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ANGELS STORYS ~LYRICAL NANOHA A&A~ 第十五話 「調整される運命(さだめ)」

 先日のユニゾンインに参加した方、お疲れ様でしたw うちは行きませんでしたが相方の桜花たんは行ったそうですw もし会場ではやてちゃんを見かけたら、桜花たんである可能性が高いですww

 ……でも今回のお話にははやてちゃんは出てこないw あともう一話で中盤戦に突入ですよーw

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 フェイトはミッドチルダの地上に降り立った。まだ長い……クローンである自分の寿命が普通の人間と同じくらいあるのか、長いのか短いのか分からないので一概にそうとは言えないのだが……残りの人生をこの地で過ごす事に決めた為だ。
 とても地球には……鳴海市には戻れなかった。戸籍上ではまだ残っているが……リンディに願い出たが許してもらえなかった……「ハラオウン」の姓を捨てたのだ。今更どんな顔で義母や義姉、甥や姪のいる世界で暮らせと言うのだろうか。
 今フェイトは私服を纏い、地上本部の中を出入り口に向かって歩いていた。着慣れた執務官の服、その他の持ち物はティアナに譲った。フェイトの後任として「クラウディア」の執務官に就いてくれるという事らしい。まだ危なっかしいところもあるが彼女ならそう何年も経たないうちに自分より腕の立つ執務官になれるだろう。だから後の事は心配はしていなかった。エリオとキャロも既に自分の庇護の元を離れた立派な管理局の職員だ。心配の種は、まったくない。
 だから、どこか遠くに……自分を知る者のいない、遠い場所で暮らそう。幸い質素に暮らせば残りの余生を過ごせるだけの貯蓄はあるのだから。

「……ハラオウン」

 聞きなれた声、しかし聞きなれないその呼び方に、フェイトは思わず声が聞こえた後ろの方を振り返った。

「……シグナム?」

 半ば予想通り、そこにいたのはシグナムだった。

「……何の冗談ですか?」

「何がだ?」

「あなたは私を、『ハラオウン』ではなく『テスタロッサ』と呼んでいたはずでしょう?」

「別に。単なる気分転換だ。どちらもお前の姓ではないか、問題ない」

 フェイトは不機嫌さを隠そうとせず、シグナムを無視して歩みを進めようとする。
「待て、別にお前を弄るつもりだけで話しかけたわけではない」

「弄るつもりはあったんですね……」

「そう突っかかるな、せっかく忠告をしてやろうというのだ」

「……忠告?」

「……バルディッシュ、持ったままだろう?」

 フェイトは数秒思案してから頷いた。

「……バルディッシュは元より私の私物です。問題はないはずですが」

 シグナムは「本当に分からないのか?」とでも言いたげなため息を吐く。

「知ってのとおり管理局の局員以外が魔法を使用するのは原則禁止だ。もちろん局員といえどその使用には大きな制限がある」

「知っています。私も永続的な魔力リミッターを付ける事を義務付けられました」

 何しろフェイトは管理局の中でも数えるほどしかいない「S+」の魔力を持っているのだ。当然の処置だとフェイト自身も納得している。

「だが、バルディッシュは……デバイスは魔法のプログラムを溜めんでおく、魔法を制御するための演算をする、私の『レヴァンティン』のように直接的な武器として扱う、いわば『魔導師の補助装備』だ。いくら使用者の魔力が低くても高性能のデバイスを持てば平和を脅かす存在になりうる事は、執務官である……いや、だったお前もよく知っているだろう?」

「えっ……」

 フェイトは耳を疑った。

「そして何より、バルディッシュには使用者の魔力を増強する『カートリッジシステム』を搭載している。そんなものを、一般人に持たせるわけにはいかない」

 つまり、シグナムはこう言いたいのだ。

「私が、反乱を起こすとでも言いたいのですか?」

「……あくまで可能性の問題だ。お前は日本の言葉にこういうものがあるのを知っているか? 『柿の木の下で烏帽子を直すな』という言葉を」

 柿の木の下で烏帽子を直していると、まるで柿泥棒をしているように見える。つまり、疑われるような行動を慎め、という言葉だ。

 そして、フェイトは何となくシグナムの別の思惑を察した。

「……バルディッシュの所持は、ちゃんと許可をもらっているはずです」

「先ほど、『カートリッジシステム』の事を失念していたという連絡があり、許可を取り消された。バルディッシュを持ったまま管理局の外に出れば、そのまま局内に逆戻りだぞ?」

