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ANGELS STORYS ~LYRICAL NANOHA A&A~ 第四話 その、発端~はやて~

 これで個別の発端編終了。はやては少々立ち位置が他のふたりと違いますw
 次から合流編です、何気に最後に出てきた三人ですが……バレバレですよね?ww

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 ミッドチルダの郊外にある、機動六課……正確には、元機動六課の隊舎の屋上、ヘリポート。
 今は使っている部隊もなく、静まり返ったその場所に、元機動六課隊長、八神はやては佇んでいた。

「……こんな場所に呼び出すなんて、何が目的なんや? うちの身体?」

「……そういう冗談を言うところは、十年経っても変わっていないようですね」

 そのはやてから数メートル離れた位置に立ち会話をしているのは、十年前に起こったあの事件の影の首謀者。少年と青年の顔を持つ、不思議な人間……。

「当たり前や、うちがそう簡単に変わるわけないでジェノくん……」

 いや、違う。

「それとも、アトランティス・セルヴィー・ジェノサイド様、って言った方がええか?」

 不思議な……『神』、だった。


 事の発端は、はやてのかつての上司であるレティ・ロウランからある不可解な事件の話を聞いた事から始まる。

「消えた? 管理外世界のひとつが、ですか? レティ提督」

「ええ、そうなのよ八神捜査官……つい最近発見された新しい管理外世界が、昨日唐突に、文字通り消えてしまったの。まるで最初から存在していなかったかのようにね……」

 訳が分からない、といった様子でレティはお手上げのポーズをしてみせた。いつも冷静沈着な彼女のお茶目な仕草に本来なら笑ってしまうような光景だったが、はやては今聞かされた内容が気になってしょうがないでいた。

「消えた……存在していない……消、失?」

 まさか、である。しかし同時に、そろそろ起きるべき時だという実感があったのも確かだった。その証拠に、

「それで、どうしてうちにこの話を? うち、もうレティ提督の部下やありませんけど?」

「……あのね、おかしな事を言うのだけど……昔、似たような事件がなかった? そう……あなたが、関係した事件で」

「……!」

 あの事件が。消えたはずの事件が。
 少しずつ、綻び始めていたのを感じ取っていたからだった。


「で、そんな時に君からの突然の連絡や。どんなやつでもいよいよかー、って思うで、絶対」

「……一年程前に、『夜天の書』に新たなページが刻まれましたよね?」

「あら、無視ですか? お姉ちゃん寂しいで」

「まともに会話していると疲れますから」

「なんや、この十年でつまらん性格になったなあ」

「………」

「冗談や。あんたが『違う』っていうのはうちも分かっとるからな」

 苦笑を浮かべて両の手の平を天に向けて肩をすくめるはやて。それを見たアトランティス・セルヴィー・ジェノサイド……ジェノは小さく笑みを浮かべた。

「それで、用件は何なんや?」

「……意思の確認です。八神はやてさん、貴女は本当に……」

「やるで、うちは」

 真っ直ぐ、凛としたはやての視線に、ジェノは続く言葉を飲み込む。

「その為に多少無理してでも作り上げた『機動六課』や。なのはちゃんが鍛え上げたフォワードメンバーや……そう遠くない未来、再びみんな集まる時が来る」

 そう告げるはやての顔に浮かぶのは、決意の入り混じった笑顔。

「うちらを……そして、『破滅』を止める為に、な」

「………」

 その笑みに変わらない、強い決意を感じ取ったジェノは、ただ小さく微笑む。

「……先日、六つ目の封印が解けました。これで、『地』『水』『火』『風』『光』『闇』の神獣が覚醒した事になります」

「『闇』の神獣……アトロポスは十年前にうちらが……いや、フェイトちゃんと聖さんが倒したから残りは五体か」

「ええ、そしてそのうちの二体……『火』の神獣イフリース、『水』の神獣アクオーンはどうやらアトロポスの時と同じように暴走しているようですね。他の神獣はまだ正気を保っているようですが……時間の問題でしょう」

