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ANGELS STORYS ~LYRICAL NANOHA A&A~ 第三話 その、発端~フェイト~

 最近「テイルズ・オブ・シンフォニア ラタトクスの騎士」にはまっていますw マルタ可愛いw コレットも可愛いww

 ようやくA&A第三話掲載ですw 今回はフェイトさんのお話。
 前回主役だっただけにA&Aでもかなり重要な位置にいますw そして新キャラ、フィー登場。
 ……初登場じゃないですけどねw 勘のいい人はすぐに分かるでしょうw
 あと「フェイトは俺の嫁」な人にはあまり面白い内容ではないかも。 あ、でもうちフェイトちゃん大好きですww

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「はあ……はぁ……」

 男は必死で逃げた。今までの研究資料も実験体全て破棄し、がむしゃらに逃げた。そしてここまでくればもう大丈夫だろうと立ち止まり、大きく息を吐いた、まさにその時だった。

「……見つけたわよ!」

「!?」

 前方から聞こえる女性の声。オレンジ色の髪を左右でふたつ結びにしている、ガンナータイプのデバイスを持った魔導師。その魔導師がこちらを睨み、その手にあるデバイスをこちらに向けている。
 男は慌てて踵を返し走り出そうとした。だが、

「ひっ!?」

 そこには黒い服と白いマントを身を包んだ、ひとりの女性が佇んでいた。その姿に、彼女の味方には頼もしく、そして彼女の敵には恐怖として写るだろう。言わずとも分かるだろうが、この男はもちろんこの女性の敵の立場にある人間である。

「時空管理局だ。無許可での実験……しかも違法である人体実験を行っていた疑いで、あなたを逮捕する」

 その凛々しい姿と声に、男はその場に座り込んだ。もう諦めるしか道は残されてなかったのだ。
 ひとつの事件が、フェイト・T・ハラオウンの手によって解決した瞬間だった。


「ティアナ、シャーリー、お疲れ様」

「あ、はい。フェイトさんもお疲れ様です」

「私はあまり役になっていませんでしたけどね」

「そんな事ないよ。シャーリーの情報収集があったからこんなに早く解決できたんだから」

 犯人の男を移送し終え、本局で待機していたシャーリーと合流したフェイトとティアナは、それぞれ自動販売機で売られていた飲み物を手に無事仕事が終わった事に対するささやかな祝賀会を開いていた。

「これで今抱えている大きな事件は一通り終わりました。やっぱりティアナさんが執務官試験に合格して現場指揮権を得た事が大きいですよね」

「そ、そんな。私なんてまだまだですよ。だから勉強の為にフェイトさんの下で後二、三年は鍛えてもらうつもりですし」

 照れながらそう呟くティアナをシャーリーは微笑ましげに見つめている。

「でも一発合格なんて凄いですよ。フェイトさんですら二回も落ちてようやく合格出来た難試験なのに……」

「しゃ、シャーリーさん!」

 慌てて自分の口元に右の人差し指を立てて黙るよう指示するティアナ。だが少々遅かった。

「………」

「「あっ……」」

 見るからに落ち込んでしまったフェイト。しゃがみこみ地面に「の」の字を書いているその姿は先程の凛々しい姿からは想像出来ないほど滑稽で……どことなく可愛かった。

――シャーリーさん! それは禁句ですよ! フェイトさんがその事に軽くコンプレックスを抱いているのを忘れてたんですか!?

――ご、ごめん、つい口が滑って……。

――そのおしゃべりな癖、直さないと後々後悔しますよ、絶対!

