんて判断は、きっと誰にも出来はしない。だから、シグナムとザフィーラは何も言わずにヴィータに引きずられてきたし、ヴィータもまた何も出来ずにいるのだ。
 そして、その光景をじっと見つめる人物がひとり……シャマルであった。彼女もまた、何も出来なかったと、ただ逃げただけだという自責の念に迫られ、今目の前に広がっている光景を見ても何も言えず、何も出来ず、ただ悲痛な面持ちで行く末を見守るだけである。

「……もう、止めようや、なあ、みんな……」

「あっ……」

 そんな重苦しい空気の中に一石を投じたのはいつの間にかやって来ていたはやてであった。

「主はやて……」

 その瞬間、シグナムの表情が一気に辛そうなものへと変わる。

「ん? ……ああ、これか? 気にせんでええって。かすり傷やんか」

 頬に張られた絆創膏に触れながら、はやては小さく微笑む。
 それは先日の戦闘によって付けられたものではあるが、シグナム達に責任のあるものではない。ただ単に、はやてが戦闘終了の時に魔力消費が大きすぎてよろけてしまい、その際頬の部分に軽い擦り傷が出来てしまっただけである。はやては笑いながらそう言うのだが、流石にシグナムとしては簡単に割り切れるものではなかった。

「……主はやて、我々を罰しないのですか?」

「ん? どうしてや?」

「我々は主に刃を向けました。これは、どうあっても許される事ではありません」

 だから、シグナムは今回の件が終わったらはやての元から離れるつもりだった。管理局に従事しながらも、はやての傍からは離れ、二度と彼女の視界には入らずにいるつもりだった。

「……ああ、そうやな。シグナムは悪い子やな」

「………」

「でもな、シグナムはそれが分かっとる。分かってて、理解してて、それでも自分の思いを貫いた」

「……はい」

「ヴィータもそうや。うちを守りたいって気持ちだけで、シグナムやザフィーラと戦う事を選んだ。うちによくない事をさせたくないと思いつつも、うちの気持ちを理解してくれて、うちを守ってくれた……一見まったく違うように見えるこの行動やけど、その本質にあるものは一緒や……うちの事を、守ろうとしてくれたんやろ?」

 ふたりは俯きながらも、はっきりと頷く。そんなふたりを、そしてザフィーラとシャマルのふたりも手招きをして呼び集め、はやては……全員を包み込むように抱きしめた。


「……アギトちゃんは、行かないんですか?」

「アタシをちゃん付けで呼ぶな……それに、お前はどうなんだよ、バッテンチビ」

「バッテンチビって言うなです」

 そんな五人の様子を、少し離れた地点から見つめる、リィンとアギト。

「……別に、アタシに気を使わなくてもいいんだぞ? お前はあの中に入る権利があるだろ?」

「別にアギトちゃんに気を使っているわけじゃないですよ」

「だからアタシを……もういいや。じゃあ何でここにいるんだよ?」

 素朴なアギトの疑問に、リィンは笑みを浮かべて答えた。

「アギトちゃんの傍にいたいから……じゃあ、理由にならないですか?」

「なっ……!」

 途端に頬が熱くなるのを自覚するアギト。
 初めてだった。かつては実験道具としてしか扱われず、ゼストやルーテシアの時だってアギトの方から吐いて行ったに過ぎない。
 だが、今目の前にいる、自分と同じ少女の姿をした融合型デバイスは、自分と一緒にいたいからここにいるという。それは、アギトにとって初めて言われた言葉で……初めて、心から嬉しいと思った言葉だった。

「か、勝手にしやがれっ! ったく、物好きなやつだな……リィンも」

「あ、初めて名前で呼んでくれたですね♪」


 談話室には、ティアナ、エリオ、そしてキャロの三人がいつものように集まっていた。
 だが、他には誰もいない。いつもならシャーリーやルキノ、アルトといった人物達と共に仕事後のささやかな楽しみである談笑をしているところであるが、ここ最近はそんな気分にはなれなかった。それを察してか、シャーリー達もここに姿を表そうとしない。
 避けているのではない、気を使っているのだという事ぐらい流石に理解している。だが、こんな時こそ三人の他愛もない会話が恋しくて仕方がなかった。
 そして、今ここにいない、そこ抜けて明るい彼女の事も。

