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魔法少女リリカルなのはA→S 第二話 ~Side NANOHA Ⅱ~

 機動六課がその役目を終え、それぞれがそれぞれの道を歩み始めて一ヶ月が過ぎようとした頃……。

「――♪」

「………」

 朝から終始ご機嫌な様子の母、なのはを、ヴィヴィオはフェレットのぬいぐるみを抱きかかえながら不思議そうな視線で見つめていた。
 今彼女が鏡に向かってやっている行為が何かを、ヴィヴィオは言葉だけは知っている。確か「お化粧」というものだ。魔法学校の友達が言うにはそれをすれば綺麗になれるという。どのようなものか興味があって一度試そうとしたが、なのはに怒られてそれ以降は触ってもいない。
 ただ、こうしてなのはがその行為をしているところを見ると、確かにいつもより綺麗になっていくような気がする。それも、今日は普段している時以上に。
 それはいつもより時間を掛けているからだろうか? 普段はものの十分程度で終わらせているのに今日はすでに三十分は鏡に向かっている。ずっとご機嫌な様子のままで。
 そういえば母がこんな感じになったのは、確か昨日の夜に……。

「ねえ、なのはママ」

「んー? なぁに、ヴィヴィオ」

 満面の笑みでヴィヴィオに振り向くなのは。そんななのはに、ヴィヴィオはその原因と思われる出来事を尋ねる。

「ユーノくんと何かあったの?」

 その瞬間、なのはは思いきり鏡に頭を突っ込みそうになった。

「な、何で?」

「だって、昨日ユーノくんからお電話があってから、なのはママずっとご機嫌だもん」

 その電話を最初に取ったのはヴィヴィオであった。そして相手がユーノだと知ると、すぐになのはにその事を伝えた。
 そこからのなのはが電話を取るまではもはや「神速」と表現するしかないくらいだった。呆気に取られているヴィヴィオから受話器をひったくるように取ると優しく、そして楽しそうな声で会話を交わしていた。
 ヴィヴィオもユーノの事は知っている。というよりかなり仲良しだった。なのはが仕事で忙しい時や外泊をする時などは大概彼に預けられるし、最近読書に凝っているヴィヴィオにとって彼の仕事場である無限書庫やその司書長であるユーノは格好の遊び場であり、話し相手だった。だから学校が終わって友達と約束がないと時などは真っ直ぐに無限書庫に向かうのがヴィヴィオの習慣となっている。高町家のホームキーパーとなったアイナは寂しそうにしていたが。
 ユーノもまたヴィヴィオを可愛がっていて、一度なのはと共にヴィヴィオの通う魔法学校にこっそり様子を見に来てシスターシャッハに怒られたという逸話も残っている。それに母であるなのはと幼馴染みという事もあり、ヴィヴィオに色々と昔のなのはの事を教えてくれていた。まあ、なのは本人は恥ずかしがって止めて欲しいと言っていたが。
 そんな感じで、呼び方こそなのはと同じ「ユーノくん」であったが、ヴィヴィオにとってユーノという青年は「優しいお兄さん」という位置付けであった。あるいは……、

「え、えっと、そうかな?」

 ヴィヴィオの言葉になのはは照れくさそうに利き腕の人差し指で頬を掻いた。そしてふと優しげながらも少し真剣な表情になって、腰を落としてヴィヴィオと視線の位置を合わせる。

「ねえ、ヴィヴィオ。ユーノくんの事、好き?」

「うん、すきー♪」

 満面の笑みで、何の躊躇いもなく、ヴィヴィオの口から出たその言葉になのはもまた嬉しそうに微笑み返した。

「……それじゃあ、もし……もし、ね? ユーノくんが……」

 だがそう言い掛けた言葉は、最後までなのはの口から語られる事はなかった。代わりに一度目を閉じ少し考えるような素振りを見せた後、再び目を開くと今度はその顔に少し意地悪そうな笑みが浮かんでいた。

「? なのはママ?」

「あのね、ヴィヴィオ。今日これからユーノくんと一緒に遊びに行くのは分かっているよね?」

「うん♪」

 それが昨日の電話の内容であった。久しぶりの休日、そこに大好きななのはとお気に入りのユーノが一緒に遊んでくれるというのだ。ヴィヴィオにとってこれ以上の幸せはない。
 欲を言えばもう一人の母、フェイトも一緒ならば言う事はなかったのだが。
「それでね、ユーノくんに会った時こう呼んであげてほしいんだ」
 そう言ってなのははある言葉をヴィヴィオの耳元で囁いた。ヴィヴィオは一瞬呆けたような顔になったが、すぐに満面の笑みに戻って、

