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ANGELS STORYS ~LYRICAL NANOHA A&A~ 第二話「その、発端~なのは~」

 第二話更新お待たせしましたw
 一週間も空いてしまいましたが、ちょっと今一次創作を念頭にやっていますので今月一杯はあまり二次創作にシフトできないので。なるべく早く終わらせますw
 ……来週、更新できるかな……。

 ちなみにヴィヴィオが活躍していますw しかし娘に恋愛の心配される母親って一体ww

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 その日の母の様子を述べよ、と問われれば「怖いくらいにご機嫌でした」と答えるしかない、とヴィヴィオは感じていた。
 実際、自分と手を繋いでミッドチルダの郊外にある遊園地の前で待ち人をしている母……なのはは、ここ一週間終始笑顔を浮かべている。そんな笑顔で行われる全力全開容赦のない教導はもう恐怖でしかないとは、先日その様子を社会見学という名目で見に行った学院での友達からの満場一致の回答である。実際ヴィヴィオも何だか怖かった。
 ちなみにヴィヴィオには母がここまでご機嫌な理由を察している。恐らく、その恐怖の笑顔の発端となった一週間前にあった通話……今日、この場所にいる原因となった内容の会話だろう。


 その日、ヴィヴィオが久しぶりに早く帰ってきたなのはの為に頑張って作った夕食を二人で仲良く食べ終え、お返しにとなのはが作った大好物のキャラメルミルクを飲みながらヴィヴィオが通っている学院の話など親子の会話を交わしていた時だった。唐突になのはの端末が通話を求めている相手がいるのを電子音で伝えたのだ。
 折角の親子の会話を邪魔された為か、なのはは少しだけ不機嫌そうな表情を浮かべながら端末を表示させ……一瞬で驚いたような顔に変わり、また一瞬で満面の笑みへと変わった。
 ヴィヴィオにはこの時点で相手が誰なのかひとりに絞られた。友人からの通話が来るとなのはは大体笑顔を浮かべるが、少し頬を染めてその時以上に嬉しそうにする相手なんてひとりしかいない。
 なのはは手櫛で髪を整え、外していた上着のボタンを閉め直すとニ、三回咳払いをしてからそれに応えた。

「あ、ユーノくん? なのはです、どうかしたの?」

 予想的中。ヴィヴィオは席を立ってなのはの横に並び、一緒に端末を覗き込む。

「ユーノくん、こんにちは~♪」

 そして見知った、よくヴィヴィオに本を読んでくれるなのはと同じくらいに大好きな相手……ユーノ・スクライアに笑顔で挨拶をした。

「あ、ヴィヴィオ。ちゃんと良い子にしている?」

 画面のユーノはヴィヴィオを確認するとこちらも笑顔で声を返した。

「うん、しているよー♪」

「そっか。また無限書庫においでよ。面白い本、見つけておくね」

「うん♪」

「……もう、ユーノくん! ヴィヴィオに用事があるんだったら私じゃなくてヴィヴィオの端末に直接連絡すれば?」

 自分の端末に連絡を送ってきたはずなのに横から入ってきたヴィヴィオとばっかり話をしているユーノに、なのははどことなく面白くなかったらしく頬を膨らませていた。

「え? だってヴィヴィオ端末持ってないよね?」

 そう答えを返すユーノはどう見ても本気で答えている顔である。前にもうひとりの母であるフェイトやなのはの友達であるはやてが二人の関係について色々心配していた姿を見た事があるが、これを見るとまだ幼いヴィヴィオですら何となく納得してしまう。

「……鈍感」

 なのはのその呟きについ「なのはママも人の事言えないと思うよ」と言ってしまいそうになった口を慌てて押さえるヴィヴィオ。が、二人ともその様子には気が付かなかったようである。

