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ANGELS STORYS ~LYRICAL NANOHA A&A~ 第十七話 「キセキ~軌跡~(1) 歩んできた跡」

 リリマジの原稿の入稿が終わってほっと一息ついているショウですw
 という事で3/20に行われる「リリカルマジカル6」にて「バーニング・リベリオン」の中巻が発行されますw ページは上巻よりちょっと減って56P、お値段もその分下げて400円ですw
 また、とらのあなさまでも委託を予定していますので当日会場にいけないという方はそちらをご利用くださいww

 詳しい情報は今週末にまたww

 ではA&Aの十七話開始。物語はいよいよ……

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「管理局を辞めた?」

「あの……はい」

 驚いたような呆れたようなヒジリの呟きに、フェイトは頬を染め身を縮ませていた。

「あ、いや、別に責めてるとかそういうのじゃなくて。ちょっと驚いただけだからさ。ほら、フェイトさんって僕らみたいな一般人でも名前を知っている有名人だから」

 そんなフェイトの姿を見ていじめている様な錯覚にでも襲われたのか、ヒジリは慌ててそう告げる。

「店長、コーヒーとシュークリームでいいですか?」

「ああ、ありがとライカさん」

 ヒジリが経営する洋菓子店「シルフィス・ラスタ」は閉店が午後五時と早い。何故ならそれ以上開けていても売る品物がないからである。「シルフィス・ラスタ」の菓子が美味しい事は元より、作り手がヒジリしかおらず大量生産が出来ないのもその理由のひとつであった。何しろヒジリは菓子作りには普段の温厚な性格からは想像出来ないほど厳しく、彼のお眼鏡に適うパテシェは早々現れないからである。それが「シルフィス・ラスタ」の品質の高さを維持している理由でもあるのだが。

「でも、珍しいですね。プリンに並ぶ人気商品のシュークリームが売れ残るなんて」

「いや、だって午前中で用意していた分、全部売り切れちゃったじゃない? 普段は材料とかの関係で追加は作らないといっても流石に、ね」

「ああ、そうでした。だから店長、頃合いを見て卵を買いにいったんでしたっけ。そしてその途中でフェイトさんを拾ってきた、っと」

「いや、捨てられてた動物じゃないんだからその言い方は……」

 そう言って苦笑するヒジリにライカは一度微笑んだ後、厨房の片付けをする為に店の奥へと向かった。

「あ、よかったら食べて。売れ残りで申し訳ないけど」

「あ、いえ、お構いな……」

――……くぅ。

「………」

 タイミング良く空腹を知らせてくる自分の胃を少しだけ恨めしく思いながら、フェイトはますます顔を朱に染める。

――そういえば、お兄さんと初めて会った時も似た様な事があったな……。

 まだ自分がなのはと友達になる前。罪を重ねていた日々に、たったひと時の安らぎをくれた人。
 フェイトは一度ヒジリの顔を見つめてから出されたシュークリームに口をつけた。
 とても、懐かしい味のするシュークリームだった。


「それで、フェイトさんはこれからどうするつもりなの?」

「えっ……?」

 口元についてしまったクリームを右の中指で拭っていたフェイトは、ヒジリからのその言葉に思わず間の抜けた声を発してしまう。

「確か実家は九十七管理外世界にあるんだよね? そっちに戻らなくて良かったのかな、って思って……あ、余計なお世話だったかな?」

「あ、いえ、そんな事は……」

 そう言ってフェイトは悩んだ。まさか本当の事を話すわけにはいかないし、かといって彼に嘘を吐くのはなんとなく気が引ける。
 どうするべきか悩み、店内を見渡していたフェイトの目にあるものが入った。

「従業員募集……希望者には当店二階での下宿も可……?」

「え? ああ、あの張り紙の事? うん、流石にいくら小さい店といえど僕とライカさんだけじゃあね。前はレイリアちゃんが手伝ってくれたんだけど、最近本職の聖王教会騎士としての仕事が忙しいみたいだし……」

