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ANGELS STORYS ~LYRICAL NANOHA A&A~ 第十四話 コワレユクモノ(3)

 遅ればせながら水樹奈々さんのニューシングルを購入しましたw
 ただうちは曲を聴きながらSSを書くというのが出来ない人間なので今のところ封印中ですw 早く聞きたいww

 拍手レス
>こんな騎士で今まで大きな問題に発展させなかったシャッハは偉大ですね。
 影の主役は間違いなくシャッハさんですwww

 では本編へw 少しずつ物語が大きく動き出しますw

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――大切な人達がいました。

――人生を変えた人達がいました。

――その中でも、とても大切な人がふたりいました。

――でも、そのひとりはまだ小さい頃にいなくなりました。

――もうひとりは、声が届かなくなってしまいました。

――そんな時、最初のひとりが目の前に現れました。

――いなくなったはずの人が、目の前に現れました。

――でも、その人は……。

――間違いなく、記憶の中にある人なのに。

――まったくの、別人になっていました……。


――誰? あの人は一体誰?

 それが、エリオとキャロの思いだった。
 確かに、怒る時はちゃんと怒る人だった。エリオもキャロも良い子だったが、それでもやはり子供なので気が付かないうちに悪い事をする時もあった。そんな時に怒られた。でも、それは相手を労わる優しいものであった。だから、ふたりとも彼女には懐いたのだ。大人を信じられなかった、二人が。
 だから、今目の前にいる彼女が……彼女が浮かべている表情が、信じられなかった。彼女のしている事が理解出来なかった。だから、彼女を止める事無く、ただ呆然とその光景を眺めていた。

「……ねえ、答えてよ、はやて」

 冷たい声で、吐き捨てるようにフェイトは呟く。目の前には無言で目を伏せているはやて。
 何が起こっているのか、まして何故フェイトがここまで怒りの感情を露わにしているのか、エリオとキャロは理解出来なかった。ただひとつ分かっている事は、

「教えてはやて……あなた、知っていたの? お兄さんが……聖さんが生きてるって、知っていたの? 答えなさい」

 先ほどフェイトの病室に現れた、あのヒジリという青年の存在が原因だろうという事だけだった。彼がフェイトの前に現れた途端、何かに取り付かれたようにはやての病室に走り出したのだから。

「……答えろ、八神はやてぇっ!」

 激しい激高に、キャロは思わず身を振るわせエリオに抱きついた。エリオはキャロの背中を摩りながらも、その光景から眼を離そうとしない。まるで、それが自分の役目だとも言いたげに。

「……ああ、知っとったで」

 そして、ようやくはやてが口を開いた。

「……っ!?」

「知っとったで。聖さんが生きている事だけやない、聖さんの記憶もあるし、聖さんが記憶をなくしている事も知ってる。その理由も、『シルフィス・ラスタ』で店長をしている事も、そして聖さんの背負っているものもフェイトちゃんとの関係も全部な! ああ、ちなみに今までフェイトちゃんが聖さんとかち合わなかったんも偶然やない。私がそういう風に調整しとったんや。部隊長やったからシフトの調整はそう難しい事やなかったで?」

「あああああぁぁぁぁぁっっっっっ!」

 雄たけびのような声を上げ、フェイトははやての襟首を掴む。まだ治りきっていない身体が悲鳴を上げるが、今のフェイトの精神状態はそんなものは痛みのうちに入らなかった。
 もっと痛い事を、親友からされてしまったのだから。

「どうして教えてくれなかった!? あの時……私がいじけていた時にはやてが励ましてくれた時、言ったよね!? もう一人の事ははやてにも分からない。でも、その人は私に会って一度でも不幸になったって言ったのか、出会わなければ良かったなんて言ったのか、もしそんな事を言う最低な人間だったら、はやてがぶん殴りにいくって! はやて、知らないって言ったよね!?」