「で、どうかしたの? 何か用事?」

「あ、用事って程じゃないんだけど……確かなのは、今週末にお休みがあるんだよね?」

「へ? あ、うん、そうだけど……何で知って……?」

 何で知っているの、と言いかけたところで、なのはは視線をヴィヴィオに移す。肯定するかのように微笑むヴィヴィオに、なのはは思わず苦笑を漏らした。

「えっと……それで、良かったらなんだけど……一緒に遊園地でもどうかな、と思ってさ」

「え……ええっ!?」

 そして思いもよらなかったユーノからの次の言葉に、なのはは素っ頓狂な声を上げる。

「は? へ? ふぇ? ど、どどどど、どうしたの突然!?」

「いや、あの……ほら、前に同じような名目で遊園地に行った時、ユーリが乱入して大変な事になった時があったよね。あれの埋め合わせというかやり直しというか、さ」

「……ああ、あれね。そうそう、忘れたいけどあれは忘れられないなあ……ユーリちゃんってばせっかくヴィヴィオにユーノくんの事を『パパ』って呼ばせるだけで我慢してあげたのにその後ヴィヴィオが迷子になって遊園地の係員さんから『きょうは混んでますからお父さんもお母さんも目を離さないであげて下さいね』って台詞にいきなり横から飛び出してきて『全力全開で違いますからただの幼馴染み同士なんですよこの二人~(音符)』とか満面の笑顔で否定するとか信じられないよねまったくお陰で余韻が台無しになって……」

 よくもまあこれだけの長い台詞を息も切らさず言えるものだ、とヴィヴィオは呆れを通り越して感心していた。普段は厳しくも優しい母をここまで変えてしまう目の前のユーノ・スクライアの従妹……ユーリ・スクライアは本当に凄いなあ、とそちらも思わず感心し、そろそろ不思議そうにそんななのはを見つめているユーノにこれ以上母の黒い部分を見せたくなかったのでその袖を引っ張りつつ、

「なのはママ、遊園地行きたい~♪」

 と、助け舟を出した。

「え? あっ……そ、そっか、ヴィヴィオは遊園地行きたいんだね? じゃあユーノくん、お言葉に甘えて、週末はよろしくね♪」

 それに気が付いたのかただ正気に戻っただけか、どちらにしてもなのははようやく普段のヴィヴィオが知る彼女に戻ってくれたようである。

「あ、う、うん……」

「それと……今回は、ユーリちゃんには絶っっっ対に秘密だからね?」

「り、了解……それじゃあ、また連絡するね」

「うん、ばいばーい♪」

 そう言って通話が終わり、ユーノを映していた映像モニターが消えた瞬間、なのははスキップのような軽い足取りで自室に戻っていった。おそらく週末に来ていく服を探しにいったのだろう。

「……ふぅ」

 それを見送ったヴィヴィオは、小さくため息を吐いてすっかり温くなったキャラメルミルクを一気に飲み干す。
 ……『聖王』になって以降、自分が普通の同い年くらいの子供より多少精神年齢が高くなった自覚はある。だが、最近は、