「オーケー。取り敢えず、そいつらを止めてくるわ。じゃないと目的の物は手に入らんからな」

「既に手は打っています。高町なのはとフェイト・T・ハラオウンが現地に向かう事になるはずです」

 その言葉にはやての表情が一瞬固まる。

「……恨みますか? 勝手に親友を巻き込んだ私を」

「……ううん、そうやないんや……ジェノくんに汚れ役を押し付けているようで、ちょっと自分が嫌になっただけ」

 するとジェノは一瞬驚いたような顔になり、そして先程まで以上の笑みを浮かべた。

「貴女は本当に優しい方ですね……気にしないで下さい。汚れ役は慣れていますよ」

「そんな寂しい事言わんといてや」

「それをひとりで背負い込もうとした貴女に言われたくないですよ」

 そう言って二人はしばらく笑い合う。そしてジェノは懐から何かを取り出し、それをはやての手に握らせた。

「これは……マテリアル?」

「ええ、敬意の証……『レヴェランスマテリアル』です」

 茶色の光を放つ宝玉を見ながら、はやてはちょっとした疑問をジェノに尋ねる。

「えっと、あれは? ほら、十年前のあのマテリアル」

「『ジェノサイドマテリアル』ですか?」

「そう、それ。あれが一番強いマテリアルなんやないん?」

 十年前、あのアトロポスの『消失』の力を一撃にして破りさった、強力無比な力を持つマテリアル。あれがあれば、はやてにとってかなり有利になる事は言わずともかなである。

「確かにそうです。ですがお忘れですか? あれは前回の時に破壊されたじゃないですか」

「あ、そっか」

「マテリアルは本来『創世の神』ムーラルティア・ウェルビル・ジェネシスしか創造出来ません。『ジェノサイドマテリアル』もこの『レヴェランスマテリアル』も彼が創造したものを私が譲り受けたものでしかないんです」

「つまり、これで凌ぐしかないって事か……出来るかなあ、『ジェノサイドマテリアル』ですらアトロポスのバリア破壊しか出来んかったのに」

 そうは言うはやてだったが、その顔に苦悶や苦悩、後悔と言ったようなものはまったく見えない。

「その分、この十年で貴女自身も成長していますよ、やり方次第で何とでもなるはずです」

「そうかな? 胸とかあんまり成長してないんやけど」

「んな事言ってんじゃねえよ!」

 と叫んで口を押さえるジェノ。その様子を見てはやては大爆笑している。

「……はあ、やっぱり貴女には勝てないですよ」

「ふっふー、どや? 神様すらおちょくれるうちの才能は?」

「天罰が落ちない事を祈っていますよ……取り敢えず、今回は他にもフェイト・T・ハラオウン、そして高町なのはもいます。貴女のいう『機動六課』のフォワード達も。そして……これも」

「……えっ?」

 それを見た時、はやては思わず我が目を疑った。彼はこれを、自分に持たせる気なのか、と。

「どう使うかは、貴女の判断に任せます。ただ……彼女の前でだけは、使わないように」

「当たり前や……使えるわけ、ないやん」

 だが、これがあれば戦局はかなり変わる。それだけの力を秘めているものなのだから。
 だから、はやてはそれを受け取った。
 ただ出来れば、使う機会が無いようにと願いながら。

「では私はそろそろ行きます。少しの間でも、災厄を止めなければ」

「分かった……そっちも、頑張りや」

 はやてのその言葉にジェノは微笑み、背にある三対六枚の翼を羽ばたかせる。

「最後にひとつだけ忠告を……高町なのはに、私達とは違う思惑が混じっているようです」

「!? どういう事、や?」

「確証がないのでまだ何とも言えませんが……今度の戦い、一番辛い位置に立つのは貴女ではなく……彼女かもしれません。どうか……彼女に、気を配って置いて下さい」

「……それも当たり前や。なのはちゃんだって、うちの大事な親友なんやからな」

 はやての言葉にジェノは再び微笑むと、今度こそ何処かへと去っていった。
 残されたはやては、その手にあるマテリアルともうひとつのものを強く握りしめ、そして小さく呟く。

