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ANGELS STORYS ~LYRICAL NANOHA A&A~ 第七話 女性として、戦士として(後編)

 いよいよ八月ですねw 夏コミまでもうすぐですw
 まあ、うちは落ちたので一般参加ですがww

 ではフェイトちゃん覚醒の後編、始まりますw

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《Shining feather》

「光よ、輝く羽根となりで闇を討て、シャイニングフェザー!」

 レイリアの周囲に羽根を象ったような魔法弾が形成される。その数、およそ十六。それとほぼ同時にレイリアは右手の『ブレイジング・サン』をイフリース目掛けて投げ放った。それを追うかのように形成された羽根……シャイニングフェザーもまた一斉に射出される。

「……フランヴェルジュ!」

《Burning inferno》

 するとイフリースは何を思ったか、先程フェイトに放った「バーニング・インフェルノ」を自分に対して発動させたのだ。光の羽根と地獄の炎がぶつかり合い、羽根は消滅し「ブレイジング・サン」はレイリアの手へと戻る。対するイフリースは……。

「……なるほど。その『バーニング・インフェルノ』って魔法、収縮して中身を焼き尽くす能力とそのままの状態で向かってきた外敵全てを焼き尽くす、いわば攻守一体のものだな?」

 両手の「ブレイジング・サン」を構え直し、レイリアは笑顔を浮かべているイフリースに冷静に分析結果をぶつける。

「正解だ。俺は『フランヴェルジュ』を振り回してのぶつかり合いが好きでね、魔法なんてこれしか使えねえんだ。でも……なかなかだろ?」

「そうだな、威力、能力ともに申し分ない……ベルカ式の戦闘スタイルだというのなら、補助的な意味での魔法としては充分だろう」

 レイリアの言葉に満足したのか、イフリースは豪快に笑い出した。

「じゃあ次はそっちの番だ。さっきの誘導みたいな使い方だけじゃねえんだろ?」

 彼女の持つ「ブレイジング・サン」の事を言っているのだろう。その証拠にイフリースは明らかに「フランヴェルジュ」の穂先を彼女の右手に向けている。

「もちろんだ……ああ、そうだ、さっきのシャイニングフェザーで気が付いたとは思うが……」

 レイリアは再び魔法を起動させた。砂漠に立つその足元に浮かぶ魔方陣は……三角形。

「私もベルカ式の戦闘スタイルだ」

《Blitz action》

 一瞬にしてイフリースとの距離をゼロにし、「ブレイジング・サン」を手に持ったまま振るう。

「ちっ!」

 慌てて回避行動を取るイフリース。だがレイリアはその距離をひらかせまいとフットワークを駆使し距離を保ち続ける。

「至近距離では私の方に分があるようだな。ここまで近寄られると……その長い槍では仕留めにくいだろ?」

 確かに先程からイフリースは槍をまったく使用していない。何も握っていない左手にシールド系の防御魔法を張り、レイリアの攻撃を捌いていた。長物、大型武器全体にいえる弱点のひとつだ。