「………」

 バルディッシュはリニスによって与えられ、今までずっと苦楽を共にしてきた存在……フェイトにとっては、家族と言っても過言ではない存在である。シグナムはそれを手放せと言っているのだ。
 ……手放せなければ、管理局に残れといっているのだ。恐らく、今回の件を進言したのはシグナムだろう。
 管理局の出入り口で、フェイトとシグナムは互いを睨み合う。その様子を偶然通りかかった職員が何事かと見つめており、いつの間にか人垣が出来上がっていた。

「………」

 フェイトは長い沈黙の後、ポケットにしまっておいたバルディッシュをシグナムに向けて放り投げた。
 まるでシグナムの思いを断ち切るかのように。
 自分の未練を断ち切るかのように。

「……これでいいでしょうか?」

「……ああ」

 右手でバルディッシュを受け取ったシグナムは、そのまま踵を返した。

「……さらばだ、我が好敵手」

 失望したかのようなそんな感情の篭っていない声で。
 シグナムはそう呟いてフェイトの前から消えた。

「………」

 フェイトもまた、集まる周囲の視線から、そしてシグナムから逃げるように管理局から飛び出した。


「……エリオか?」

 ちょうどフェイトからは死角になる、だがこちらからはフェイトの姿が見える……そんな位置にいたエリオに、シグナムは驚きを交えた声で語りかける。

「……テスタロッサは出て行ったぞ?」

「……知っています」

「……追いかけなくていいのか?」

「……必要ないですから」

「……?」

 エリオの言葉に訝しげな表情を浮かべたシグナムだったが、

「フェイトさんは……必ず、戻ってきますから」

 次に語られた言葉と強い意思を込めた視線に、その表情は驚きに変わり、そして笑みに変わった。

「……これは、お前が持っておけ。いや……」

 シグナムは右手に握っていたバルディッシュをエリオに差し出す。

「お前が、預かっておけ」

「……はい!」

 エリオは力強くそう答え、バルディッシュを受け取った。

――新暦七十七年、二月初旬……フェイト・テスタロッサは管理局から姿を消した。


「……おや、珍しい。どうしたのですか、貴女はもうこの世界にいる必要性はないのでしょう?」

「私の勝手でしょう? 安心して、あなたの邪魔をする気はないわ。アトラ・ジェノ」

 紫色の空が広がる世界で、フィーはジェノに……青年のジェノに声を掛ける。

「おや、邪魔をしないんですか? 私のやっている事、それが何を意味するか分かっているのでしょう?」

「ええ、知っているわ。だからこそ邪魔をしないの。だって、途中までの目的は私と同じでしょう? そして、最終的な結果を考えれば邪魔をする必要性を感じないわ」

「それは違いないですね」

「まあでも……あのお方に何かあったら、私が殺すわ。全てを賭けてね。あの方の、『モノ』として」

 自信たっぷり答えるフィーに、青年ジェノはただ笑みを浮かべるだけだった。

「……綺麗な紫色の空ですね。とても有害物質の大気とは思えない。でも私はかつての青い空が好きだったので……あの頃が懐かしいですよ」

 そして視線を空へと移し、少し物悲しげな表情で語る。

「貴女も青い空の方が好きでしょう? よく彼に甘えていましたよね。その姿を見るの、私は結構好きでしたよ?」

「……うるさい」

 そう言ってそっぽを向くフィー。だがその頬は紫色の空の下でも明らかに分かるほど赤く染まりあがっていた。

「……ひとつ、聞きたい事があるんだけど」

「何ですか? 分かる事なら答えますが」

「ついこの間の新たなイレギュラーの存在の事よ」

「……ユーノ・スクライア、ですね?」

 青年ジェノの言葉にフィーは頷き、そして言葉を続ける。

「イレギュラーはあの聖王とジェイル・スカリエッティだけではなかったの? だからこそ、あなたが……」

「その事に関してですが」

「何?」

「申し上げにくいのですが……『影』のイレギュラーを処理したのは私ではないんですよ」

「えっ……?」

 そこでフィーが初めて驚愕の表情を浮かべた。

「それじゃあ、あのユーノって人間が?」

「その可能性は高いですが、まだ何とも。確実に言えるのは、ユーノ・スクライアが三対六枚の羽を持っているという事……存在してはいけない完全なるイレギュラー、『三人目の神』になってしまったという事です」

