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ANGELS STORYS ~LYRICAL NANOHA A&A~ 第十話 「騎士・八神はやて」

 ようやく第十話更新。最近このシリーズが難産過ぎて困っています><; まあでも手の掛かる子ほど可愛いのも確かですがw

 あとちょっとお知らせをw 同人でのお友達、八神桜花さん(「春の花吹雪」 http://www4.ocn.ne.jp/~hubuki/index.html)と11/9に行われる「リリカルマジカル5」にてカリムさんの合同誌を発行する事になりましたw そこで現在同じようにカリムさんが好きな方の参加をお待ちしていますw

 詳しくはこちらからw

 http://www4.ocn.ne.jp/~hubuki/karimu.html

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「死の気流……デットリー・ストリーム……」

「そう、一定範囲にいる、全ての有機生命体の生命活動を停止させ、死に至らしめる瘴気を発する稀少技能(レアスキル)……故にこの能力の使用にはある絶対的な条件が設けられています。それが『ユニコーン・ペガサス』の存在。この子は癒しと防御に特化した魔法性質を持っているから」

 にっこりと微笑むカリム。そんな彼女にはやてはまず苦笑を浮かべ、

「は、反則的な稀少技能(レアスキル)やなあ……まあ、でも……それの所持者がカリムでよかったとうちは思うで」

 と、その表情を笑みに変えてそう呟いた。

「はやて……ふふっ、ありがとう。笑いながらそう言ってくれたのは貴方四人目よ」

「あ、ちなみに残りの三人はロッサとシャッハとクロノくんと違う?」

 微笑まれた。正解のようである。

「……何か、今ようやくあの輪の中には入れたような気がするわ」

 いつも自分を見守ってくれていた兄姉のような四人。今まで自分が蚊帳の外だったとはもちろん思わない。でもどこか対等とは違う感覚だったのも確かだ。それはただ単に自分が一番年下だったから……そう思っていたのだが。
 そんなはやての心情を悟ったのか、カリムはユニコーン・ペガサスの背で微笑んでいた。

「はやて、私がここに来たのは『預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)』に導かれたからなの」

「え?」

 確かに彼女のもうひとつの稀少技能(レアスキル)、『預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)』には未来を見る能力がある。ただその的中率は解釈の違い等も含めよく当たる占い程度、との事だが。

「つい先日の事よ。内容はものすごく簡潔。決められた日でもなく、そしてあそこまではっきりとした結果が出たのは初めてだった。ただ一言……『黒き翼を信じよ』と」

「あ……」

 はやては背にある六枚の翼を見つめる。

「でも、これだけは言っておくわ。はやて、私は確かに『預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)』に導かれてここに来た。でもそれは『預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)』の内容を遵守したからじゃない。私個人の思いで、はやて……貴女を信じ、助けたいと思ったから」

「カリム……」

「私は貴女が背負っているであろう命題も、その結果が何をもたらすのかも分からない。でも、はやてだから私は信じます。だから、はやて……」

 カリムの顔から笑みが消えた。真っ直ぐな、凛とした視線ではやてを見つめ、ただこう一言、彼女へ告げる。

「貴女が成すべき事を、成しなさい」


「くそっ……」

 そう悪態を吐きながら、アクオーンは『フロッド・ノア』を構え直す。
 『インビシブル・バグ』の気配は完全に消えてしまった。どうやら持ってきた分は全て全滅したようである。これであちら側も魔法が使い放題になったという事だ。こちらの圧倒的有利な立場ではなくなってしまった。

「……まあ、いいでしょう」

 もともと『インビシブル・バグ』は神獣の中でも最弱に位置するアクオーンが、唯一他のものを圧倒し、故に『神獣』として選ばれた由縁となった「知識」によってその差を埋めようと自ら作り出した魔法生命体である。知略でもって他を圧倒する……それがアクオーンのもっとも好む戦いのスタイルだった。

「しかし……だからといって私が『神獣』である事には変わりない」

 そう、それはあくまで神獣間での力量の差だ。力の差に開きがあり過ぎる人間と力量を比べるのは愚の骨頂だろう。
 だが、アクオーンはまだ気が付かない。
 それは、しょうがない事なのかもしれなかった。遥か過去より偉大なる主に仕え、人間の愚かさや弱さを見続けてきていたアクオーンが、人とはくだらない存在だと、そういう思いを抱いてしまったのは。また、はやて自身が『インビシブル・バグ』の正体を見破ったわけではないという事もその事に繋がったのかもしれない。
 そう思うこと自体、神獣としての「高慢」が。
 彼の強さのひとつである「冷静」さを欠き、それが「油断」となってしまっていた事に。

