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ANGELS STORYS ~LYRICAL NANOHA A&A~ 第六話 女性として、戦士として(前編)

 先日ブログのアクセス数が30000Hitに到達しました。いつも見に来てくださってる皆さんありがとうございますw
 最近暑いですね、アイスコーヒーがとても美味しいですw そしてうちの回りではカリムさんの人気が急上昇しています、嬉しい限りですww

 まあ、うちが一番好きなのはフェイトちゃんですがwww

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「どうやら三人は別行動を取ってるみたいですね」

「……どうします? やはり我々も」

「分散した方が早いわよ、確実にね。アタシは中央神殿に行かせてもらうわ。悪く思わないでね、アタシはこれをあいつに届けるのが一番の目的なんだから」

「ええ、構いません。では私は南の方に。貴女は北をお願いします。念の為、騎士甲冑を身に着けていった方がいいでしょう。嫌な予感がしますから。それとそれなりの装備も準備を」

「御意……」


《Load cartridge》

「トライデント……スマッシャー!」

 フェイトがそう唱えると、放射面の魔法陣中央から一本、続いて同じく放射面の魔法陣の中央を基点に上下に一本ずつ、枝分かれするようにトライデント……三ツ又の矛状に三つに分かれた直射砲撃が飛び、着弾点で結合することで反応、雷撃を伴う爆発を発動する。高速中距離戦闘でのフェイトの要の魔法である。
 だが、

「なんだ!? こんなザコい威力の魔法はよ!」

「なっ!?」

 イフリースはその手にある槍……「フランヴェルジュ」を振り上げる。ただ、それだけだ。
 なのに、フェイトの放ったトライデントスマッシャーの真ん中の直射砲撃は、その切っ先に当たるとその方向……天空に向かって進路を変えたのだ。

「誘導魔法!? くっ!」

 フェイトは意識を集中し、残りの二本の砲撃の進路を変え加速させる。左右からイフリースを挟み撃ちするつもりだった。

「遅い……『雷光』の名前が泣くぜ?」

「――!?」

 だが、その砲撃は当たる事はなかった。当たるはずがないのだ。

「い、いつの間に……」

 自分の背後でフランヴェルジュを突きつけているイフリースに、フェイトは信じられないといった表情で呟く。

「たかが人間と仮にも『神』の名をもつ俺……一緒にすんじゃねーよ」

 イフリースがそう答えると同時に、彼の周囲に何かが現れる。

「球型の魔方陣……!」

 彼や、「アトロポス」の過去の所持者が使って見せた、円状のミッドチルダ式でも三角形のベルカ式でもない、第三の魔法の術式。その威力が前途ふたつの術式を大きく上回っている事をフェイトは過去に嫌というほど味わっている。

「っ!」

《Sonic move》

 慌てて高速移動魔法「ソニックムーブ」でイフリースとの距離を取る。
 ……それが、無意味だったと知るのにそう時間は掛からなかった。

「フランヴェルジュ……バーニングマテリアルチャージ!」

《Burning material, Charge》

 イフリースの命を受け、「フランヴェルジュ」唯一の煌びやかな部分……紅の宝玉から炎が上がった。

「喰らいやがれ! 地獄の炎……『バーニング・インフェルノ』!」

《Burning inferno》

 「フランヴェルジュ」から放たれたそれは、文字どおり「地獄の炎」だった。上下左右、フェイトの周囲を囲うように展開され、その全てを焼き尽くそうとフェイトに向かって収縮するように小さくなる。

《Defenser plus》

 避けられないと察したフェイトは防御魔法を展開し、カートリッジと魔力を全て注ぎ込んだ。後の事など考えていない……いや、考えてはいけない。

「う……あああああぁぁぁぁぁっっっっっ!?」

 そしてその予感は正しかった。全カードリッジと魔力を注ぎ込んだはずのディフェンサープラスがあっという間に砕かれ、獄炎がフェイトの身体を焼き尽くそうとその身を包む。

「あ……う……」

 数十秒後、辛うじて耐え切ったフェイトだったが、たったその一撃でバリアジャケットのマントは燃やし尽くされ、衣服の部分も穴だらけとなってその穴から見える皮膚は焼きただれていた。髪と顔は煤が付いているだけでほとんど無傷なのは、おそらくイフリースの意思だろう。

「女の顔と髪は絶対に傷付けるなっていうのが主のモットーでね、暴走してその下を離れた今でも無意識のうちに手を緩めちゃうんだわ」

(主……?)