 念話でシャーリーを叱咤するティアナ。その事を知ってか知らずか、フェイトは立ち上がり少し無理のある笑顔で二人に語り掛けた。

「あ、二人ともこの後時間あるかな?」

「え? あ、はい。この後の時間はさっきの事件が早期解決した事で出来たいわば臨時休養みたいなものですから」

 ティアナの言葉にシャーリーも頷く。

「それじゃあ、よかったらこの後一緒に食事とかどうかな?」

「「えっ?」」

「ほら、さっきの会話で思い出したけど、まだティアナの執務官試験合格のお祝いしていなかったじゃない。ちょうど良い機会だからどうかなって思って。もちろん私が奢るよ」

「え、本当ですか!? 私も!?」

「ふふっ、もちろん」

「やった! もちろんお供しますよ」

「ちょ、シャーリーさん! そんな、悪いですよ」

 やけに乗り気なシャーリーと控えめなティアナ。正直立場が逆であるような気がするのは否めない。

「いいのよ、ティアナもシャーリーもよく頑張ってくれてるし、上司としてこれくらいの見栄は張らせて、ね?」

 しかし可愛くウィンクをしながら呟かれたその台詞に、

「……分かりました、ご馳走になります」

 頷く以外の回答がついに見つからなかったティアナであった。


「ふぅ……」

 食事の時間まではまだ少し時間があったので、三人は一度家に戻って準備をする事にした。せっかくのお祝いなのに執務官の制服ではどうか……と思ったのだ。
 フェイトは本局内に間借りしている住居に戻り、上着とスカートだけを脱いでベッドに飛び込んだ。黒の下着が露わになっているが、別に誰か見ているわけではないので特に気にはしない。
 そしてその手には、スカートのポケットに入れていた小さなペンダント。十年前から肌身離さず持っている、白い宝石があしらわれたあのペンダントだった。

「お兄さん……私、頑張っていますよ」

 誰にともなく、ただ小さな声でそう呟く。
 この十年間、フェイトは本当に強く、そして大人になった。度々彼の事を思い出しては泣き腫らす事もなくなった。
 でも……とフェイトは思う。逆にそうなった事で自分が冷徹な人間になっている気がしてならないのだ。

「お兄さん……私、お兄さんが誇れるような人間になっていますか?」

 あの日、はやてに言われて立ち上がった自分。彼が誇れるような人間になる……それがまだ幼く弱かった自分を認め、優しく受け入れてくれた彼の為への義務だと自分も思ったから。
 だけど、もし願いがひとつでも叶うなら……、

「もう一度……会いたいよ」

 叶わぬ願いと知りつつも、願わずにはいられない。
 そんな思考を、頭を振って強引に遮断し少し身を休めようと目を閉じる。
 だがそんなところに緊急の連絡を知らせる音が鳴り響いた。

「……ん?」

 眠りの中に落ちかけていた意識を覚醒させ、起き上がって軽く身だしなみを整えてから端末を操作して通信を許可にする。

「はい、時空管理局執務官フェイト・T・ハラオウンです……なっ!?」

 そして語られた内容に絶句し、急いでティアナとシャーリーに連絡を取った。

「二人とも、残念だけど今日の食事会は中止。すぐに軌道拘置所に向かって」

「軌道拘置所? あの、何かあったんですか?」

 おずおずと尋ねてくるティアナに、フェイトは一度沈黙してから神妙な面持ちで内容を告げる。

「ジェイル・スカリエッティと拘留されていたナンバーズ四人……全員が何者かに殺害されたらしいの」


「うっ……」

 それがモニターに映し出された現場の写真を見た、自身はあまり現場に出る機会の無いシャーリーの第一声だった。声すら上げなかったものの、ティアナも口を手で押さえ青白い顔色になっている。

「……殺害時間は分かりますか?」

 ただひとり、現場状況を見てもほとんど表情を変えなかったフェイトが軌道拘置所の所長に話しかけていた。

「はい、おそらく昨晩の十時から深夜二時の間かと。この時間に警備巡回がありまして十時の時には生存を確認、そして深夜二時には殺害されていました。他の場所も概ね同じような状況です」

「監視カメラは?」

「もちろんありますし正常に稼動しています。故障や何らかの妨害を受けた形跡はありません。場所が場所ですからね、死角がまったく無いように配置されています」

「だけど……犯人は写ってはいなかった」

「はい……」

 うなだれる所長。流石に拘置所に俗が侵入し、犯罪者とはいえ人が殺されたのだ。そして犯人の目星がまったくつかないともなれば落ち込みもするだろう。

「それにしても……ひどい」

 頭部が完全に無くなっているジェイル・スカリエッティ。
 両腕が消えているナンバーワン、ウーノ。
 逆に両足がもがれているナンバースリー、トーレ。
 上半身と下半身が遠く離れているナンバーフォー、クアットロ。
 縦半分に綺麗に裂かれている、ナンバーセブン、セッテ。
 方法は不明だが、全員絶命している事だけは確認出来る。