「うん、いいよー♪」

 と頷く。
 それを確認したなのはが出掛ける準備を再会しようと立ち上がったところで、今度は鏡台の上に置いていた彼女のケータイが鳴り響いた。
 彼女のような魔導師は「念話」という電波ではなく魔力に言葉を乗せて通話をする手段を持っているが、不特定多数からの混線を防ぐ為に仕事等で必要な相手や本当に親しい相手以外からの念話は入らないように設定してあるし、元々時空管理局では「第九十七管理外世界」と表されている魔法文明のない世界、地球の出身であるなのはは念話に必要な「魔力」を持たない知り合いも多い。その為優先順位で次点となる友人やあちらの世界の知り合いと連絡を取る手段としてケータイは必要不可欠であった。
 なのははケータイを手に取り、画面で電話の相手を確認した途端、「げっ……」と彼女らしくない下品な声を上げて固まっていた。

「……なのはママ?」

 その様子を訝しげに見つめながら声を掛けるヴィヴィオに、

「……ねえ、ヴィヴィオ。ちょっとお部屋で待っててくれる? 冷蔵庫のプリン、食べていいから」

 と言いながら苦笑いを浮かべる。しかしそれを聞いたヴィヴィオはぱっと表情を輝かせて、

「本当!?」

 と思わず尋ね返していた。
 無理もない。なのはは意外にも教育熱心なところがあり、ヴィヴィオに対しても決して甘やかすだけに済まさないでいた。というよりむしろ「厳しい」の一言に尽きる。三時以外のおやつなんてもっての外だと言うくらいに。
 無論、なのはが厳しさの中にも愛情を持って接してくれている事はちゃんと理解しているので、ヴィヴィオはなのはの言う事をきちんと守っていた。だが、そこはやはりまだ幼い女の子。甘いものは大好きだしたくさん食べたい。
 そんなところに、思いも寄らなかったなのはからのお許しが出たのである。しかも確かそのプリンは、ミッドチルダで一番美味しいと有名なお店のものだったはずだ。喜ばずにいられようものか。
 意気揚々とキッチンに向かうヴィヴィオを見送りながら、なのはは一度深呼吸をしてから通話のボタンを押して……何故か腕を伸ばして耳から一番遠い限界の位置まで離した。

「たーかーまーちーなーのーはー! あんたって女は本当に油断も隙もないんだからっ! こら、聞いてるの! 答えなさいよ!」

 まるでその罵倒の声が響く事を予知していたかのように。
 まあ、彼女との会話はまさに罵倒から始まり、罵倒で終わる。それを繰り返してきたのだから、多少は学習してもおかしくはない。

「ああ、もうっ! 聞こえてるよ! お願いだからヴィヴィオの前でそんな汚い言葉を連呼しないで! 情操教育によくないからっ!」

 そしてなのはもまた、怒鳴るような声で答える。
 しかし、二人ともその声に怒気はあっても憎悪はない。感覚的には「喧嘩友達」という言葉が二人ともしっくりきていた。つまり、罵り合ったり喧嘩したりはするが、決して嫌いなわけではないのだ。お互いに。
 なのはにとって、そんな相手が彼女……ユーリという女性だった。
 彼女との初めての出会いは約八年前……なのはが空へ舞い上がれなくなってしまった時。
 その時にあった、ちょっとした事件が原因であった。


「……はぁ」

 時空管理局本局に設置してある医務局ののベッドの上で、先程からなのはの口から漏れるのは、ため息以外何もなかった。
 ユーノからの告白を断ったのが三時間前。そのすぐ後にフェイトと喧嘩。その二時間後、屋上に放置されていたところをはやて達に助け出され、自分の病室に戻った。はやて達が帰った後は、ただこうやってベッドの上で何をするでもなく、ただ呆然としているだけだった。
 今日は本当に、いろんな事が起こり過ぎだ……そう思わずに入られなかった。

――……選ばんよ、うちは。そんな究極の選択とか、うちは選ばん。天秤に掛ける気すら、ないわ。そんな究極の選択を、身をすり減らしてでも『選ぶ』んやない。ふたつとも残せる方法を、命削ってでも『探す』んや。みんなからそんな方法はないと言われても、嘲笑されても、うちは絶対に見つけてみせる。それが自分の時は間に合わなかった場合でも、いつか、同じ境遇に立たされた人の道標になると信じて、な。