「ついに、始まるんやな……十年前から種を撒かれ始めた、世界の存続を賭けた『聖戦』が……」

 そして、はやての決意が試される時が。


「休暇? はやてがか?」

 その日の夕食。久しぶりに家族揃っての食卓……最近加わったアギトも含めた全員が揃っての食事の途中で、はやては唐突にそう切り出した。

「そや。ちょっと行きたい所があってな、明日から一週間ほどな」

「それは……主はやては休暇が余りに余っていると聞いていますので良い事だとは思いますが……ですが、おひとりでですか?」

 おそらくはやての家族……守護騎士(ヴぉルケンリッター)全員の総意であろうシグナムの言葉にはやては頷く事で答えた。

「まあみんなには悪いと思ったけどな。ちょっと次のお仕事の視察的な意味もあるんよ。場所も管理世界やし、そう心配せんといてや」

 そう言われてしまってはシグナム達としても立つ瀬がない。それに自分達だって仕事がある。「分かりました」と頷く以外なかった。その行方を見ていた他のみんなも食事に戻る。

(ごめんな、みんな……)

 だからはやては心の中でみんなに謝る。ほぼ間違いなく、その地で戦いが起こるだろうから。その戦いにまだみん名を巻き込むわけには行かなかった。
 守護騎士達には、自分とは逆の立場に居てもらわないといけないからだ。

「………」

 だが、そんなはやてを見つめるひとつの視線がある事に、彼女はまだ気が付いていなかった。


「やっぱり、『夜天の書』は相変わらずか……」

 翌朝、出かける前に自室にある椅子に腰を掛けながら、『機動六課』が解散したあの日の夜以降新たなページを刻む事のないはやての魔道書、『夜天の書』のページを開き、はやては大きくため息を吐いた。
 古の文明にして幻の地とも呼ばれる『アルハザード』。その地の神が作り出したロストロギアであるこの『夜天の書』には、はやての魔法のトリガーとなる意味合い的な面と、魔力や情報を収集するという本来の『書物』としての面の他に、その収集した情報を元に予言を……正確にはその情報を元にはじき出した『限りなく確率の高い』出来事を導き出す能力がある。この能力によって、はやては今回少々特殊な位置に立つ事になったのだ。
 だが、その三つ目の能力を、『夜天の書』は発揮しようとしない。それは、まだ導き出すだけの情報が足りないという事か、それとも……。

「もう、情報から導き出す事が不可能になったくらい、今の状況が予測不可能な位置に至ったか、です」

「えっ!?」

 まさか自分が考えていた事が別の位置からの声で語られるとは思いもしなかったはやては、驚愕の表情を浮かべてその声が聞こえた方向を見た。

「リ、リィン!?」

 そこにいたのは、小さな末っ子の家族……ある意味、はやての一番の相棒とも言える、ユニゾン・デバイスと呼ばれる存在の少女……リィンフォース・ツヴァイ。

「どうしってって顔をしていますねはやてちゃん。忘れちゃったですか? 私を創った時にベースとしたこの『蒼天の書』とはやてちゃんの『夜天の書』が、どういう関係だったのかを」

「あっ……」

 そうだった。完全に失念していた。
 公式として提出した資料では『蒼天の書』は『夜天の書』の分冊という扱いになっているが、本当は『夜天の書』とほぼ同時期に同じ人物の手によって作られた『姉妹書』なのだ。能力もほぼ同じで、『蒼天の書』も予言能力を持っている。
 この二冊がどこかで繋がっていても、まったく不思議はないのだ。