「それだけが原因じゃないような気がする……」

 と思わずにはいられないヴィヴィオであった。


 そんなこんなで一週間終始ご機嫌だったなのはと共に、ユーノと待ち合わせていた遊園地の前に来ているのだが。

「……ユーノくん、遅いね」

「そうだね……いつもなら遅れる時は絶対に連絡くれるのに」

 約束の時間の十分前、しかし普段のユーノなら確実に来ているはずの時間。その時間になっても姿を表さない待ち人に、その性格をよく知っている二人は少々不安になった。

「まさかユーリちゃんにばれて捕まった……だったら全力全開でヤらないといけないなあ」

 「ヤ」のところに少々力がこもっていた気がするが、ヴィヴィオは気のせいと思う事にした。何を「ヤ」るのかも気にはなるのだが。

 「あっ……」

 そこに、なのはの端末に着信を伝える音が鳴り響く。なのはは急いで端末を取り出し、相手を確認する。ヴィヴィオも「ユーノくんかな?」と思い覗き込もうとして、

「……ふふっ、やっぱりそうなのかぁ♪」

「………」

 その邪悪な笑みを見て誰だか分かったので止めた。どうも彼女が関わると母が壊れていくような気がしてならない、とヴィヴィオはため息を吐きたくなった。

「はぁい、ユーリちゃん。取り敢えず今すぐユーノくんを返してくれない……」

 だが、その不自然な言葉の切れ、

「え? な、何を言ってるの?」

 最初は驚いたような、続いて何かに脅えるような顔に変わり、

「……嘘、だよね? ねえ、そうだよねユーリちゃん!」

 そして、周囲の目も気にせず、絶叫する母。
 驚いたヴィヴィオの目と耳には、通話の相手が映ったモニターと、その声が入ってきた。

「……何度も言わせないでよ……お兄ちゃんは……無限書庫司書長、ユーノ・スクライアは、二日前から連絡が取れていない……行方不明なのよ、高町なのは!」


 転送装置を使い時空管理局本局へとやってきたなのはとヴィヴィオは、真っ直ぐに無限書庫へと向かった。

「……いらっしゃい、アンタの事だからすぐに飛んでくると思ったわ」

「ユーリちゃん、詳しいお話、聞かせてくれる?」

「落ち着きなさいよ、『強いては事を仕損じる』……アンタの世界の言葉でしょ?」

 ユーノと同じ金色の髪をポニーテールで纏めている女性……ユーリ・スクライアは、そう言って二人にカップを差し出してくる。

「アンタにはコーヒー、おチビちゃんにはココア」

「あ、ありがとうございます」

 ヴィヴィオが素直にお礼を言うと、ユーリは少々驚いたような表情を浮かべた。

「へぇ……アンタの子供にしてはちゃんと教育出来てるじゃない。実際に会うのは初めましてかな? ユーリ・スクライアよ、よろしくね」

「高町ヴィヴィオです。よろしくお願いします」

「うん、挨拶も良いわね。流石名門と名高い『St.ヒルデ魔法学院』、じゃじゃ馬娘の子供でもしっかり教育してるのね」

「……何かさっきから酷い事言われている気がするんだけど?」

「あっはは、嫌ねぇ……実際言ってるのよ」

 そう言ってにんまり顔でぷっ、と噴き出すユーリ。それを見たなのはは流石に声を荒げた。

「あ・の・ね・え! 人が心配で心配でどうしようも無い時にそうやってからかうの止めなさいよね!」

「そういう時だからこそからかってやるのよ。少しは気が紛れるでしょう……お互いに」

「えっ……?」

 その言葉に思わず聞き返すなのはだが、ユーリは答えずに近くの本に手を伸ばす。ヴィヴィオだけはその意味が理解出来たのか、「ユーリさん、良い人♪」と小さく呟いていた。

「今は失踪事件として扱われているわ。担当はアタシ……まあ、多少無理はしたけどね」

「……まあ、現状では適任だろうね。執務官であるフェイトちゃんも特別捜査官のはやてちゃんも忙しい身だし、私は教導官だから捜査権限はないし……」

 管理局の中でも、決められた部署には所属せずに事件の捜査状況、及び現場状況によって本人の自由意志による参加が認められている、嘱託魔道師と同じ位置ながら処罰権限や重要事項の閲覧権限、他世界への転送装置の自由使用権限など、同職よりも高い権限が与えられている特別な職業……時空管理局特別任務官、通称『特務官』と呼ばれる立場にいるのが、彼女……ユーリ・スクライアであった。
 と言っても、これだけの特典が付く職業である。当然その試験は難しく、合格したのはほんの数ヶ月前との事だった。ちなみにそれまではなのはと同じ航空武装隊の所属である。

「遺跡発掘の為危ないところに行くことが多いお兄ちゃんの護衛の為と思って取った資格なのに、まさか最初の権限使用がその相手を探す事になるとはねえ……」

 そう言って苦笑を漏らしながら、ユーリは数冊の本を手に取っては眺める、という行為を繰り返していた。

「何をしているの?」

「お兄ちゃんの手掛かりを探しているのよ。さっきまで無限書庫の司書のみんなに手伝ってもらってお兄ちゃんがここ数日閲覧していたっていう本をピックアップしてたの」

「……ここの本に手掛かりがあるの?」

「……あのねぇ、アンタに最初に魔法を教えたのは誰だと思ってるの? 最近は無限書庫の探索にしか使っていなかったみたいだけど、一応お兄ちゃんは結構高ランクの魔導師だったんだよ? それに出不精だったから発掘作業が無い普段は無限書庫と自室、出ても本局内部止まりなんだから。それに……」

「それに?」

「Sランクオーバーのアンタやアタシと仲が良いのは周囲じゃ結構有名だったのよ? 執務官のフェイト・T・ハラオウンや『歩くロストロギア』こと八神はやて特別捜査官もよく足を運んでいる……まあ、二人は職業柄だろうけどね。そんな人間と仲が良い相手をおいそれ誘拐なんて出来ると思う? アタシだったら出来ないわね……報復が怖くて」

「………」

 色々と反論したい台詞だったが、どうしても思いつかないなのはであった。

「と、いう事で可能性としては新しい遺跡か何かの情報を手に入れてそれの発掘に向かい、事故にあった……というのが一番高いと思ったのよ。それで、お兄ちゃんが直前まで見ていた資料から何か情報はないかな、ってね」