 屋上……と言ってもこの時空管理局のある場所は次元空間の中なので外の景色は投影しているだけにすぎないのだが、それでもやはり気分転換にはなる。何しろ病室には窓すらないのだから。電灯があるにはあるが、やはり自然の中の光とは違うその明かりになのはは暖かさを感じられずにいた。
 だからこそ、その病室に戻ると気が滅入るというか、どうも余計な事まで考えてしまいがちであった。今もまた、先程はやてと交わした会話が脳裏に再生される。

「本当に強いよ、はやてちゃんは……」

 あの時、はっきりと言い切られたその言葉になのはは感嘆すると同時に自分に対する嫌悪を感じずに入られなかった。普段の……いや、事故に遭う前までのなのはからは想像出来ない程、今の彼女は色々と落ち込んでいた。ばれないよう皆の前では必要以上に明るく振り回ってはいるが、きっとバレバレだろう。
 その原因は間違いなく……今の状態になってしまった、あの事故だ。

「落ちたんだよね、私は……」

 いまだ自由に動かせない足を眺めながら、なのはは何度目か分からないため息を吐く。
 無敵のエース……そう、呼ばれていた。みんなも認めてくれていた。
 何よりも、彼が。
 だからだろう、調子に乗ってしまっていたのだ。
 無謀な魔力行使、無茶なスケジュール。
 それでも、今までやってきた。やって来られた。
 だから、これからも出来ると信じていた。
 困っている人を助ける為、泣いている人に手を差し伸べる為。
 何より、その力をくれた、空を舞う自分の姿が好きだと言ってくれた、彼の為に。
 最初は馬鹿魔力による砲撃だけしか取り柄のなかったなのはを、その優しくも強固な防御魔法と治癒魔法、補助魔法で支えてくれた彼女の無二の親友にして、まったく知識のなかった魔法に関する事を教えてくれた先生で、そして大切なパートナーで。
 一年程前からは目指す道の違いから一緒に行動をする機会はなくなってしまったが、それでも膨大な知識の宝庫で見つかった情報でなのはやみんなを助けてくれた。
 だから、自分も頑張らなくちゃとなのはは誓った。
 負けたくなかった……とは少し違う。そう……認めて、ほしかった。
 彼から授けられた力を使って頑張っている自分を。好きだと言ってくれた空を舞っている姿を。
 そうする事で、彼の中にずっと居続けたかった。
 そう、なのはが気が付いたのは……彼の事が、好きなのだとはっきり気が付いたのは、そう昔の話ではなかった。
 でも、その想いも虚しく自分は空から落ちてしまった。なんて事はない、単なる疲労と肉体酷使による、判断力の低下。誰のせいでもない、完全に自分の責任だった。
 だから目が覚めた時、彼の姿を確認した時、なのはは怒られると思った。
 無理をして、無茶をして、挙句の果てには撃墜。馬鹿な子だと思われるだろう、きっと、嫌われるだろう……まだぼんやりする頭の中で、一番に浮かんだのはそんな事だった。
 だが、それは違った。彼はその日から足蹴になのはのところに通ってくれた。美味しいお菓子や、暇つぶしの為の本、そして、満面の笑みを。
 他にもここに来てくれる人は沢山いた。特に親友の金髪の女の子や、墜落した時に一緒にいた赤い髪の女の子は。しかし、彼女達には申し訳なかったが、誰よりも彼が来てくれた時が一番嬉しかった。
 そして、今日……その彼に、告白された。

――ずっと前から……初めから、とは言えないけど、でもずっと前からの僕の気持ち。僕は、なのはの事が……好きだよ。

 嬉しかった。今までの何よりも、どんな事よりも。
 しかし同時に……怖かった。
 今の自分は彼が好きだと言ってくれた「空を舞う魔導師」のなのはではない。そして、再び空に舞える可能性が低い事も充分に理解していた。
 そんな自分が、これから先も彼に……「空を舞う」事の出来ない自分を好きでい続けてもらえるか、自信などなかった。いつか愛想をつかされて離れていってしまうのではないか、それが怖かった。
 万が一、再び空に舞う事が出来たとしても、再び落ちないとは言い切れない。今度こそ、死んでしまうかもしれない。そうなった時、彼は一体どんな顔をするのか……想像すらしたくなかった。
 だから、なのはは考えて、考え抜いて、答えを出した。
 彼からの告白を断るという形で……。
 彼はそれでも笑っていた。なのはの方が泣いてしまいそうになるくらい、満面の、無理な笑顔で。だからそんな彼と一緒にいるのが居たたまれなくて、屋上に残った。
 そのすぐ後、どうやらその様子を見ていたらしい金髪の女の子……フェイトに責められた。

――盗み聞きしていた事ならいくらでも謝る。でも、その前に教えてよ。どうしてユーノにあんな事言ったの? ずっと待っていた言葉じゃなかったの?