 そう言って青年ジェノは苦笑を浮かべた。

「……どうするの?」

「取り敢えずは放置しておきます。まだ、完全に力を付けているわけではないようですから。時間もありませんしね」

「……そう」

 それだけ呟き、近くにあった石の上に腰を掛けるフィー。

「ところで、私からもひとつ質問が」

「……あなたと違って、私は答えられる事が多くはないわよ?」

「ええ、知っています。でも、これは答えられる範囲だと思いますよ……何ですか、その大量のお菓子の山は?」

 苦笑を浮かべつつフィーの背後を指差す青年ジェノ。

「……プリン」

「いや、お菓子の名前を聞いているわけでは……」

「いるなら食べてもいいよ?」

「いえ、食べたいわけでもないです」

 フィーは背後にある大量のプリンカップをひとつ手に取り、それにスプーンを差す。

「……まだ、『キセキ』が起こるだけの『キセキ』を辿っていなかったから、その手助けをね」

「……?」

「あそこのプリンはね、卵に特にこだわっていて、特別に契約した農場のやつを使っているの……いつもは毎朝配送をしてもらってるんだけど、途中で切れてしまった場合その卵を売っている場所まで行くには、あのお店の位置だと管理局地上本部を絶対通らなくちゃいけないのよ」

 そう言って、フィーは小さく笑った。


 フェイトは地上本部の前の道を歩きながら、呆然とこれからの事を考えていた。どの地に居を構えるか、その地に向かう為の手段も考えなければ。調理も苦手ではないがしばらく手をつけていないので少し練習したい。取り敢えず、ひとりになりたい……。

「ひゃっ!?」

「うわっ!?」

 そんな事を考えていたせいか、誰かがこちらに向かってきている事に気が付かず、相手もまた大量の荷物でこちらが見えていなかった為か……言ってしまえば、ぶつかってしまった。

「おおっと!?」

「あっ!?」

 そして倒れそうになった大きな段ボールに書かれていた「たまご」という文字が目に入ったフェイトは慌ててそれを支える。何とか間一髪間に合ったようだ。

「す、すみません……」

「いえ、お気になさらず。でも気を付けて下さいね……」

 そして、お互いが顔を合わせ、

「あれ?」

「えっ……?」

 お互いが、驚きのあまり声を失う。

――ああ、神様。

――これは一体、何の冗談ですか?

「ハラオウンさん?」

「お……ヒジリ、さん……」

 そこにいたのは。
 今フェイトが、今の自分を一番知られたくない、柔和な笑みを浮かべた青年であった。


 用事があると言い、青年ジェノはフィーの前から姿を消した。おそらく、彼女の元に……八神はやての元に向かったのだろう。
 ……これからの事を、伝える為に。

「相当気に入っているみたいね。あのイレギュラーと対峙した時も、止めるのに苦労したし」

 そう呟いてフィーは苦笑を漏らし、プリンを食べるのを再開した。

「……優しい味。あの頃と、変わっていない」

――どう? それ、結構自信作なんだ。

――いや、普通に美味しいけどさ。

――あれ? フィーの口には合わなかった?

――だから美味しいって言ってるでしょ!? あとフィーって呼ぶな! そうじゃなくて、何で「創世」の神様がお菓子なんて作ってるのよ!?

――趣味だから?

――なんで疑問系? 「創世」の神様なら、こんなの生み出すの簡単でしょうって言ってるのよ。

――まあ、そうなんだけどね……食べてみて、フィーの言ったとおり「力」で出した同じもの。

――いくつ食べさせる気なのよ……あれ?

――どう? 分かった?

――………。

――美味しいでしょ? ちゃんと一から僕が作ったものの方が。

――……ふん! いいからいつもみたいに膝枕してよ! 私の……になってくれるんでしょ!? 忘れたなんて言わせないからね!

――はは、はいはい、どうぞ、可愛い僕の……さん。

「………」

 懐かしい記憶。
 まだ、この空が青かった頃。
 まだ、あの方に対して少し反抗的だった頃。
 でも、心の中では誰よりも、何よりも尊敬し、慕っていた頃。
 あの方の「モノ」になると決める、ほんの少し前……。

「……怒る、かな? 勝手な事をして。ごめんなさい……でも、でも……会いたいよ、どうしても、会いたいの……私の事、思い出して欲しいの……それだけ、なんだよ……」

――マスター。
――ご主人様。
――お兄ちゃん。
――ムーラルティア様。

 甘いはずのプリンの味が、少しだけしょっぱくなっているのに、フィーは……かつて「シルフィール・ラスタ」と呼ばれていた少女は気が付いていなかった。

テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

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