「……流石、ユーノくんが関わると普段は暴走気味な頭も冴えてくるね」

「何よそれ、さっきの仕返し?」

「さあ? でも事実じゃない、昔からユーノくんに関わる事だったら何故か探索魔法とかも数キロ離れた地点のユーノくんの髪の毛すら見つけるほど異様なまでに冴えてたって」

「はぅ……何でコイツにそんな事話すかなあお兄ちゃん……」

 むくれるユーリになのはは笑みを浮かべた。それを見ていたヴィヴィオは、

――ユーリちゃんとは確かに色んな形でライバルだし、よく喧嘩しているけど、決して嫌いって訳じゃないんだよ。感覚的にはアリサちゃんに似てるかなあ。つまりね、ある意味では、フェイトちゃん以上に信頼している相手でもあるんだ、あの子は。

 と前に言っていた母の台詞の意味を、少しだけ理解出来たような気がした。

「それで、そこにあるのがユーノくんが関わっていると思われる本?」

「……の、一部よ。いくら何でも司書のみんながお兄ちゃんの見ていた本全部覚えているわけないでしょ。これだけの数を見つけるのも大変だったんだから」

「……だよねえ」

 無限書庫の蔵書量はその名のとおり無限に近い。そして暇さえあれば本を見ているユーノの読書量も半端ではない。それが数冊に収まるなど、考えられないだろう。

「ほら、アンタも手伝いなさいよ! その為に来たんじゃないの!?」

「分かってるよ……ヴィヴィオ、ごめんね、せっかくのお休みなのに……」

「ううん、いいよ。早くユーノくん、見つけてあげよう♪」

 笑顔でそう呟くヴィヴィオをなのはは優しく抱きしめてから、ユーリの元へ向かおうとした。そんななのはにヴィヴィオは慌てて声を掛ける。

「あ、なのはママ」

「うん? どうかしたの?」

「あのね、今ちょっと思ったんだけど、ユーリさんってユーノくんを見つけるの、上手なんだよね?」

「ええ、そうよ。かくれんぼでお兄ちゃんを見つけられなかった事なんて無いんだから。あ、でも流石に今回は無理よ。いくら何でも次元を超えていたりしたら見つけられないし……」

 答えたのは本を見ながらも耳を傾けていたユーリだ。

「じゃあ、無限書庫内限定でなら、ユーノくん本人のものじゃなくてもユーノくんが関わっていたもの、って感じで見つけられる?」

「え? えっと、流石に触ったくらいじゃ無理よ。でもお兄ちゃんも魔力を浴びたものなら数日間は多分……って、ああっ!?」

 ようやくヴィヴィオが言いたい事を理解したらしく、ユーリは大きな声で驚きの叫びを上げた。

「凄いじゃない、よく考え付いたわね! そうよ、何でもっと早く思いつかなかったのかしら!」

「あ、あの……どういう事?」

 ただひとり、理解出来ていないらしいなのはが歓喜のあまりヴィヴィオを抱きしめているユーリに向かってそう声を掛けた。

「……母親は力……もとい、魔力馬鹿か」

「どうせ魔力馬鹿ですよ……」

「いい? さっきも言ったとおり、アタシの探索魔法はお兄ちゃん本人やその一部……髪の毛や皮膚の事ね、それなら例え数キロ離れていても見つけられる自信があるわ」

「自信を持ってストーカー魔法を自慢されても」

「茶々を入れないの。でも、流石に数十キロ範囲や次元を超えちゃうとアウト。だから今回も探索魔法でお兄ちゃんを探す、というのは無理だった……ここまではいい?」

「うん。だからユーノくんの情報を探そうと今無限書庫にいるんだよね」

「そう。で、ヴィヴィオは疑問に思ったわけね。お兄ちゃん本人じゃなく、お兄ちゃんが関わったものはどうなの、って。答えはお兄ちゃんの魔力を浴びたものなら大丈夫、何しろ魔力を帯びているからね。魔力である分、お兄ちゃん本人よりも逆にやりやすいくらいだよ」

「……それで?」

「まだ分からないの? お兄ちゃんは本を探す時、どうやって探している?」

「……ああっ!?」

 ようやくなのはも気が付いた。ユーノは普段、その探索魔法を使って本を探しているという事を。

「帯びた魔力は時間が経つとどんどん分散して小さくなるけど、逆に大きな反応を示しているものはお兄ちゃんが最近探索したものって意味だから、そういうのから調べていった方が逆に効率がいいわ」