 少し虚ろな視線で、しかしその眼光を衰えさせる事なく、フェイトはイフリースを睨みながらその言葉をぼんやりと聞いていた。

「……ふぅん」

 そんなフェイトの様子を見ていたイフリースは、ふと何かに気が付いたように頷く。

「……顔と髪以外の部分は、何にも言われていなかったよなあ……確か」

「えっ? あ、ひゃあ!?」

 すると何を思ったのか、イフリースはフェイトのバリアジャケット「フランヴェルジュ」で切り裂いたのだ。フェイトの悲鳴と同時に、彼女の豊満な胸が右側だけ露わになった。

「――っ!」

 頬を染め上げ、慌ててバルディッシュを持っていない左腕で隠そうとする。

「やっぱり……なっ!」

「あぐっ!?」

 無防備になったフェイトの腹に、イフリースは容赦のない拳の一撃を加えた。なすすべなくその威力をモロに受け、フェイトは焼けた砂漠の砂に背中から突っ込む。

「くっ……卑怯……者!」

 あまりに卑劣なイフリースの今の行動に、フェイトは蔑むような視線で睨み返す。

「はあ? 何? お前、女だからこういう事はされないとでも思ったわけ? だったら、よっぽどの温室で育てられたお嬢様な戦士だな……いや、お前らの呼び方で言うと魔導師だったか?」

 だが、その視線を受けてなお、イフリースは平然と……いや、むしろ逆に呆れたような声で呟いた。

「どういう……意味?」

「戦場ってのは本来男の生きる場所だ。筋力や身軽さで劣る女ってのはどうあっても不利になりがちだからな。だが、それでも才に恵まれ戦場に出られる女ってのもいる。それこそ過去から数えれば五万とさ。『女戦士(アマゾネス)』なんて総称があるくらいだしな」

 ゆっくりと、まるで獲物が脅える様を見て喜んでいるような速度でイフリースはフェイトに近付いてくる。

「俺も何度かそんな女を見た事がある。味方としても、敵としても。でもな、どちらの女もまったく同じ共通点があった。今のあんたにはない、共通点だ」

「共通点……?」

「捨てていたのさ……女である事をな」

「……!」

「ある女は『弓を射る時邪魔になるから』と胸を抉っていた。ある女は『掴れると不利だ』と言って髪を全て剃り落としていた。極めつけのはアソコを針と糸で縫い合わせていたやつもいたぜ? 女である事を捨てる為に」

 最後の言葉を聞き、フェイトは少し頬が熱くなるのを感じた。

「こんな事で恥ずかしがってんのか? お前いくつなんだよ……てかもしかして処女か?」

「なっ!? う、五月蝿い!」

「ほら、こんな事で簡単に動揺する。簡単に隙を作ってしまう。戦場の男が全員紳士とは限らないんだぜ? そしてそれは『女』であったら耐え難い屈辱となる。だから戦場にいた『女』は皆『女』である事を捨てていた……『戦士』だったのさ。まあさっきのは極端な例だが……少なくとも俺の知っている『戦士』は、アンタみたいな目に合っても黄色い悲鳴なんか上げた事なかったぜ?」

「――!?」

 フェイトは何となく、知り合いであるひとりの女剣士を思い出していた。普段は冷静な姿を見せつつも、凛々しく、優しい……でも胸の事をからかわれると真っ赤なって激昂する女性。
 だが、それはあくまでプライベートでの姿だ。もし、彼女が戦場で……今、自分があっているような目に遭遇した時、自分と同じように悲鳴を上げて頬を染めるだろうか。
 ……答えは「否」だ。彼女は例え一糸纏わぬ姿になったとしても、愛剣だけは決して手放さず、雄々しく敵に立ち向かう。そんな姿しか浮かばない。
 彼女は……主を守る、「騎士」なのだから。
 それに対して自分はどうだ。イフリースの言うとおり、たかが服が破かれ胸が露わになったくらいで動揺し、隙を作ってしまった。その姿はどう見ても、誰が見ても、