 痛かった。悲痛な面持ちで語られるその言葉は、先程の彼の笑顔とリンクしてなのはの胸を締め付けた。
 だから、思わず叫んでしまった。

――うるさい! フェイトちゃんには関係ないじゃない! ここから出て行って! しばらくフェイトちゃんの顔、見たくない!

 最低だ、となのはは自己嫌悪に陥いざるを得なかった。逆ギレもいいところだ。一体自分は、何をしているのだろうと。
 そしてトドメは先程のはやての言葉。

「……一体、何をやってるのかな? 私は」

 答える者のいない問いを口にして、なのはは再びため息を吐いた……その時である。

「たーかーまーちーなーのーはー!」

「……ふぇ?」

 地響きのような、唸り声のような声とともに響く、廊下を重い足取りで駆け抜ける音。
 その足音はこの部屋の前で止まったかと思うと、ドアが壊れそうな勢いで開かれ、そこに一人の女の子が立ち尽くしていた。
 年頃や身長はなのはと同じくらいだろうか。フェイトのような長い金色の髪をポニーテールにしている。服装は見慣れてはいないものの、どこかで見た事があるようなもので、なのはは思わず首を傾げた。
 だがそんななのはの様子にお構いなく、少女は部屋に侵入……というより突撃してきて、ベッドの横に来たかと思うといきなりなのはの上着を掴んで自分の方に引き付けてきた。

「ちょ、あの!?」

 さすがのなのはも慌ててしまう。何より、この少女の事を知らないし、こういう事をされる覚えがまったくないのだ。

「あんたっ、お兄ちゃんに何をしたのよ!?」

「ふ、ふぇ? お、お兄ちゃん?」

「しーらーばーくっれーるーなー!」

 なのはの回答が気に入らなかったらしく、少女はさらに語気を荒くしてなのはを高速で揺らし始めた。

「ちょ、す、すとっぷー!」

 思わずそう叫ぶなのはだったが、少女は何故か大人しくその言葉に従う。

「はあ、はあ、はぁ……つ、疲れた……」

 ……ただ単に疲労しただけのようであった。

「ちょ、体力無さ過ぎじゃない!?」

 あまり人の事は言えないなのはが思わずツッコミを入れてしまう。

「う、うるさい! アタシは砲撃型の魔導師なの! 体力はあんまり関係ないんだから苦手なそっちを鍛えるより魔力鍛えた方が効率良いじゃない!」

「あ、私と同じ砲撃タイプなんだ?」

 ちなみに考え方も同じようである。

「ええ、そうよ! 虫唾が走るくらい嫌だけどね!」

 え、えっと……あの、ひとつ質問いいかな?」

「……何よ?」

 少し落ち着いたらしい少女に向かって、なのはは苦笑いを浮かべてあまり良くない行為だと知りつつも右手の人差し指で少女を指してから、呟いた。

「……誰?」


「ユーリ・スクライアぁ!? ユーノくんの妹ぉ!?」

「ああもう、そんな大きな声を出さなくても聞こえてるから! それに妹じゃなくて従妹! まあ、本当のお兄ちゃんみたいに慕っているけどね。スクライア一族は生業としているその職業上、親戚が集まって集落みたいになっているから」