「なめるなぁっ!」

 だがそれにも関わらず、イフリースは「フランヴェルジュ」をレイリア目掛けて大きく振るった。片手であの大きさのものを軽々と振り回すその姿は戦慄すら覚える。

「大振りだ! そんな隙だらけの攻撃では私は討てぬぞ!」

 だがその一撃をしゃがむ事で回避したレイリアはがら空きになったイフリースの腹に一撃を加える。

「ぐっ!」

 神衣に阻まれ傷はまったく付けられなかったが、その衝撃は届いたらしくイフリースは苦悶の表情を浮かべた。

「まだまだぁっ! 『ブレイジング・サン』、カートリッジロード!」

《Load cartridge》

 それを合図に「ブレイジング・サン」が魔力の蒸気を上げる。

「大いなる陽よ、悪を焼き尽くせ! 『コロナ・バースト』!」

《Corona burst》

 瞬間、イフリースの腹に閃光が走った。

《Elusion breeze》

「……ちっ!」

 だが、レイリアは舌打ちをしてイフリースから距離を取る。見ると「ブレイジング・サン」に小さな……本当に微かだが、傷が入っていたのだ。

「『エリュシオン・ブリーズ(約束の地のそよ風)』……神々しい名前だが貴様には似合わんな」

 レイリアが皮肉っぽくそう告げる。

「んな事は俺が一番分かってるっての……これは神衣に付属しているおまけ魔法みたいなもんだ。一定威力までの魔法攻撃を無効化するシールド魔法さ……魔法破壊(スペルブレイカー)ほどいいもんじゃねえけどその分使い勝手はいいぜ。でも俺にこの魔法を発動させたのはお前が始めてだ」

 にやり、と笑うイフリース。その顔に邪悪なものは何ひとつ感じない。まるで子供のような顔だった。
 楽しんでいるのだ。純粋にレイリアとの戦闘を。

「おもしれえ……人間が、しかも女がこの俺をここまで追い詰めるなんて……ははっ! これだから戦いは止められねえんだよ!」

 そして、対するレイリアも。

「私はお前のような戦闘凶の趣味趣向は持ち合わせていないつもりだが……確かにこの戦いは血沸き肉踊るな」

 純粋に戦いを楽しんでいる、「戦士」の顔を浮かべていた。


「すごい……」

 近くにあった岩陰に身を隠し体力と魔力の回復に努めていたフェイトが、その二人の戦闘を見ての感想を思わず漏らした。

(あんなに、強かったんだ……)

 その感想はもちろんレイリアに対してだ。かつて自分が戦った時……あの呪われた神具「アトロポス」を握っていた時のレイリアも確かに強かった。あの時苦戦したのは「アトロポス」の凶悪な能力のせいもあったが、彼女自身も剣技に長けた人間だったからという事もフェイトが一番理解している。
 だが、フェイトは思う……「アトロポス」なんてなくても、剣を握っていなくても、彼女は充分に強いではないか、と。

(これが……「戦士」)

 それに対して自分はどうだ。イフリースの言うとおり、ほんの少し……いやあまり少しではないが……服を破られ、肌が露出したからといって簡単に隙を作ってしまった。自分は、執務官だというのに。個人で動く事が多く、その割には今回のような危険も多いというのに。
 それに引き換えレイリアはどうだ。普段とは完全に気持ちを切り替え、ひとりの「戦士」……いや、「騎士」として戦っている。戦えている。おそらく彼女は自分と同じような目に合ってもまったく動じる事はないだろう。断言出来た。

(私は……こんなにも中途半端な存在だったんだ)

 自分は明らかに「戦士」ではない。レイリアが戦っているのをただ見ているだけのこの状況がそれを物語っている。胸を露わにしてまで戦えるような度胸がないのだ。
 だが、かといってレイリアの言うとおり「女性」なのかと問われれば……納得出来なかった。
 過去の想いに囚われ、その想いが「戦士」としての自分を縛っている。つまり「戦士」ではない。かと言ってその想いを捨てられるほど強くもない。捨てるには……あの時の想いは、「重」過ぎた。過去を引きずり続けているのだ。それに、今でもまだエリオやキャロといった引き取った子供達に心配を掛けてしまうような駄目な母親役だ。「女性」としても中途半端だと自分でも思う。

(戦士でも女性でもないなら……私は一体……何なの?)

 それはおそらく遅過ぎた自分の存在意義への問い。
 戦技教導官となったなのはのように自分の力を人の為に役立てたい、伝えたいと思っているわけじゃない。
 特別捜査官となったはやてのように自分や家族の罪を償う為に管理局にいるわけじゃない。
 自分だけが、ここにいる理由があやふやなのだ、と。そう思うと、今まで自分がしてきた事、その全てが意味のない無駄なものだったような気がして力なくうな垂れる。

――それは違う。

「えっ……?」

 そう思っていた時だった。どこからか声が聞こえたような気がしたのは。

――君にだってあるじゃないか。何の為に今まで管理局にいたのか……その理由が。

(私が管理局にいた……理由?)