「……もちろん嘘や。あんなところでフェイトちゃんに躓いてもらうわけにはあかんかったからな」
「それはどういう意味!?」

 フェイトがそう尋ね返すと、

「ふっ……あははっ!」

 はやては何故か声を上げて笑い出した。そして、

「フェイトちゃん、あんたは何も知らん。『伴侶』でありながら何も、な。でも私は違う。私達が今身を置いているこの世界が、どんな状況かを知っている。そしてそれを打破する為に動いている。それを小さな予定外で乱すわけにはあかんのや!」

「っ!? 小さな……!?」

「そうや、小さな事や! 百の命を救う為の術を、たったひとりの女の子のわがままの為に乱すわけにはいかんのや!」

 瞬間、はやては病室の端へと吹き飛ばされる。

「ぐっ……!?」

「八神部隊長!?」

 慌ててエリオがはやてに近寄ろうとするが、目の前に現れた電撃がそれを邪魔した。
 この空間に電撃を操れる人間は二人しかいない。一人はエリオ自身。そしてもうひとりは自分に電撃を操る術を教えてくれた……。

「フェイト……さん?」

 黄金色の電撃を身に纏い、フェイトは吹き飛んだはやてを冷たい視線で見下ろしている。彼女が魔法ではやてに攻撃をしたのだと気が付くのにそう時間は掛からなかった。

「フェ、フェイトさん!? 何をしてるんですか!?」

 魔法は強力無比な存在であるが故、当然ながらその使用には大きな制限が設けられている。管理局の局員……提督であろうと執務官であろうと、それは変わらない。ましてやここは医療区画……病人や怪我人がいる場所である。そんなところで無許可で魔法を使ってしまえば……。
 エリオが答えを出す前に、その結果が始まった。警報が鳴り響き、病室の外にたくさんの武装局員が集まってくる。だが、フェイトはその状況をものともせず更にはやてに詰め寄り始めた。

「プラズマランサーッ!」

 右手を掲げ、そこに纏っていた電撃を集める。
 本気の目だった。数こそひとつだけだったが、間違いなく本気でフェイトは本気でプラズマランサーをはやて目掛けて撃とうとしている。
 申し開きの聞かない、この状況で。

「っ!? キャロ! フェイトさんにバインドと八神部隊長に防御系のブーストを!」

「え? あ、う、うん!」

 エリオの叫びにそれまで呆然とその状況を眺めていたキャロがようやく行動を開始する。間に合うかどうか、間一髪のタイミングだった。

「ファイア……」

「っ!?」

 フェイトが発動のトリガーを唱え、はやてが目を瞑る。そしてフェイトの手が振り下ろされた……その瞬間、

《Schlangeform》

「!?」

 突如鞭上の何かがフェイトとはやての間に割って入り、振り下ろされようとしたフェイトの右手を拘束する。

「……そこまでだ、テスタロッサ」

 その鞭の先……シュランゲフォルムのレヴァンティンを握り、静かな声でそう呟くのは管理局の制服に身を包んだシグナムであった。

「シグナム副隊長!? どうして……」

 確か彼女は今はやて達に代わり、はやての守護騎士「ヴォルケンリッター」を率いて「ランドグリス」の調査を行っているはずである。それを知っているエリオは驚きと安堵のあまり思わずそう問い掛けた。

「……呼ばれたのだ、彼女達にな」

 シグナムはそう呟くと同時に、その後方からレイリアとヒジリが顔を出す。

「何となく、嫌な予感がしたからね……調査の為に今『ランドグリス』への転送装置は起動しっぱなしになっているし、関係者ならその使用に関しての手続きが大幅に免除されるから、一番早く応援を呼べると思ったの」

 シグナムに代わりレイリアがそう状況を説明した。実際、その考えは的を射ており、こうしてフェイトの凶行を寸前で止める事が出来たのだ。

「――っ!?」

 そして、この状況に一番戸惑いを見せていたのは他ならぬフェイト自身であった。正確には、ヒジリの存在を確認した途端、異常とも思える過剰な反応を示したのだ。
 そのヒジリは微笑とも苦笑とも取れる笑みを浮かべて、フェイトに近寄っていく。