「……ポーラのお母さんは、どうしたんですか?」

「当初はかなり混乱していたらしいけど、もう落ち着いたって。来年度からの新しい仕事場へはちゃんと行くそうよ」

「そう……ですか」

 ここ数日の会話は、やはりあの時の関係者の事ばかりだった。あの時反逆とも取られかねない行動を取ったい三人は厳罰も覚悟していたが、お咎めどころか特別ボーナスまで支給される始末で正直気が抜けたのは確かだった。

「ティアナさん……僕達、間違ってなんかなかったですよね?」

 エリオの自信のなさげな呟きに、ティアナとキャロは視線を向けた。
 あの時は正しいと思っていた。あの行動が、一番フェイトの思いに答える選択だと。
 だが、今はあれが正しかったのか、自信が持てなくなっていた。今、フェイトが自分達に浮かべている笑顔の裏で……泣いている事に、気が付いているからだ。

「……そんなの、アタシに分かるわけないでしょ」

「えっ?」

 だが、ティアナから返ってきたのは否定でも肯定でもなかった。

「アタシに言えるのは、少なくとも誰かに言われたからでなく、自分の意思で取った行動なんだという事。ただそれだけ。それを後になって疑問に思う事自体、間違っていると思わない?」

「「あっ……」」

 その言葉にエリオとキャロは同時に声を上げる。
 ティアナの言うとおりだ。あの時は正しいと持った。だから行動した。自分の意思で。それを今になって疑問に思う事、それ自体が確かに矛盾している。

「もっと胸を張りなさい。少なくとも、誰もあなた達を……アタシ達の行動を、間違っていたなんて言っている人はいないでしょ?」

 そう。誰もそんな事は言ってこない。あの後だって、みんな複雑そうな顔をしていたがエリオ達を温かく迎えてくれたではないか。あの時の顔だってきっとエリオ達の行動に対して、ではなくあの子を……ポーラを助けられなかった、自分達に対する自責の念なのだろう。
 自分達だって、そうだったのだから。

「……あいつも、そろそろその事に気が付いてもいいと思うんだけどね」

 ティアナは最後にそう呟いて、温くなったコーヒーを飲み下した。


「………」

 機動六課隊舎の屋上で寝転びながら、スバルは星空を見上げながら佇んでいた。
 ポーラは、ちゃんと星になれただろうか……そんな事を、思いながら。

「……うっ」

 彼女の……ポーラの事を思い出す度に、いつも胸が締め付けられる。涙が溢れそうになる。スバルが守れなかった、自分を「お姉ちゃん」と呼んで慕ってくれた、たった一人の女の子の事を。
 守れると思ったのに。きっと最高の結末があると信じていたのに。それだけの力を手に入れたと、心の強さを貰ったと思っていたのに。

「ここにいたんだね……」

「あっ……」

 そんなスバルの元に、ひとつの人影が寄ってくる。

「なのはさん……」

「隣、いいかな?」

 だが、スバルの答えを聞く前に、なのはは彼女の隣に腰を降ろした。スバルも上半身を起こして再び空を見上げる格好を取る。

「……スバルは、私やフェイトちゃんを恨んでる?」

「え?」

 少しだけ続いた沈黙。その沈黙を破ったのは、なのはの方であった。

「だって、私達は彼女……ポーラの事を、『破壊核(クラッシュ・コア)』の事を知っていて、スバル達に伝えなかった。これって、どう考えても……酷いよね。そんな私達に、スバルは怒っていないの?」