 誰だ、とは考えない。何となく、感じていた。
 その声に、懐かしさを。

――君は、最初は何の為に嘱託魔導師になったの?

(それは……)

 フェイトは思い出す。もう随分と昔の事のように感じる、初めて自分で未来を選んだ、過去を。

(なのはの為……あんなに傷付けたのに優しく笑いかけてくれたなのはに、優しいなのはの為に何かしてあげたかった。なのはの事を、守ってあげたかった)

――何の為に執務官になろうとしたの?

(私みたいな境遇の人を助けたかったから……それとやっぱりなのは達を……友達を助けられる人になりたかったから……それと、それと……)

 誓ったから。彼が誇れるような、そんな女性になる、と。

――君は、何故今も管理局に身を置いているの?

 そんな事……決まりきっていた。

(今までと変わらない……大切な人を守るため……誓いを、守るため)

――それが、君だよ。確かに「戦士」ではないかもしれない。「女性」としても中途半端かもしれない。だけど、さっきレイリアが言ったとおり、それが君の良いところなんだよ。中途半端な「戦士」だった君に助けられた人がいる。中途半端な「女性」の君を心から尊敬している子がいる。そんな自分を……そんな人達を……否定するな。

(……!)

 その瞬間、フェイトの赤い瞳に光が灯った。

「……誰かは分からないけどお礼を言うわ。同じ過ちを、二度繰り返すところだった」

 あの時……大切な人がいなくなった時のように。全てに絶望し、何かをする気になんてなれなかった日々のように。
 フェイトはバルディッシュを杖にして立ち上がる。胸は隠したままだ。だがそれでいい。自分は「女性」を捨てるつもりはないのだから。
 力強くバルディッシュを振るう。これも手放す気はない。「戦士」である事も捨てる気はないのだから。

「『戦士』としても『女性』としても中途半端……でもそれでいい。私はふたつ合わせて……私という、『フェイト・T・ハラオウン』という存在なのだから。どちらかを捨てなければならないというのなら……それはもう、私じゃない」

 そんな自分を友達だと言ってくれる人がいる。慕ってくれる子達がいる。
 そして、そんな自分を好きだと言ってくれた人がいた。

「それで……充分だ。それが……『フェイト・T・ハラオウン』なのだから!」

 そう気付いた瞬間、使い果たしたはずの魔力が漲ってくるのを感じた。力が戻ってくるのが分かった。
 ふと露わになっていた胸を隠していた腕に硬いものが当たる。確認するまでもない。あのペンダントだ。
 フェイトと、彼女の大切だった人の思い出が小さな光を放っている。
 そしてフェイトはその輝きに導かれるように……小さく唱えた。

「バルディッシュ……チャリオットマテリアル、チャージ!」


 過去に、フェイトはユーノの事で悩んでいたなのはにこう言った事がある。

――ねえ、なのは。なのはの考えを否定する気はないよ。大切な人を悲しませたくないから、作らない、深く交わらない。そんな考えもあると思う。でもね……落ちられない理由を作るのも、私は強さになると思うよ。

 あれは今思えば、なのはに告げた言葉であると同時に、自分に対しての言葉でもあったと今ならそう思う。
 そう、捨てる必要はない。例え今はその「想い」が足枷になっているとしても。
 きっと、そう遠くない未来に。
 この「想い」は、何者にも変えられない……最高の力になるから。
 確証はない。でも確信はあった。
 だから、フェイトは絶対に捨てない。そして、作り続けると決めた。
 自分の……大切な存在を。