「……リィンは、気が付いてたんやな?」

「はいです……はやてちゃんがどんな気持ちで『機動六課』を立ち上げたのか、今どんな気持ちでこれから起こる予定の事件に望むのか……全部、です」

「そっか……」

 そう言ってはやては微かな笑みを浮かべ、小さなため息を吐いた。

「はやてちゃん、リィンははやてちゃんが何と言おうと、はやてちゃんに付いていくですよ」

 そして、予想したとおりの答えがその耳に入る。

「……それが、何を意味するのか知ってて言っとるんか?」

 はやては浮かべていた笑みを消し、真剣な表情でリィンに最後の確認と警告を促す。だが、リィンはまったく怯む様子を見せなかった。

「もう、リィンは子供じゃないですよ」

「………」

 はやてはおもむろに立ち上がると、『夜天の書』と『シュベルトクロイツ』、そして数日分の着替えなどが入った旅行バッグを手に取る。

「……ほな、一緒に行こか、リィン」

「はやてちゃん……」

 途端に嬉しそうな表情を浮かべ、リィンははやての顔に張り付いた。そんなリィンの頭を指で優しく撫でる。

「行こう、ランドグリスへ……あの、馬鹿な神様の為に、な」

「はいです!」


 第五管理世界「ランドグリス」。
 文化レベルは地球より少々下、魔法レベルは地球より少々上。特にこれといった名所はないが、のどかで住民がみな穏やかで心優しく、犯罪発生率は管理局に登録されてからずっとトップを走る少なさ。その為老後はここで暮らしたいという人が多く、ひっそりと人気を博している。
 そして、この世界の唯一の宗教にして、その中で神と謳われるふたつの存在があった。それが、

「火の神イフリース、水の神アクオーン……この世界を創造したとされる二神か……偶然、じゃないわな、やっぱり」

 最初に着いた小さな街にある食堂でランドグリスの風潮や現在状況の書かれた管理局発行のガイドブックを見ながら、はやてはそう呟いた。

「そういえば、先日レティ提督が言っていた消えた世界、どうもこの世界からしかいけない特殊な位置にあった世界みたいですね」

「らしいな。しかも発見された理由がそれまで次元が乱れていて確認出来なかった一部の航路が、唐突に静まったため、やったか? そしてそれが……」

「……十年前、です」

「……間違いなく、何かあるな、この世界は」

 リィンに向かってそう呟いた、その時だった。

――え? フェ、フェイトちゃん!?

――な、なのは!? どうしてここに!?

 食堂の入り口から聞こえる、聞き覚えのあるふたりの女性の声に、はやては小さく微笑んだ。

「……到着したみたいやな、すべての鍵が」

「………」

 はやては複雑そうな顔をしているリィンの頭を撫で、そして声の聞こえた方に向かって歩みだす。

「な、なのはちゃん!? フェイトちゃん!? え? ええっ!? 何でここにおるんや!?」

 今まさに、その事を知ったというような嘘を吐きながら。


 それとほぼ同じ頃。時空管理局、次元跳躍装置の前。

「だぁっ!? どうして駄目なのよ!?」

 ひとりの金髪の少女が、そう叫びながら次元跳躍装置の管理担当の男性に食って掛かっていた。

「そ、そう言われましても……現在第五世界周囲の次元が異常なまでに不安定になったのです。現状況での跳躍は危険過ぎます。いくら特務官殿でも、許可はそう易々と……」

「だから構わないって言ってるでしょう! 責任は自分で取るって! 早くあいつにこれを届けないといけないの! お兄ちゃんが残していたデータから即行で作らせた、この新型カートリッジを!」

 そう言って少女のは右手に持っているカートリッジのマガジンと思われるものを握り締める。

「で、ですがですね……」

「ですですうっさい! 早くしろって言ってんのよっ! いい加減にしないとぶっ飛ばしてでも使わせてもらうわよっ!?」

「ひぃっ!? ちょ、ちょっと待って下さいよ!」

「そうです。ぶっ飛ばすなんて、少々荒業過ぎますよ。貴女もそう思いますよね?」

「ですね……まあ、私はあまり人の事は言えませんけど」

「まあ……ふふふっ」

 そんな、おっとりとしたような女性の声と反対に凛と響く女性の声に、少女は思わず反応を示す。

「何よ外野! 文句あるってんなら……って、あんた……貴女、は」

 その顔を見て思わず驚く少女だったが、おっとりとした声の女性はそんな少女をちらりと笑顔で一瞥しただけだった。

「管理局の方、申し訳ありませんが次元跳躍の許可を出していただけませんでしょうか? 私なら、責任の押し付けがいがありますでしょう?」

「え? い、いえ、そんな事は……しょ、少々お待ち下さい!」

 そう言って走り出す管理担当の男性。それを呆然と見ていた少女は女性に向き直ると、

「……お礼を、言うべきかな」

 と頭を下げる。

「いいえ、ちょうど私達も行かなければならないところでしたから」

「え?」

 女性はそう言って微笑むと、管理担当の男性が走っていった方に向かって声を上げた。

「ああ、忘れていました……跳躍人数は、三人でお願いしますね」

テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

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