「ジェイル・スカリエッティとウーノ、トーレの見当たらない部位は?」

「……分かりません、どこにも見当たらないのです。それに、少々不可解な事が」

「不可解な事?」

 フェイトの疑問に所長は小さく頷いた。

「ええ、身体の一部分が無くなっている、もしくは完全に切断されているのに……どこにも血痕がないのです」

「血痕が……ない?」

 フェイトは慌ててモニターを見直す。確かにこれだけ残虐な方法で殺されていながら、床やその周囲は綺麗なものだった。

「どういう……事?」

「我々には何も。現場検証をした者も首をひねっていましたよ」

 そして次の言葉に、フェイトは思わず絶句してしまう。

「まるで……切断されたのではなく、消滅したみたいだ……と」


――消滅……まさか、ね。

 所長からの事情聴取を終え、ティアナとシャーリーに他の職員達からの聴取を頼みフェイトは休憩室で考え事をしていた。何も出来ずにただ呆然としていたという自分達の失態を恥じてか、ふたりとも黙々と仕事をこなしているようだった。
 そしてフェイトはというと、先程の所長の一言が頭から離れずにいた。その言葉は、フェイトにとってあまりに哀し過ぎる、十年前のあの事件を思い出させるのに充分な一言だった。

――消失の剣……アトロポス。あれが、今回の事件の鍵なの?

 フェイトから大切なものを奪った、最悪にして最凶のロスト・ロギア。苦心の末何とか倒したはずの、恐ろしい存在……だったもの。

――あり得ない。アトロポスの本体……「神獣」は、私が……私とお兄さんが倒したはずなのに。

 もしあれがまだ現存するなら……一体彼は何の為にその身を犠牲にしたというのか。あまりに彼が報われないではないか。

――そんな事認めない……許さない、絶対に!

「……それだけではないでしょう? あなたは、あのアトロポス自体を……恨んでいる」

「――!?」

 唐突に、自分の心の中での呟きに答えるその声にフェイトは過敏なまでの反応を示し周囲を見渡す。

「前のアトロポスの持ち主……レイリア・シュトゥールは許せた。彼女の狂気の原因は自分にもあったから。だけど、アトロポス自体が存在しなければ……そもそもあの事件すら、起きなかった。そう思うと、どうしてもアトロポスが憎くてしょうがなかった」

 フェイトはようやくその声の主を発見する。斜め後方に人影があったのだ。

「えっ!?」

 そして、相手の姿を見て驚愕する。何しろそこにいたのは……、

「わ、私……?」

 鏡の前に座り一生懸命櫛で梳かした髪。リンディやエイミィに買ってもらった少ないお洒落着の中から一時間は悩んだ服。そして犬のアップリケの入ったショルダーバッグ。
 その姿には見覚えがあった。いや、忘れたくとも忘れられない姿だった。
 彼と初めて二人で出かけた時の、そのままの姿の自分……なのはも事故にあう前で、はやてもようやく車椅子無しで行動出来始めた頃で……今思えば一番楽しかった頃の過去の自分が、そこにいたのだ。

「でも、無理もない。アトロポスのせいで、あなたは初めて憧れ、心を許し、そして……好きになった異性だもの」

「なっ!?」

 フェイトの顔が一瞬で赤く染まりあがった。

「ち、違う! ……そんなのじゃ、ない」

「そうかしら? だからあなたはこの十年間、異性と共に行動する事を極端に避けていたのではないの?」

「――っ!?」

「機動六課にいた頃もそう。グリフィス、ヴァイス……他にもあそこに勤める男性局員はたくさんいた。はやて達が選んだだけあって、皆才能に溢れていた。でも、あなたは訓練と執務官としての仕事に追われ……いえ、むしろそのように調整し、触れ合う時間すら作ろうとしなかった。唯一の例外はエリオ。だって彼はあなたの弟同然の存在だったもの。エリオ自身もあなたに抱いていた思いは家族のそれだった。だから、あなたは安心して触れ合う事が出来た。更に言えば、戦闘支援のまったく出来ないシャーリーを補佐官として選んだのも同じ理由。所属していた『アースラ』にはそれこそ優秀なスタッフがたくさんいたのに、あなたは彼女を選んだ。あなたは……知っている顔以外の異性を、極力排除している節がある」