「チャリオットフォーム……チャージ・アップ!」


「レイリア! そこから離れて!」

「えっ!?」

 イフリースに神経を集中していたレイリアは、その声に思わず反応してしまう。それはこの接近した実力同士の戦闘の中では命取りになりかねない。

「もらったぁっ!」

 そしてその隙を逃すほど、イフリースは甘くはない。彼は「戦士」なのだから。

《Burning material, Charge》

 「フランヴェルジュ」が声を上げ、イフリースの周囲に魔方陣が現れる。

「燃え尽きろ! 『バーニング・インフェルノ』!」

《Burning inferno》

「しまっ……!」

 慌てて避けようとするが、もう遅い。レイリアはイフリースの放った炎に包まれ、その炎は収縮し、彼女を燃やし尽くす……と思われた。

「何……だと?」

 驚きの声を上げるイフリース。無理もないだろう。
 「バーニング・インフェルノ」の炎が消えた瞬間、巨大な鉄の塊が現れれば。

「何だ……これは!?」

「鋼鉄の処女『アイアン・メイデン』……私の故郷の世界では中に人を閉じ込め、内に付いた針で串刺しにする残酷な処刑道具だけど……古代ベルカでは清き身体の女性とは何ものにも変えられない、最も清く美しいもの。その意から、大切なものを守る鋼鉄の鎧を指す……そうだよね?」

 鉄の箱から聞こえる声。同時に、箱が展開され中からレイリアとフェイトが現れる。

「え? な……?」

「あ、あなた……フェイトちゃん、なの?」

 だが、そのフェイトの姿を見たレイリアとイフリースの言葉はどこか信じられないものをその目で見ているような声だった。
 当然だろう。その場にいるフェイトは、どう見ても普段の彼女からは想像出来ないような姿をしていたのだから。

「レイリア、大丈夫?」

 とフェイトが差し出す左手は鋼鉄の手甲で包まれている。
 左手だけではない。両手両足、胴……全身を隙間なく鋼鉄の鎧が包み込んでいるのだ。唯一露出している部分は顔しかない。だから彼女だと半信半疑ながらも理解したのだが。
 だが、普段は速度と回避を重視するフェイトの戦闘スタイルからは想像出来ない重装備……全身鎧(フルアーマー)タイプのバリアジャケットを纏っている事には間違いない。
 そして右手にはバルディッシュ。しかしこれもまた「閃光の戦斧」という名からは想像出来ない姿になっていた。
 黄色い宝石を軸に、真っ直ぐに伸びた穂先。そう、その形態はイフリースの持つ「フランヴェルジュ」と同じく槍……突撃槍(ランス)の形状をしていた。斧、鎌、そして大剣は見た事があったが突撃槍(ランス)の形態は初見だ。少なくともレイリアは。

「……! 『バーニング・インフェルノ』すら耐え切るその鋼鉄の鎧……まさか、それは神衣なのか?」

 驚くイフリースの呟きに、しかしフェイトは首を横に振った。

「それは私にも分からない。これはある人に譲り受けたものだから……本当は、まだ使うつもりはなかった。彼女の事を信頼出来るかどうか、分からなかったから」

 重苦しい姿となったバルディッシュを振るう。すると風がおき、唯一の以前のバリアジャケットとの共通点ともいえる白いマントがそれになびいた。

「だけど、私はあなたの言うとおり『戦士』じゃない半端者だから……でも、それでも戦場に立ちたいから……だから、私は力を望む。半端者でも立っていられるだけの力を」

 その赤い瞳でイフリースを見据えるフェイト。その瞳を見た瞬間、イフリースに戦慄が走った。

――半端者? 馬鹿を言うな……いや、言ったのは俺か……訂正しよう。

「いくよ、敵陣を駆け抜ける黒馬……バルディッシュ・チャリオット!」

――お前は……立派な戦士だ。

 そしてイフリースは「フランヴェルジュ」を構える。レイリアはその場から離れる。
 二人とも瞬時に理解したのだ。

――今のこいつはレイリアとかいう戦士より厄介だ。

 と。

――イフリースとの戦闘で消耗しきった今の私は、足手まといにしかならない。

 と。

テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

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