「……何があったか、僕にはよく分からないけど」

 あの頃より少しだけ低くなった声で。

「君は、執務官なんでしょ? 善悪を見極める立場にある人間でしょ?」

 あの頃と変わらない温かい手でフェイトの額を優しく叩き。

「だったらこんな事をしちゃだめだよ。八神捜査官とはお友達なんだよね? だったら、話し合いで解決できる事もあると思うよ。だから、少し落ち着いて……」

 あの頃と変わらない優しさで。

「ね、ハラオウンさん」

「――っ!?」

 フェイトの中にある記憶の全てを……否定した。

「ちがっ……違う!」

「えっ……?」

「悪いのは私じゃない、はやてが……はやてが……何で? どうして分かってくれないの? どうして私の味方をしてくれないの? お兄さんだって……違う、お兄さんは私の事『ハラオウンさん』なんて呼ばない……呼んでよ、昔みたいに私の事呼んで……呼んで下さい……」

 堰をきったように泣き出し、ヒジリの胸を弱々しく叩く。だが、ヒジリはもちろん、はやてを除く全員が今まで見た事のない様子のフェイトに驚きを隠せず困惑していた。
 そして、変わらぬ聖の態度に、

「ぐすっ……ひっく……うぁ……あああああぁぁぁぁぁっっっっっ!」

 まるで子供のように、大声を上げて泣き始めた……。


 その様子に呆気に取られていたからか、誰もはやての呟きに気が付かなかった。

「……そう、乱すわけにはいかんのや……私の、たったひとりの女の子のわがままで乱すわけには……」

 はやてはその為に。
 あの日から十年近くも、フェイトへの、聖への罪の意識を背負って生きてきたのだから。
 これから。
 なのはへの、そして多くの大切な人達への罪の意識を背負っていく事になるのだから……。


 艦長室にある椅子に腰を掛けながら目の前にある書類に目を通し、時空管理局本局・次元航行部隊所属XV級艦船「クラウディア」の艦長、クロノ・ハラオウンは盛大なため息を吐いた。

「何をやってるんだ、フェイトのやつは……」

 つい一時間ほど前に渡されたその書類は、フェイトが本局の医療区画で起こした魔法の無許可使用、及び局員傷害事件に関する報告書である。お陰でようやく取れた休暇を切り上げる羽目になり、息子と娘に冷たい視線を向けられた。
 しかし……と、クロノは珍しい、というより初めてのような気がするフェイトの今回の不祥事に驚きを隠せずにいた。
 戸籍の上で家族となって約十年……フェイトは良い意味でも悪い意味でも「良い子」だった。兄であるクロノや母であるリンディにあまり頼る事無く、全て自分で解決しようとし、そしてちゃんと解決していった。頼られたのはエリオとキャロの保護者となる際、リンディに後見人を依頼した時と「機動六課」立ち上げ時に協力を依頼された時ぐらいではないだろうか。とにかく、それくらいフェイトは自分の事は自分で責任を持ち、プラス他者の面倒も見られるくらい出来た人間であった。
 なのに、今回フェイトが起こしてしまった事件は誰が見ても単なる「子供のわがまま」レベルである。今回のなのはの負傷やそれまでの心労が重なりここで一気に爆発したとも考えられなくはないが、それにしても彼女らしくはない。

「いや、こう考えている時点で俺もフェイトに無意識のうちに重圧をかけていたのかもな……」

 手の掛からない義妹。だから安心して自分の仕事に打ち込めるし、決して悪い意味ではなく放っておける。今回の件は、そういう風にフェイトを見ていた自分にも責任があるかもしれない。
 とにかく、はやてが被害届けを提出していないとはいえ、フェイトが不祥事を起こしてしまった事に変わりはない。しかもフェイトは執務官という責任を負う立場にある人間だ。罰しないわけにはいかない。