――……情けない。

 そうとしか、映らないだろう。

「まったく、興ざめだぜ。『戦士』の自覚すらないやつのどこが強いやつなんだか……クレームつけてやる」

 その、イフリースの吐き捨てるような言葉はフェイトの耳には入っていなかった。ずっと考えていたのだ。「どうしてだろう」と。「いつからこうなったのだろう」と。
 おそらく過去の自分はこうではなかったはずだ。自分がまだ二次成長を迎えていない文字通り「子供」だったという事もあるだろう。だが、なのはと戦った時や、「闇の書事件」の時の自分なら、こんな目に合ってもおそらく戦っていた……「戦士」、だったと思う。
 ならば、いつから……。

――……ああ、そっか。

 考えてみれば、それは当然の事だった。その後に起こった事で、「戦士」ではなく「女」としていたいと思うような出来事。
 自分は、出会ってしまったのだ。「女」で……異性でありたいと思うような相手に。そうありたいと思うような「想い」に。

――出会ってしまったから、か……お兄さん、に。

 そう、フェイトは……「恋」を、してしまったから。

「あ、あはは……」

「あん?」

 簡単だった。簡単過ぎる結論だった。そしておそらく……永遠に解決するはずのない事だった。
 何しろ、いまだにフェイトの心を埋め尽くす、今回のようにほんの小さな可能性をちらつかされただけでも追いすがってしまうほどの……強い「想い」だから。

「私はもう……永遠に『戦士』にはなれないみたいね」

 笑った。自嘲するように。それを訝しげに見ていたイフリースだったが、

「よくわかんねえけど……死を覚悟したって事でいいんだな? まあ、女でいたいってんならせめてもの情けだ、綺麗に死なせてやるよ」

 そう言って「フランヴェルジュ」を構える。

「………」

 フェイトは答えない。目を閉じ、そして、ただ一言……小さく呟いた。

「ごめんなさい……お兄さん」

――願わくば……もう一度だけ、会いたかったです。

 それを聞いたイフリースは、まったくフェイトへの興味を失ったかのように、笑いもせず怒りもせず、ただ無表情に「フランヴェルジュ」の切っ先をフェイトの心臓目掛けて突いた。

「……?」

 だが、いつまでも訪れない痛みと死を不思議に思い、瞳を開ける。そして……その光景が映し出されたのだ。

――光?

 それが初見の感想だった。光の塊が、フェイトの胸の上でイフリースの「フランヴェルジュ」の切っ先を受け止めている……そう、思えたのだ。

「……貴様に、フェイト・T・ハラオウンの何がわかるというのだ?」

 それは女性の声だった。フェイト達のいる所より少し離れた位置から聞こえるその声は、凛としていて打てば響くような美しい声だ。
 そして、その声にフェイトは聞き覚えがあった。

「確かにフェイト・T・ハラオウンは『戦士』ではないかもしれない……いや、未熟かもしれない。だが、その『女性』らしさが、フェイト・T・ハラオウンの本当に素晴らしいところなのだから、それでいい」

 長く流れるような髪。紫を基調とした騎士甲冑。その手には円状の投擲具……確か、チャクラムという名の武器だったはずだ。

「お前は今までに彼女が救った子供達がどのような笑みを浮かべているか知っているか? 彼女が来るのを心待ちにしている様を想像出来るか? あの笑顔は本当に優しく、微笑ましい。そしてそれは、彼女のような母性溢れるような女性でなくては無理だろう。少なくとも私では無理だった。小さな少女を泣かせてシスターシャッハにお小言を貰ったのも一度や二度ではない」