「………」

「前にあなたはなのはに言った。『大切な人を悲しませたくないから作らない、深く交わらない。そんな考えもあると思う。だけど、落ちられない理由を作るのも、強さになると思う』って……笑ってしまうわね。大切な人を作ろうとせず、失う事に恐怖を抱いているのは……あなたの方なのにね」

「うるさい、黙って!」

 激昂し、大声で叫ぶフェイト。だがその顔には怒りというよりどちらかというと戸惑いの方が大きいように思えた。

「彼はあなたに色々なものを残していった。あなたに優しくしてくれ、笑いかけてくれ、全てを受け入れてくれ、そして……護ってくれた人。そんな彼を失った時、あなたはあんなになるまで壊れかけた。それを『好きだった』と表す以外に、良い言葉があるの?」

「黙れって言ってるでしょうっ!」

 図星を疲れた事に対する怒りと、心の中を読まれたような過去の自分の言葉に対する恐怖で、フェイトは思わず攻撃魔法を……プラズマランサーを放ってしまう。もちろん激昂しているとはいえ仮にも管理局の執務官、設定はちゃんと非殺傷だ。

「なっ……!?」

 だが、プラズマランサーは過去の自分に当たらなかった。その直前で、跡形も無く消え去ってしまったのだ。

――アト、ロポス……いや、違う。これは……まさか……!

「魔法破壊(スペルブレイカー)……?」

 魔法破壊(スペルブレイカー)……彼が所有する稀少技能(レアスキル)にして、全ての魔法を無効化する、絶対魔法防御の特性を持つスキル。後方からの魔法攻撃を主とするミッドチルダ式魔導師の天敵ともいえる凶悪稀少技能(レアスキル)だった。

「な、何故あなたがその能力……を……?」

 フェイトはそう過去の自分に問い掛けようとして、再び絶句する。

「……ふぅ。魔法破壊(スペルブレイカー)はその特性上、自分に向けられた支援魔法も無効化してしまうんだったっけ」

 過去の自分の姿はもうどこにもいない。代わりにいたのは、過去の自分と同じ歳くらいのひとりの少女。
 蒼い髪と瞳を持った笑顔を浮かべているその少女に、フェイトに何故か戦慄が走った。

「あなたは……誰、なの?」

 ようやく搾り出せたその声に、少女は笑みを浮かべたまま答えを返す。

「そうだね……フィー、とでも呼んで」

「……フィー?」

「そう。昔からそう呼ばれていたしね」

 そう言って少女……フィーはじっとフェイトを見つめてくる。

「……それで、あなた……フィーは私に、何をしたいの? 何をしろというの?」

 身に走る戦慄に耐えながら、フェイトは真っ直ぐフィーを見つめて問い掛ける。フィーはそれを待っていたかのように同じようにフェイトを見つめ、

「……彼に、会う方法を教えましょうか?」

 フェイトにとって、天使の囁きとも悪魔の誘いともとれる提案をぶつけてきた。


「何を……馬鹿な事を!」

 だがフェイトは、その言葉を真っ向から否定した。

「どうしてそう思うの?」

「だって……だってあの人は……お兄さんはもうっ!」

 この世にいない。自分を残して、死んでしまった。
 そう言いたかったが、でも言えなかった。
 言ってしまったら、それは自分でも認めてしまうという事だから。
 もう、彼には永遠に会えないという事を。