 目の前の少女……ユーリから語られたその言葉に、なのははもう驚愕する事しか出来なかった。そんななのはの態度に、ユーリの方も訝しげな表情を浮かべている。

「ねえ、本当にユーノお兄ちゃんから何も聞いてない? こっちはあんたの事、よく聞かされていたよ?」

「えっと、うーん……スクライア一族が遺跡発掘を生業としていて、色んなところを旅している事とか集落を作っている事とかは聞いた事あるけど……」

「……ちっ、これが好感度による待遇の違いか」

 ユーノの従妹、というだけあって整っている顔立ちをしているだけに、盛大に舌打ちをする姿は少々引いてしまう。

「えっと、ユーリちゃんも一族の仕事をやってるの?」

 話を逸らさなければいけない気がしたなのはは、とりあえずそんな世間話から入ろうとした。

「さっきも言ったでしょ? アタシはあなたと同じ魔導師なの! こう見えてもAAAランクなんだからね!」

「ら、ランクも一緒なんだ……」

「嘘っ!? ああもう、最悪……」

 あまりに素直すぎる感想にさすがにむっとしてしまうなのは。

「……あのね、何で私、ユーリちゃんにそこまで言われなくちゃいけないわけなの?」

 思わず返してしまったその言葉に、ユーリは鋭い表情で睨んできた。その剣幕に思わずたじろいでしまうなのはだが、ユーリはその顔を両手で挟んで固定する。

「あ・ん・た・が・お・兄・ち・ゃ・ん・を・振・っ・た・か・ら・で・し・ょ・う・が!」

「ぶふぅっ!?」

 予想していなかった言葉に、なのはは思いっきり噴き出してしまう。

「ちょ、何すんのよ!? 汚いわね!」

「それはこっちの台詞! ていうか何で知ってるの!?」

「さっきまでお兄ちゃんのところにいたのよ。で、何か落ち込んでいたから……」

「ユーノくん、お話ししたの?」

 だがユーリは大きなため息を吐いてみせる。

「言うわけないでしょ。何が悲しくて失恋話をそんな軽いノリで話すのよ。ちょっとカマを掛けたらあんたの名前で反応を示しただけ……お兄ちゃんがあんたの事好きだって何となく気が付いてたから、ぴんときたの」

「………」

 その言葉に、なのはは黙り込んでしまった。
 気が付いてしまったのだ。同じ想いを、抱いているからこそ、お互いに。

――ああ、この子は。

――彼の事が、好きなんだ。

 と。

「……ねえ、ひとつ、聞かせて」

「何?」

「何でお兄ちゃん事……振ったの?」

「………」

「好きなんでしょ? 違うとは、言わせない」

 有無を言わさぬ言葉に、なのはは少しの間沈黙する。

「……だって、私は」

 そして、彼女にだけは隠したくなかった。だから、素直にその理由を口にする。

「私は、落ちてしまったから。ユーノくんが好きだって言ってくれた『空を舞う魔導師』で、なくなったから……」

 怖い。この事で彼が離れていってしまうのが、限りなく、怖い。
 だから、友達のままでいたかった。そうすればきっと……。
 なのはの瞳に、涙が溢れる。そしてそんななのはの様子をじっと見ていたユーリは一度そっと目を閉じた後、

「……あんた、馬鹿でしょ?」

 はっきりとした言葉で、怒りを込めた表情をして、罵った。

「え?」

「あんたは単なる馬鹿だって言ったの。何? あんたが空を飛べなくなったらお兄ちゃんがあんたに愛想を尽かすとでも思った? 飛べないあんたをさっさと見限る程冷徹な人だと思った? だとしたら……今からあんたを殴る。力の限り、全力全開で」

「ち、違っ……」

「じゃあなんだっていうのよ! 好きなのに、好きだって言われたのに断るなんて、アタシには考えられない。そんなのはね、三流ドラマだけでいいの。ああもう、悔しいったらありゃしない! こんな馬鹿で弱虫な子に負けたなんて一生の不覚よ」

「そ、そこまで言う!?」

「じゃあ逆の立場だったらどう思う? そんな言動をしているアタシに、あんたはイラッと来ないの!?」

「それ、は……」

 言い返せなかった。その答えは、間違いなく彼女の考えている答えと同じだからだ。

「はっきり言ってあげようか? あんたはね、お兄ちゃんと付き合える自信がないだけ。自信をなくしただけ。だから友達のままでいれば、少なくとも愛想を尽かされて離れていく事はないだろうと安全策を選んだ臆病者に過ぎない。だから好きなのに恋人同士にはならないっていう矛盾した答えで、もやもやしている、そうでしょ? 違うなら否定しなさいよ、さあ!」

「………」

 答えられなかった。答えられるはずが、なかった。そんななのはを見て、ユーリの怒りは頂点に達したようだ。

「ったく、本当にイラつくはあんた! やっぱりあんたにお兄ちゃんは任せられない、そして、あの子も!」

「あの、子?」

 それって誰の事? そう聞き返す前に、ユーリはなのはの病室から姿を消していた。入るとき同様力を込めすぎたのだろう、ドアが激しい音をたて、なのはは思わず目を閉じた。

「ユーリ、ちゃん……」

 そう名前を呼んでみるが、当然ながら返ってくる声はなかった。

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 早速登場しました、オリキャラその1・ユーリ・スクライアw
 やっぱ兄LOVEな妹ポジションキャラは必須かなあ、という下らない思いから誕生したキャラですが、唯一なのはさんが食って掛かる相手、という貴重なポジションのキャラですw そして何気においしい位置にいるな淫じゅ……ユーノくんw
 ちなみに時々聞かれるのですが、

 う ち は ユ ー ノ く ん 嫌 い じ ゃ な い よ ? w

テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

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