 そう言って女性は苦笑を漏らした。

「私は、そんな彼女の素晴らしい部分を失わせてまで、戦士でいて欲しいとは思わない。代わりに……私がなろう。戦場では彼女の代わりに、敵を鬼神の如く粉砕する『騎士』にな」

「……貴様、何者だ? 見たところ聖王教会の騎士のようだが。仲間か?」

 そこでようやくイフリースが女性に視線を移し、同時に「フランヴェルジュ」の切っ先の方向をフェイトから女性へと変えた。
 そして女性は、ただ静かにこう答えた。まるで、かつてフェイトが危機に陥っていたなのはを助けた時、その時はまだ敵だったヴィータに向けて告げた時のような凛々しい姿で。

「……友人だ」


 フェイトを守っていた光が女性の手に戻る。どうやらあれは回転していたチャクラムのようだ。

「レイリア……?」

 フェイトは呆然と女性の名を呼ぶ。彼女の言うとおり、フェイトと女性は知り合いだ。
 最初は敵として。
 その記憶を失ってからは良き友として。
 だが、フェイトは初めそれがその友人だとは気が付かなかった。何しろ、普段とまったく態度も雰囲気も違ったからだ。

「ちょっと待っててねフェイトちゃん。すぐに助けてあげるから」

「あっ……」

 そう言って女性は屈託のない笑みを浮かべる。それが、フェイトが知るいつもの女性の雰囲気と態度だった。
 そこでようやくフェイトは気が付く。彼女もそうなのだ、と。
 普段の顔と、戦場の顔を使い分ける……「戦士」なのだ、と。

「こいつを助ける? アンタは戦士の顔をしていると思ったが……他人の心配をしているようじゃいずれ足元すくわれるぜ?」

 そしてそれを嘲笑うかのように、イフリースはそう吐き捨てる。

「……ああ、そうかもな。でも、それが彼女なら……私は構わないと思っている。彼女を、フェイト・T・ハラオウンを守れるのなら、な」

 女性の持つチャクラムが回転する。
 彼女が本来得意とするのは剣であった。だが、十年前を境に彼女は己の武器を変えた。その理由は本人にも分からないという。おそらく分かるのは……今はフェイトだけだろう。

「何故だかは分からない。でも、私は彼女を……フェイト・T・ハラオウンの力とならなければいけない気がしてならない。理解しているのは、それが、彼女への……謝罪と、そして、感謝の意だという事だ!」

 それは、記憶無いはずの彼女の罪。存在しないはずの事件の首謀者。
 その反省と後悔の念を、彼女は忘れていなかった。
 フェイトへの感謝と礼を、覚えていた。
 それがフェイトには何より不思議で……嬉しかった。

「行くぞ、このレイリア・シュトールの新しき相棒よ! 灼熱の光『ブレイジング・サン』!」

 そう言って彼女はイフリースと相対する。
 過去の罪を贖うわけでもなく、ただ騎士としての役目を果たす為でもなく。
 大切な友人を……フェイトを、守る為に。


「……応援に行かなくていいのですか?」

「……アトラ」

 その光景を、遥か遠くで……世界すら違う場所で見届けている二つの影があった。

「必要ないでしょう。彼女にはマテリアルも渡しているし……あの人、強いわ。間違いなく」

「まあ、半封印状態とはいえ『アトロポス』を自在に使いこなしていた人ですからねえ」

「……やっぱり、あのレイリア・シュトールって人と契約を交わしていたのは貴方なのね?」

「まあ、他にいないでしょう?」

「……女こまし」

「酷い言われようですね……まあ、反論しませんが」

 ふたつの影の男の方……アトラはそう言って肩をすくめた。もうひとつの影……フィーはそんなアトラを見て大きくため息を吐く。

「そっちこそいいの? 苦戦しているみたいよ、貴方の伴侶」

「それこそ必要ないですよ。彼女にも……応援は行っているみたいですから」

「そう……じゃあ問題は」

「ええ、そうですね……」

 二人は目の前にある三つのモニターのひとつを見つめる。
 驚き、力なく地面に座り込んでいる、ふたりの姿が映っているモニターを。

テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

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