 怒っているか、そうでないか……そんな事、考えるまでもない。

「どっちかって言われれば……それは、怒っていますよ」

「うん。そうだよね……」

 なのはの言葉に、スバルは「だけど……」と続ける。

「もし、その事をなのはさんが後悔してるって言うなら……アタシは本気でなのはさんを嫌いになります」

「スバル……?」

「だって、そうじゃないと私が、そして……ポーラが、まるでピエロのようじゃないですか。アタシはそれだけは……絶対に、認めたくないです」

「………」

 再び訪れる沈黙。そして、その二度目の沈黙もなのはが破った。

「……ねえスバル。北極星って知ってる?」

「北極星……?」

「そう。私の故郷の北の夜空にはね、星の自転軸の延長線上……天の北極って呼ばれている場所にあるから星から見ると殆ど動かず、北の空の星はその星の周りを回転しているように見える……そんな星が、北極星っていうの。だから昔の人はこの北極星を目印にして方角を調べていたらしいの」

 なのははそう言って星空を見上げた。スバルもまた、それにつられるように空へと視線を戻す。

「その北極星はね、別名でこう呼ばれているの」

「別名……?」

「そう……『ポーラー・スター』って」

「えっ……?」

 思わずなのはに視線を移すスバル。そんなスバルの顔を、なのはは微笑みながら見つめていた。

「この事をポーラが知っていたかどうかは私にも分からない。だけど、ポーラはスバルに言ったんだよね? 『私を星にして』って……」

「は……い」

 そう答えるスバルの瞳からは、あの時でも耐え切れたはずの大粒の涙が次々と溢れ出てくる。

「私がこんな事言うのは、自分でもおかしいと思うけど……ポーラは、間違いなく星になれたと思うよ。スバルの心に灯る、スバルを導く星の光……スバルの、北極星(ポーラー・スター)にね……」

「う……あぅ……」

「だからスバル……あの子を助けられなかった事をそんなに悔やまないで。そして忘れないで。そうすればきっとスバルは……最高の、特急救助隊のストライカーになれるよ……絶対に」

「う……うう……あああああぁぁぁぁぁっっっ!」

 その、なのはの言葉を受け。
 スバルは泣いた。なのはの胸で。
 頭の中で繰り返されるのは、ディバインバスターA.C.Sで粉砕され、完全に機能停止していたはずの、気のせいだと思っていた、ポーラの最後の言葉。

――ありがとう……お姉ちゃん。

 その、スバルへの感謝の言葉。
 だから、スバルは。
 これが、彼女への最初で最後の悲しみの涙とする為に……盛大に、泣いた。


 それから、いくばくかの月日が流れ……。


 両親がわが子との面会を許されたのは、事故から三日が経ってからだった。
 姉と弟の二人の姉弟は、先日あった客船の海難事故に見舞われ、最後まで船内に取り残されていたという。それを救出したのは、まだ特別救助隊に配属されてからそう経っていない、たった一人の少女だというのだから両親は驚かざるを得なかった。
 だが、もちろんその少女には感謝していた。可愛い子には旅をさせろ……そんな思いで許した、姉弟二人だけの旅行を、この先一生を掛けて後悔しなくてもよくなったのだから。
 その日は家族四人、三日ぶりの再会を喜んだ。母親はいつも以上にふたりを甘やかし、父親は黙ってふたりの頭を撫で続けた。
 そして、ふとした事から話題に上がった、二人を助けた特別救助隊の女の子……どんな少女だったのかと父親が興味本位で尋ねると、二人は口をそろえてこう告げた。

――綺麗で、輝いていて……お星様のような人だった……。

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 「無機の心が思う事」、これにて一応終了です、お読みいただきありがとうございますw
 ちょっとBADっぽい終わり方ですが作者的には綺麗に終われたと思います。スバルはきっと良いストライカーになれるでしょうねww
 ちなみに夏コミですが、「ものがたり屋。」は……

 落選しました orz

 当日どうするかは現在考え中ですw
 あと次の連載ですが、「A→S」シリーズの続編的な内容になりますw 今ちょっと忙しくて執筆速度下がってますが何とか週一では上げたいな><;

テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

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