「凄い、流石私の娘、ヴィヴィオ、愛してるよ!」

「あぷっ、ママ、苦しいよ」

「って、こら! あ、アタシまで一緒に抱きしめるんじゃないわよ! そういう趣味はないんだから!」
 二人のその台詞は、歓喜に満ちているなのはには綺麗にスルーされていた。


「探索の結果、この本がお兄ちゃんが一番最近探していたらしい本らしいんだけど……」

 そう言ってユーリは一冊の本を差し出してくる。紫色の表紙に十字のような模様……どことなく、はやてのもつ『夜天の書』を連想させる。
 なのははその本を手に取り、中身を確認しようとページを開いて、

「………」

 すぐに閉じた。

「……ユーリちゃん、読めない」

「安心しなさい、アタシもよ」

 見た事がない文字が並ぶその内容に、二人は盛大なため息を吐いた。

「そういえばユーノくんって本職は学者なんだよね。言語に精通していても不思議はないんだけど……」

「どうする? 解析を依頼していたら時間が掛かるわよ」

「分かってるけど……せめてどこの言葉か分かればなあ」

「古代ベルカ文字だよ、ママ」

「古代ベルカ文字か~。となるとシスター・シャッハ辺りに解読お願い出来ないかなあ」

「えっと、『そのむかし、せかいをそうせいせしかみがいた。そうせいのかみはひとつのつえをもちい、ふみしめるだいちを、うるおすみずを……』創世神話だね、これ」

「へぇ、古代ベルカの創世神話ね。まあ、有名な話ではある……けど?」

 そこでようやく、なのはとユーリは一生懸命例の本を読んでいるヴィヴィオに視線を移し、唖然とした。

「……あの、ヴィヴィオ?」

「もしかして、読めるの?」

「うん、読めるよ~♪」

「「………」」

 二人の視線に、「えへんっ」と胸を張るヴィヴィオ。

「……そう言えば『St.ヒルデ魔法学院』って聖王教会直属の学院だっけ」

「……古代ベルカ語の授業があっても、不思議はないよねぇ」

 まあ、どちらにしても。

「「ヴィヴィオ、凄い!」」

 というのが二人の素直な感想であった。

「えへへっ、ママの役に立ってる?」

「もちろん、ねえヴィヴィオ、ユーノくんの手掛かりになりそうなところとかあるかな?」

「ちょっと待ってて~♪」

 なのはに褒められたのが嬉しかったのか、ヴィヴィオは意気揚々とページを次々に捲っていった。その様子をなのはとユーリは固唾を呑んで見守っている。
 そして、数時間後。

「えっとね、大体は創世神話と同じ内容なんだけど、ところどころ違うところがあった。『七つの音色』とか『神獣』とか」

「『七つの音色』に『神獣』……ねぇ」

「気になるならはやてちゃんに報告しておこうか? 確かはやてちゃんの知り合いに聖王教会の騎士さん……カリム・グラシアさんがいるはずだから」

「まあ気にならないといえば嘘になるけど……ねえヴィヴィオ、他には?」

「えっとね、このふたつの言葉が入っているお話にね、必ず『ランドグリス』って名前が入っているの」

「『ランドグリス』?」

「第五管理世界の事かしら……でもおかしいわね。あそこは聖王教会は管轄外のはずよ。どうして聖王教会の神話の本にそんな世界が……」

 そう言って悩む様子を見せるユーリに、なのははちょっとした思い付きを述べた。

「ねえユーリちゃん。最初の神話でこの本、聖王教会の聖書、もしくはそれに準じている本だって思っていたけど、違うんじゃないかな?」

「どういう事?」

「私の世界の話だけどね、結構神話って似通っているお話も多いの」

「まあ、神話っていうのは神の威厳や人々への戒めって色も強いからそうなるかもね。ちなみにミッドでもそういう事結構あるわよ」

「でしょ? だから、これは聖王教会の神話じゃなくてその『ランドグリス』の神話の事じゃないのかな?」

「なるほどね……でもそうなるとどうして古代ベルカ文字で……まあ、どちらにしても」

 第五管理世界『ランドグリス』……どうやらそこが、今一番可能性の高い場所のようだ。
 彼……ユーノ・スクライアが、いる可能性の。


 その三日後、なのははアイナにヴィヴィオを預け、一週間の休暇を本局に申請した。
 その際に一箇所……『ランドグリス』への次元跳躍の許可を得て。

テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

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