「しかし、この『ヒジリ・クラセ』とかいう人間が気になるな……男、なんだよな?」

 今まで浮いた話ひとつなかったフェイトに初めてちらついた男の影に、内心クロノは穏やかではなかった。しかもフェイトはこの相手の事を「お兄さん」と呼んでいたと聞く。まあ、言ってしまえば「兄」としてのちょっとした嫉妬心に駆られているわけだが、それに関してツッコミを入れる唯一の人間だろうエイミィは家でクロノの代わりに子供の遊び相手をしているのでツッコミはない。

「……あれ? そういえば初めてじゃなかったような気がするな。フェイトに手を焼いたのは……あれは……ああ、そうだ、執務官試験の時か」

 そういえばあの時、何故フェイトがあんなにもひどい状態になったのか、どうやって立ち直ったのか、クロノは知らなかった。フェイトが立ち直ったのだから……そして強い意志で難関な事で有名な執務官試験をクリアし、誰からも称賛される功績を受けるまでになったのだから。

「……考えてみると兄らしい事なんてやった記憶がないな……他に『兄』と呼ぶような相手を作っても文句は言えないか」

 そう言って自嘲を漏らしたその時、部屋に通じるドアが開いた。

「………」

 室内に入ってきたのはフェイトだった。だがその顔にはいつもの優しげな表情はなく、ただ哀しげにクロノの前まで歩いてくる。その事に内心動揺しながらもフェイトを呼び出した用件を伝える。

「本局内での無許可での魔法使用。及びその行為による器物破損。そして被害者本人が申告していない為罪状にはないが傷害事件……数枚の始末書では終わらないぞ?」

「……はい」

「取り敢えず二週間の謹慎を命じる。少し頭を冷やして来い」

「……いえ、その必要はありません」

「えっ?」

 予期せぬ台詞に思わずそう尋ね返すクロノの目の前に、フェイトは一枚の封書を差し出した。

「――っ!? 待てフェイト! 本気なのか!?」

「ええ、もちろんですクロノ艦長」

 フェイトは驚き立ち上がったクロノに、ただ淡々とその封書の意味を口にする。

「私、フェイト・テスタロッサは……今クロノ艦長が述べた自分の不始末の責任を取り……執務官を、そして管理局員を辞します」

 「辞表」と書かれたその封書を差し出しながら。
 フェイトは「ハラオウン」の性を名乗らずにそう告げた。

テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

Comment

おおっ!もう更新していらっしゃる♪

うわっちゃあ~~エリオとキャロだけではなく、奇しくも再会してしまった聖兄ちゃんの
目の前でとんでもない大醜態をさらしてしまいましたね、フェイトさん・・・・・。
前々から思っておりましたがこのアニメにおいて「壊れる」「病む」といったシチュがもっとも似合う女性ではないかと思うんですよ、フェイトって。血筋も影響してるかも知れませんが。
普段、凛々しく理知的で温厚な女性といった印象ですが、それだけに内に秘めてる思いも強く激しいんじゃないかと・・・・。 (そりゃ、エリキャロも( ゚д゚)ポカーンとなりますよ)
某霊界探偵の言葉を借りると
「これだから、真面目な奴は始末に悪いぜ。極端から極端へと走りやがる。」
といった感じですかね。
ともあれ、局を辞め「ハラオウン」も捨てたフェイト。その行動は失態をさらした
責任からだけなのか、それとも・・・・・
次回も楽しみにしてます。

Re: おおっ!もう更新していらっしゃる♪

 >サヴェッジさん
 いつもありがとうございますw
 なんだかフェイトちゃんは「A→S」の頃から不幸にしてきている感が拭えない(=ω=;) でもちゃんと色々な問題を解決させていく予定なのでよろしければお付き合い下さいw

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