「……誰が彼はもう死んだと言ったの?」

「……えっ?」

 だが、フィーはフェイトの言葉自体を……思い自体を、否定してきた。

「よく思い出して。彼は一言でも、自分は死ぬと言っていた?」

――ごめんね、フェイトちゃん。君がこの言葉を聞いている頃には……恐らく僕は、もうこの世界に、いないはずなんだ。

――エターナル・ジェネシスの言っていた意味は、こういう事なんだ。僕の持っているものの全て……つまり、僕の、存在そのもの。

 ……言っていない。確かに一言も、自分が死ぬとは言っていない。

「彼がデバイスと話していた時の事を思い出して。どう?」

――我を封印したのはマスターだからです。『時が来るまで、眠っていて欲しい』と。まだその時は来ておりません。マスターにはある特別な力があります。それがある限り、マスターが『死』を迎える事はありません。問題は……ありません。

 ……そうだ。あのデバイス……『エターナル・ジェネシス』ははっきりと言っていたではないか。

「じ、じゃあ……お兄さん、は……?」

「今どういう状況にいるのかは分からないけど……どこかに存在しているのは、間違いない」

 その言葉を聞いた瞬間、フェイトは腰が抜けたようにその場に座り込んでしまった。

「生きて……いるの? お兄さんは生きているのね?」

「さっきも言ったとおり、どういう状況でいるかは分からない。人間以外の存在になっている可能性もある。それは……繋がりの切れた、今の私には分からない」

「フィー?」

 フィーの顔から笑みが消え、どこか悲痛そうな表情を浮かべている。

「質問に答えていなかったね。私は……あのお方に仕えていたもの。神話の時代……神と呼ばれていた頃の、あの方に」

「神? お兄さんが? あの、どういう事……?」

「……ああ、そうか。あなたは知らされていないのね。いや、そんな時間が無かったというべきか」

 そう言ってフィーは懐から何かを取り出す。
 小さな球型をした、茶色の宝石のようなものを。

「まさか……マテリアル!?」

「そう。古の時代に作られた、力の象徴たる宝石。これは術式を施して戦闘の際の詠唱短縮や先天性の魔法を使えるようにする『トリックマテリアル』の派生、『コンバートマテリアル』、チャリオット」

「チャリオット……マテリアル」

「……今までのあなたとの問答で、あなたがあの方を今でも思ってくれているというのが、よく分かった。だから……フェイト・T・ハラオウン。私はあなたを信頼する。でも、だからと言ってあなたにも最初から信頼してもらおうなんて、虫のいい事は思わない。だから、これをあなたに預けるわ。私が信頼出来ると感じた時、あなたのデバイスにチャージして」

 半ば無理やりにマテリアルをフェイトに押し付けるフィー。戸惑いながらもそれを受け取るフェイト。

「第五管理世界『ランドグリス』へ……そこに、あなたが求めている答えがある。そして、忘れないで。この場所で起こった事件も、そしてあの十年前の事件も……全ては、これから起こる事の、余興に過ぎないという事を」

「――!?」

 正直、フィーに言われるまで今何故この軌道拘置所にいるのかを忘れかけていた。そして、彼女はこの事件も、十年前のあの忌まわしい出来事も、ただの余興に過ぎないという。

「急いであの方の復活を。それが出来るのは……伴侶として選ばれた、あなたしかいない。そして、止めてあげて……破滅の、七つの音を。獣の災厄を」

 それだけを言い残し。まばゆい光に包まれ。
 フィーはフェイトが思わず目を閉じてしまったほんの数秒の間に、跡形も無く消えてしまっていた。

「……一体、何が起ころうとしているの?」

 だが、手の中に残る小さな宝石が……チャリオットマテリアルが、決して夢ではなかった事を告げている。フェイトはこれからどうするかを考えようとして……止めた。

――これからやる事なんて、もう、決まっている。

 あの少女……フィーを信じるかどうか、それはまだ決めていない。だが、
 このマテリアルをフェイトに渡そうとしていた時の彼女の顔は、間違いなく真剣だったから。
 笑顔に感じた戦慄の中に、どこか懐かしい感覚を覚えたから。
 だから……一度だけ、信じてみようと思った。


 ……次の日、フェイトはティアナとシャーリーに一週間の休暇を取ると告げ、同時に彼女達にも休暇を取らせた。
 そして、管理局の次元転送装置から、指定された世界へと跳ぶ。
 マテリアルと、ペンダントを携えて……。

テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

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