 そこまで言って、ヒジリはまさかと思い右手で自分の頬を掻いた。

「……あの、私、友達の家が喫茶店をしていまして……せ、接客の心得はあります」

「そ、そうなんだ?」

「あと、材料を切るのと火を使うのもちょっと得意です」

「お菓子作りでは主に使うのオーブンだけど……」

「………」

 何かを期待するようなフェイトの視線。その視線に、

「……履歴書、書いて持ってきてくれる?」

 ヒジリは一分も経たずに敗北した。


「……それで、ここの従業員として働く事になった……と?」

「う、うん。何かライカさんにすごく気に入られて、色々教えてもらってるよ」

「……まあ、お姉ちゃんは可愛いものが大好きだからなあ。それで、メイド服を着せている……と?」

「ふふっ、だってこんな可愛い子に可愛い格好をさせない方が問題あると思わない?」

「全っ然」

「今回ばかりはレイリアの意見に賛成です」

「ああっ!? ひどい!?」

「……営業時間中にお客様とおしゃべりしているのもひどいと思うんだけどなあ」

 そう言って苦笑を浮かべながら会計をしているヒジリに、フェイトとライカは慌てて職務に戻る。レイリアは苦笑を浮かべながらその様子をしばらく眺めた後、同じように苦笑を浮かべていたヒジリに話しかける。

「あの、ヒジリ店長さん」

「ん?」

「フェイトちゃん、どうですか?」

 その問いにヒジリは少し考えるような素振りを見せ、

「……よくやってくれてるよ。前に知り合いの喫茶店を手伝った事があるって言ってただけに接客は申し分ないし、料理の腕も悪くはない」

 笑顔でそう告げた。彼女が聞いたら諸手を上げて喜びそうだな、とレイリアは心の中で苦笑する。

「あれ? 珍しいですね、ヒジリ店長さんが他人の料理の腕を褒めるなんて」

「あのね、レイリアちゃんは何か僕の事勘違いしてない? それに……僕は『料理の腕は悪くない』って言っただけで一度も『お菓子作り』とは言ってないよ?」

「自分でも自覚はあったんですね」

「だからね……まあ、いいけど。ただ……」

「ただ?」

「……寄り道程度なら、いいと思うよ? だけど……ここじゃないだろうね」

 何が、とは聞かなかった。レイリア自身も感じていたからだ。
 フェイトという女性は、こんな小さな店で接客をしているだけの存在には、もったいない、と。


 午後六時。フェイトはたった三席しかない店内を片付け、厨房へと向かった。
 まだ勤めて間もないフェイトに与えられた仕事は、早朝取引のある農家や工場から届けられる材料の搬入と整理。商品の陳列。会計。店内で食事をする客の接客。そして閉店後の片付け。今のところ、厨房へは朝の材料を片付ける時にしか入ることを許されていなかった。

――本当、記憶をなくしてもそういうところは変わらないなあ。

 お菓子作りにはとても厳しいところ。でもそれ以外の事はお人好しと言えるくらい優しい事。そして、彼の作るお菓子は、とても美味しい事。
 それが嬉しくて、だけどどこか悲しくて。

「……ヒジリさん、ライカさん、清掃終わりました」

 フェイトはそんな自分の感情を吹っ切るかのように、厨房で片付けをしていたヒジリとライカにそう報告をする。

「あ、お疲れ様、フェイトちゃん」

 そう返してくれたのは、もちろんヒジリではない。ライカの方だった。その現実にフェイトはまた胸が締め付けられそうになったが、必死で笑顔を浮かべる。

「ヒジリさん達はまだかかりそうですか?」

「うん、まだ発注が終わってなくてね……」

「何だか最近、すごく忙しいですよね。どうしてだろう?」

 他人事のように呟くライカに、ヒジリとフェイトは盛大なため息を吐く。

「え? 何その反応?」

「……最近、メイド服で接客をしてくれる洋菓子店があるって噂、聞いた事ない?」

「……え?」

「……最近、男性客が妙に増えましたよね? しかも店内飲食で」

「………」

「「つまり、そういう事」です」

 二人の視線を誤魔化すように、ライカは貼り付けたような笑みを浮かべる。

「せっかく一人従業員増えてお客さんの要望で一番多かった営業時間の延長が出来るかなて思ったのに、そのキャパシティ以上のお客が入るようになったら現状維持しか出来ないんだよなあ」