「な……?」

 そう、アクオーンは完全に失念していたのだ。
 彼女は。八神はやては。

「さあ、我はかの者に敬意を払おう。故にかの者よ。敬意に答え、その力の片鱗を我に授けよ……いくで、リィン!」

《はいです、はやてちゃん!》

「《レヴェランスマテリアル……チャージ・アーーーップ!》」

 アクオーンの主、破滅の神『アトランティス・セルヴィー・ジェノサイド』の。
 「伴侶」だという事を。


 その姿を見て、カリムは思わず息を呑んだ。
 正確にははやての姿はあまり変わっていない。少々騎士甲冑が変形したくらいだろうか。
 だが、その変形が明らかに彼女らしくないのだ。
 肘までを包む手甲。胸や脛など人体急所を守るように配置された鋼の鎧。しかし身軽さを失わないフォルム。そして、シュベルトクロイツの形。
 その姿はどう見ても……。

「さあ、いくで。敬意の表す証……うちの新たなるデバイス、シュベルトクロイツ・レヴェランス!」

 剣の姿となったシュベルトクロイツを軽く振るい、はやては小さく微笑んでいた。
 そう、その姿は、普段の「魔導師」の色が濃く出ている彼女とは違い。
 「騎士」の名に恥じない、姿と、武器と、そして雰囲気を纏っていた。


 前途したとおり、アクオーンはその力と武器の性格から直接的な戦闘をあまり得意とはしない。逆に遠距離からの支援攻撃は『インビシブル・バグ』の存在も手伝って右に出るものはいないだろう。
 そう、あの絶大な火力を誇る高町なのはや、広域魔法を得意とする、今目の前にいる八神はやてすらも。
 だから、もし彼が圧されるような事があるとすれば、それは。

「はあああぁぁぁっっっ!」

 今のはやてのように、手に持った武器でもって直接攻撃をされる時だろう。

「くっ……」

《Aqua shield》

 アクオーンは水を圧縮して作った盾を左手に展開し、その攻撃を受ける。だがその一撃のあまりの重さに驚愕せざるを得なかった。
 「アクアシールド」は衝撃を吸収し、緩和する能力も備えているというのに、だ。

《捕らえよ、凍てつく足枷! フリーレン・フェッセルン!》

「何っ!?」

 唐突に現れた自分を閉じ込めようとする氷の壁。間一髪で閉じ込められる前に逃げ出す事に成功するがその事にアクオーンは更に驚きを隠せなかった。

「ユニゾン中に魔法を使うだと……!?」

 確かに融合型デバイス……俗称ユニゾンデバイスは意思を持ち、個人で魔法を使用する事が可能なのは周知の事実である。
 だが、ユニゾンデバイスがその本領を発揮する融合者とのユニゾン中に、個別に魔法を使うという事は確認されていない。
 ユニゾンデバイスは術者と「融合」し、魔力の管制・補助を行う。 この形式では他の形式のデバイスを遥かに凌駕する感応速度や魔力量を得る事が出来る。それが「ユニゾンデバイス」たる名前の由縁でもあるのだ。
 故に、魔力の管制・補助に回るが故に本来なら融合後の単独行動は不可能に近い。出来ない事もないのだろうが、その為には融合者の魔力の管制・補助機能を多少なりとも下げなくてはならないはずである。そしてその「多少」が、融合者によっては致命的になりかねない。その大き過ぎる魔力の為、その制御が上手く出来ないこの八神はやてという少女は間違いなくそちら側に分類されるだろう。

「驚いとるようやな? ええわ、教えたる。この『レヴェランスマテリアル』の効果はふたつ。ひとつはうちの魔力特性を変えるというものや」

「魔力特性の、変換?」

「そう。本来の魔導師タイプの特性から、今の騎士タイプへの変換。魔力を魔法として使うのではなく、身体能力を向上させるいわばブースト効果のものへと。無論、うちのあの馬鹿魔力を変換するんや、悪いけどフルバックのキャロの魔法より上昇率は凄いで?」

 なるほど。それならば確かに今のはやての驚くべき身体能力の説明が付く。しかし、

「ならば何故ユニゾンをしたままでいる? 戦力的に考えれば別れた方が得策だろうに」
 
リィンフォースⅡというユニゾンデバイスはそれ個人でもかなりの戦闘能力の持ち主だ。確かにユニゾンしたままでも魔法は使えるだろうが、それでもやはりユニゾン中と分離している時とでは魔法の使い勝手が違うはずだ。彼女のサポートがなくても充分な戦力となって今のはやてならば、逆に分離していた方が戦力は高いはずである。