「お、お客さんが増えたのは良い事だと思うんですけど」

「まあね。ナンパ目的の変なお客さえ来なければね」

 実際フェイトは何度か態度の悪い客に絡まれた事はあったのだが、そこはやはり元管理局員。数秒後には解決していた。方法は想像にお任せするが。

「店長、もしかしてそのナンパ目的の客に嫉妬ですか?」

「従業員の事に気を配るのは雇い主としての当然の義務だと思うけど?」

「……そうあっさり言われると、ちょっと悲しいものがあるんですけど……お二人ともお忙しいなら、今日の夕食私が作りましょうか?」

 フェイトがそう提案すると、ヒジリとライカは笑みを浮かべた。

「せっかくだからレイリアちゃんも食べていければ良かったのにね」

「今、色々と忙しいみたいですからね。何か管理局の人間が一人行方不明になったとかで」

「えっ!?」

 ライカの言葉に思わず声を上げるフェイト。だが、視線が集まるとすぐに口を手で塞ぎ、

「その、ちょっと材料のお買い物に行ってきますね」

 そう言って店から飛び出していった。

「あ、フェイトさん、着替えていかないの?」

「……あ」


「……ふぅ」

 大急ぎで着替えてから店を飛び出したフェイトは、ため息を吐きながら近くにある遅くまで開いているスーパーマーケットに向かった。

「行方不明の管理局職員……か」

 誰だろう、と考え始めていた自分の頭を振りそれを払った。
 もう、自分には関係のない事なのだから……と。

「……そう、もう関係ないじゃない」

 別にフェイトは管理局の執務官という立場に依存していたわけではない。ただ、自分のやりたい事を叶えるためにもっとも適していた職業がそれだったという事だけだ。
 そして、色々遠回りした事もあったが、悲しい事もあったが、それでも何とか夢を叶え、エリオやキャロを始めとしたたくさんの人を助けてこられた。世界の危機だって、何度も超えて見せた。
 ……だから、もういいじゃないかとフェイトは自分で自分に言い聞かす。
 潮時だったのだと。本当は、自分に執務官という立場は重すぎたのだと。そうでなければ、感情に身を任せ友達にあんな事をしなかったはずだ、と。
 ……今もまだ彼女を許せず、人目合えば自分の感情を制御出来る自信がないはず、ないじゃないか、と。

「……だから諦めるの? 友達を諦め、家族を諦め、そしてあの方の記憶を取り戻すのも、諦めるの?」

「――!?」

 まるで心を読まれたかのようなその言葉に、フェイトは顔色を変えて辺りを見回した。
 心の中のどこかでは、いつかまた彼女が自分の前に姿を現すだろうという予感はしていた。何しろ、フェイトが今回の一件に関わる……そして今の状況となる、そのきっかけを与えた相手なのだから。

「そんなものだったの? あのお方の、伴侶として選ばれた貴女の心は、そんなにも弱いものだったの?」

 蒼い髪が夜風に揺れ、蒼い瞳がフェイトを見据える。

「……フィー?」

「ええ、お久しぶりね、フェイト・T・ハラオウン」

 そう呟き、少女……フィーは小さく微笑んだ。

「……ハラオウンの姓は、捨てたわ」

「今まで歩んできた道を、そう簡単に捨てられるはずがない。『テスタロッサ』の姓を捨てられない貴女が良い例じゃない」

「っ……あなたは、私に何をさせたいの!? マテリアルを返せというならすぐに返してあげるわ、どうせ今の私にはもう必要のないものだしね」

 図星を突かれ、フェイトは思わず声を荒げた。すぐ感情的になるのは己の悪い癖だと自覚しながらも、やはり抑える事が出来ない。

「……それでいいのよ。それが、貴女が人間であるという証拠。あの方が望んだ、『想い』を力に変える術なのだから」

「……?」

 訝しげな表情を浮かべるフェイトにフィーは近付き、彼女のズボン左ポケットを指で指した。

「――!?」

 すると、そこから何か光が漏れ始める。厚めのポケットの上からでもすぐに分かる、まばゆい光が。
 フェイトはポケットに手を入れ、その発光している何かを取り出す。

「これって……」

 それは、ずっとフェイトがお守り代わりにしていたあのロケットだった。装飾として付けられた石が、単なるおもちゃの石であるはずのそれが、宝石のような光を放っているのである。

「……輝石を持って軌跡を刻め。そうすれば軌跡と輝石は重なり合って奇跡を生む」

「キセキ……?」

「フェイト・T・ハラオウン。奇跡を起こすのに必要な輝石と軌跡はそろった。だから、さあ」

 フィーは何かを懇願するような顔でフェイトを見つめる。まるで何かを強請る、歳相応の少女のような顔と声で。

「だから、お願い……奇跡を、起して。世界の破滅なんてどうでもいい。何千年も前から望み続けた、私の願いを叶えて」

 ロケットの蓋が開き、中にあったそれが姿を現す。
 あの日、遥か遠くの日に思える、フェイトがまだ幼い時に彼と撮った、思い出のシール写真が。

「私を、もう一度あの方の『モノ』にして……ようやく、この時が来たのだから! だから……お願い!」

「フィー……?」

 フェイトはフィーの表情を見て驚きを隠せずにいた。
 そこには、先ほどまでの神秘的な様子は微塵にも感じさせない。
 一人の幼い少女の、泣き顔があった……。

テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

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