「ああ、それはな……」

《Bloody dagger》

「なっ!?」

 突如として現れた黒い刃にアクオーンは再び表情を変える。

「この魔力特性の変換にはな……タイムラグがまったくないんや。つまり……好きな時に騎士タイプにも魔導師タイプにもなれるという事、やっ!」

「くそっ……!」

《Frozen fang》

 アクオーンはフロッド・ノアから氷の矢を発生させ、それを射る。するとそれは四方に分散しはやてのブラッディ・ダガーを次々と落としていった。

「反則だろ……伴侶ばかり可愛がらないで欲しいですね」

 思わず悪態をつきながらアクオーンは苦笑を浮かべた。
 好きな時に魔導師にも騎士にも魔力特性を変換する事が出来る。つまり、戦う場所を、相手を選ばないのだ。ひとつに特化した存在と全てをオールマイティにこなせる存在……どちらが上という事はない。どちらも恐ろしいまでに強い存在なのだから。

――だが、それだけならばまだ何とかなる。

 確かに身体能力は飛躍的に上がるかもしれない。だが、それは同時に本来騎士タイプの戦い方に慣れていない事も意味する。いくら力があっても、それをこなす「技術」がなければその効果は半減してしまうのだ。
 現に彼女の攻撃は速く、そして重かったがただそれだけだった。直接戦闘が苦手なアクオーンでも避けきれ、耐え切れるほどに。
 形勢は多少悪くはなったが、アクオーンはまだ神獣形態になっていない。こちらにはまだ切り札があるのだ。
 カリムは先程から何もしてこない。ユニコーン・ペガサスの背に座ったままだ。しかしその顔はどこか辛そうに見える。どうやらあの「デットリー・ストリーム」という稀少技能(レアスキル)、確かに凶悪な能力を持っているがその分魔力の消費も高いようだ。
 つまり、今の彼女は戦力として考えられない。そうならば……まだチャンスは、ある。
 だが、それがあまりに安易な予想であった事にアクオーンはすぐに気付く事になった。

「えっ……?」

 言葉に出来たのはそんな呆けたような声。その目に映るのはあり得ない光景。
 眼前にいるのは、剣となったシュベルトクロイツが炎を上げている姿。
 その構え、仕草、そして姿……アクオーンは見覚えがあった。
 遥か過去……「夜天の書」が今の主とは違う者の元にいた時代。そんな時代から「夜天の書」の傍にいた、四人の守護者の一人。
 そうだ、ある。彼女には、「技術」が。
 古の時代よりその身に情報を刻んできた存在が。

「闇の書の……蒐集行使……!」

 そして、彼女が放とうとしている技。それは紛れもなく彼女の守護騎士……烈火の将がもっとも得意とするもの。

「紫電……一閃!」

 アクオーンは悟る。
 このままでは、勝てない……と。


「……出てきたな」

 一瞬で凍ってしまった「紫電一閃」の炎を見ながら、はやてはそう呟く。
 今彼女の目の前にいるのは、先程までのアクオーンとは似ても似つかない存在。
 全身を真っ白な体毛で包み、その瞳は蒼く光り、二足歩行の人間形態から四足歩行の獣の姿となっていた。

「氷結の銀狼……北欧では『フェンリル』という名で慕われ、そして恐れられる神に名を連ねる獣……『神獣』」

――これが、貴様の望みか?

 脳内に直接響くような声。その声にはやては小さく笑みを浮かべた。

「ああ。その状態じゃないと『封印』、解けへんのやろ?」

 そう言って主ベルトクロイツを構え直すはやて。牙を剥き出しにして笑みを浮かべる獣のアクオーン。そしてその様子を心配そうに見つめるカリム。

「じゃあ本番、始めよか? でもまあ、時間もないし……フェイトちゃんもやってくれたようやし、そちらは楽しめへんやろうけどな」

――どういう意味だ?

 アクオーンが訝しげにそう尋ねると同時に、どこからともなく音が聞こえた。

――これは……笛の音?

「……これで、二つ目。そして……!」

――!? それ、は!?

 目を見張るアクオーン。何しろはやての手にはあるはずのないものが握られているのだ。

「あれ? うち言ったよな? 『レヴェランスマテリアル』にはふたつの効果があるってな!」

 炎を上げる槍の姿となったシュベルトクロイツ。それはアクオーンの友であり、同じ『神獣』である存在の真の姿。

――炎槍……フランヴェルジュ……!

「これが『レヴェランスマテリアル』のふたつめの効果。本来は神族にしか扱う事の出来ない『神具』を自在に操る事の出来る能力! 『紫電一閃』の炎は消されてしまったけど……アンタのお友達の炎はどうやろかな!?」

《Burning inferno》

「地獄の炎よ、氷結の魔物を溶かし尽くせ……『バーニング・インフェルノ』!」

 それを合図にアクオーンを中心に迫り来る灼熱の炎。
 対するアクオーンは。

――………。

「……え?」

 ただ瞳を閉じ、何もせずにその炎に包まれていった。


「……何故、や?」

 力を失い、人の姿に戻り仰向けで海に浮かんでいるアクオーンに、はやては信じられないといった表情でそう尋ねていた。

「何で……何もせんかったんや? いくら『神具』を使っているとはいえうちは人間や。『神獣』である……そしてその真の姿を曝け出していたアンタやったら、自衛策くらいあるやろ?」

 「フランヴェルジュ」を入手するまでははやての思惑どおりだった。途中アクオーンの力を読み間違えるという想定外が発生し撤退すら考えたが、それもカリムというこちらも想定外の応援が来てくれた為修正が可能になった。「夜天の書」と「蒼天の書」に記録された古からの情報から導き出した、「統計」という名の限りなく「予知」に近い「未来」のはずだった。
 だがこの結果だけは完全に予想外だった。はやての予想ではまだ続くはずだったのだ。この水の神との戦いは。

「何故……? 当然の事を聞くのだな。お前なら気付くと思ったのだが……」

「どういう事や?」

 はやての言葉に、アクオーンはまるで侮蔑するような瞳で呟いた。

「友と敵対できるほど……私は、強い存在ではない」

「――っ!?」

「そんなに不思議か? 『神獣』ともあろうものが……神が友情を語るのは? ならば聞こう。お前は私がお前の友や家族だった場合……今のように戦えたのか?」

「そ、それ……は……」

 答えられなかった。それが、答えだった。

「イフリースは短気で戦好きという困ったやつだが……弱者をいたぶる事を嫌う、その性質のとおり熱いやつだった。今回の件もやつは言っていたよ『こんな弱いやつらと戦わせる命令を出すなんて、後で奴に文句ひとつ言わなきゃ気がすまねえ!』とな」

「………」

「確かに我らとお前達は存在からして違うものだ。だが……『心』は、お前達と一緒だ。この世に真なる悪はいない。悪には悪の理由がある……お前が、それをよく知っているだろう」

「それは……」

 答えられない。ただ哀しげに、アクオーンを見つめる。

「……我を連れ行け。それで、お前も新たな力を手に入れるのだろう。遠慮はするな。そして……あの方の事を、頼む」

「……ああ」

 それだけは頷けた。その為に、自分は今ここにいるのだから。
 そのはやての姿を見てアクオーンは微笑むと、

「……礼として、お前に忠告しておこう。私は、未来のお前だ。だが、その時お前は私のような選択肢を選ぶ事は許されない。戦わなければならない……お前の、友と、そして、家族と」

「………」

「早く覚悟を決めておけ……でなければ……全てが、終わる。ただそれだけだ」

 はやては言葉を発さずに、頷く事で答える。
 それと同時にアクオーンの姿は消え。

「……三つ目」

 笛の音と、「フロッド・ノア」だけがその場に残っていた。


「どう……して?」

 その光景を、金髪の女性は呆然と見つめていた。
 足元には粉々に砕かれたデバイス。自分の物ではない。彼女のものだ。
 今、胸を貫かれ、ぐったりとしている、彼女の。

「何で……?」

 信じられなかった。今目の前で起こっている事、全てが。

「あ……は……」

 彼女が手を伸ばす。今自分の胸を貫いている、その存在の腕へと。

「わ……かって……る……の、せい……だよ……ね?」

「えっ……?」

 息も絶え絶えに告げる彼女の言葉は、確かにこう言っていた。
 私のせいだよね……と。

「うん、そうだね……でも、心配しなくてもいいよ……」

 そこで、ようやく彼女の胸を貫いている存在が言葉を発した。

――ああ、嘘だ。あの人のはずがない。あの人が、こんな事をするはずがない。偽者だ。こいつは偽者なんだ。だれか……お願いだから……そう、言って下さい。

 金髪の女性はそう願うが、それが無意味な事である事を知っていた。
 彼女も分かってしまったからだ。分かってしまうからだ。
 自分だって……彼女と、同じなのだから。

「僕は……」

 そう言って、彼女のもっとも大切なものを……潰した。
 まるでよくないおもちゃを取り上げる大人のように、微笑みながら、その手で、ぎゅっと……。

テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

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